Voz e violão というと、ブラジルの天才歌手ジョアンゥ・ジルベルトの、弾き語りによる傑作アルバム。
ジョアンゥに対する敬意からそのタイトルを継承し、港大尋が製作中のじつに意欲的なギター弾き語りアルバムが『声とギター』だ。
「ボサノヴァみたいでブルースで、島唄っぽいけど、どこかアフリカ。意表を突いた言葉遊びと、隠しきれないロマンティック。港大尋渾身の、新しい弾き語りのかたち」とプレス資料にはある。
実際、ピアニストでパーカッショニストでサックス吹きで詩人で歌手の彼にとって、ジャンルはまるで関係ない。ただ、このアルバムでは、形式は雑多でも心はボサノヴァ。遊びにみちた歌詞がときおり、鋭く空気を切り裂き、波間の石のように輝く。驚くべき作品だ。海伝いに人は地球のどこにでも行けることを、改めて確信させられる。
アルバムの完成と同時にツアーがはじまるが、その初日は5月2日(金)、神楽坂のシアターイワトで。さあ、チケットを予約しよう。
このアルバム、ライナーノーツを書かせてもらった。そのためにまだアレンジの固まらない段階の曲を、何度もくりかえし聴いた。すばらしい経験だった。