Monday 30 July 2012

古川日出男をめぐって

古川日出男さんについて2つ、書こうと思って忘れていたこと。

「図書新聞」7月28日号に、郷原宏さんによる『春の先の春へ』(左右社)の書評が掲載されました。

「エロキューション、アクセント、イントネーションから間のとり方に至るまで、すべてが完璧で間然するところがない。少し疲れたような声質もいい。しかもテキストが諧調のある賢治詩だから、まさしくプロの朗読芸が楽しめる」

まだの人はぜひ、このCDを聴いてみてください。

もうひとつ。「SWITCH」7月号(桑田佳祐さんが表紙)での古川さんの連載「小説のデーモンたち」第17回では、われわれの『銀河鉄道の夜』春の東北ツアーのようすがリアルタイムで綴られています。

全力でやったツアーでした。そしてそれを、9月の秋ツアーにつないでいきます。新ヴァージョンで! ご期待ください。

Sunday 29 July 2012

読売書評 #14

島岡由美子『アフリカの民話』(バラカ社)。7月29日掲載。

バラカ? アミリ・バラカの? その出版社の名前に惹かれて読みました。いい本です。親子でどうぞ。

釧路出張

学期末業務のかたわら、学振の仕事で釧路に出張。近郊の標茶町にある京都大学北海道研究林にやってきました。

日本学術振興会では毎年「ひらめき☆ときめきサイエンス」という小中学生むけの科学教室的事業を実施しています。本年度、全国各地で開催されるプログラムは205。そのひとつとして、京都大学フィールド科学教育研究センターが昨日開催したのが「大学の森で学ぼう2012」。

広大な森を舞台とする教室では、その場でとれた植物による草木染め、そして水のpH検査や樹高の測定法などのフィールド科学入門。参加したみんなが楽しめる、わかりやすくすばらしい内容でした。

所長の舘野隆之輔先生、職員のみなさま、ありがとうございました。

夜は、春に朗読会とシンポジウムを開催した釧路の老舗ジャズ喫茶This isへの再訪。店主の小林東さんはあいかわらずお元気で、コーヒーもおいしかった! 北海道教育大学釧路校で教えるアーティストの富田さん、若き古生物学者の伊庭さんと、アート、サイエンスおよびなんだかんだをめぐってつきることのない雑談。来年、一緒に何かやります。きっとやります。

それにしても、どんなご縁か、この1年で3度目の釧路。道東通いはこれからもしばらくつづけたいと思っています。

Monday 23 July 2012

ドイツ語を学ぶみんな!

こんなおもしろい企画があるらしい。応募するといいよ。フラ語では、こういうのはないのかな。


Hallo Deutschland! ドイツ語を学んでいる大学生のためのコンテスト

日本の小学生に、ドイツやドイツ語に興味をもってもらうためにはどうしたらいいでしょう?小学校高学年向けの、1時限(40)のワークショップを考えてみませんか?
ユニークなアイデアで、すてきな賞をもらいましょう!優勝チームは、中国・韓国の学生とともにドイツのワークショップに参加できま
企画書締め切りを延長しました。201284 ()まで受け付けます!
ふるってご応募ください!!
問い合わせ 東京ドイツ文化センター
TEL: 03-3584-3201
hallo-deutschland@tokyo.goethe.org

 




Sunday 15 July 2012

「全くすごい国」


「極々一部の力のある人は、家族ごと逃げて新たな生活を始めました。さらに極一部の人は、子どもと母親だけ逃がして、自分は仕事のために汚染地帯に残りました。この人々だって、家族がバラバラになって家庭崩壊のリスクを負っています。

そして大部分の人は、逃げることができず、汚染地帯で子どもを育てています。親は、「こんな所で育てて良いのか? 泥まみれで遊ばせていいのか? 」と心配しながら生きています。その重さをどう考えていいのか私にはわかりません。

ところが原子力村は、何も変わらなかった。ここまでの惨事を目にしながら、今でも「原子力をやめたら、経済が弱ってしまう」などと言っています。私には信じられないことですが、彼らが政治・経済の中枢を握り続けていて、影響力を行使し続けているのです。全くすごい国だと思います。」

http://hiroakikoide.wordpress.com/2012/06/19/jimmin_2012jun19/



スロヴェニアへ

今年の欧州文化首都はスロヴェニアのマリボル。そこでの「詩とワイン」祭りの日本デーに招待されました。

http://www.maribor2012.eu/en/nc/event/prikaz/2627880/

詩の翻訳ワークショップにつづいて、最終日に発表会。日本からは、福間健二さん、野村喜和夫さん、和合亮一さん、三角みづ紀さんと、ぼくが参加します。

思ってもみなかった土地へ。楽しみです!

第1回「無形文化」祭

第1回「無形文化」祭が進行中です。

http://mukeibunka.com/

先週はハイチのカーニバル音楽ララの公演。強烈なストリート感がみなぎっていました。今週は、パキスタン、宮古島、韓国、その他。どれも絶対に他では体験できない、本物の世界音楽です。

かつて「東京の夏」音楽祭(1985年〜2009年)というすばらしい祭典がありました。ぼくは大ファンで、日本にいるかぎり、毎年いくつかのプログラムに行っていました。ステージで踊ったことも何度か。惜しくもそれが幕を閉じ、3年後の今年、まったく新しいかたちでその精神が受け継がれることになりました。

たしかにちょっと入場料が高いけれど、いずれもその価値はあります。この「現地」感を思うと、実際にいくつかの土地を歴訪したのだと考えれば、茫然とするほどの安さです。

お勧めします!

Saturday 14 July 2012

いよいよ今日、太平洋神話へ

明治大学アカデミーコモンでの「太平洋の神話世界」、いよいよ本日(14日)です。13:30から。第1部はぼくが敬愛する人類学者(ハワイ大学の先輩)、後藤明さんによる充実のポリネシア論。そして第2部は、Ayuo & Seashell+ぼくの「ペレ、ハワイの神話」です。

昨年10月にSaravah東京で演じたものの改訂版。昨日もリハーサルをしましたが、Ayuoのメロディーセンスの良さを堪能してください。

そしてなんといってもストリングスの強烈なすごさ。バイオリンの甲斐史子さんと戸島さや野さん、ビオラの宮野亜希子さん、チェロの松本卓以さん、リハーサル中、間近で聴きながら、ふるえます。

そしてダンスは、今回は天野美和子さん。よく鍛えた体でダイナミックな動きを持続する迫力。

ぼくは自作の朗読と歌唱、そして神話のナレーターとして参加します。きっと楽しんでいただけるはず。当日でも十分入れると思います。ぜひいらしてください!

Friday 13 July 2012

クリスティーヌ・バルトさん連続講演

京都造形大学で、以下のきわめて興味深い講演会があります。行きたい、行けない。行ける人はぜひどうぞ。

京都造形芸術大学美術工芸学科現代美術・写真コース
2012年度国際交流プロジェクト

3回連続特別講義「写真研究の現在」

講師:クリスティーヌ・バルト(ケ・ブランリ美術館写真コレクション担当主任学芸員)

第1回 7月19日(木) 16:30〜18 :00
アフリカとラテン・アメリカの現代写真 .注目される非欧米地域の創造力

第2回 7月23日(月) 16:30〜18 :00
写真による“他者”の表象 .カメラを持つ者はカメラを持たない者をどう見たのか?
前編:1840−1914

第3回 7月26日(木) 16:30〜18 :00
写真による“他者”の表象 .カメラを持つ者はカメラを持たない者をどう見たのか?
後編:1914−1940

会場:京都造形芸術大学 未来館3階「F302」教室(3回とも)
聴講自由 日本語通訳付き
申込み不要・無料(1回だけでも参加いただけます)

〈概要〉
フランス国立ケ・ブランリ美術館は、2006年に国立人類博物館と国立アフリカ・オセアニア美術館の統合によって誕生し、非欧米地域の美術品および人類学的資料を多数収集展示していることで知られています。



エッフェル塔に近いセーヌ河岸に位置し、ジャン・ヌーヴェル設計の建築や広大な庭園など見所も多く、ルーブル美術館やオルセー美術館とともにパリで最も人気の高い美術館のひとつでもあります。

この美術館には、19世紀前半の写真術の発明以来、写真家・冒険家はもとより、人類学者や考古学者によって撮影され続けてきた膨大な量の写真がコレクションされています。学芸員のクリスティーヌ・バルト氏は、この写真コレクションの責任者であり、国立人類博物館の時代から管理・研究・収集・展示を続けています。


今回の特別講義では3回にわたり、バルト氏の研究テーマであるアフリカ/ラテンアメリカの現代写真と、19世紀から20世紀にかけての写真による他者(非西洋人)の表象について、ケ・ブランリ美術館コレクションの画像を見ながら話を聞きます。写真史や現代写真にかかわる方のみならず、人類学に関心のある方にも貴重な機会となると思います。

〈講師略歴〉
クリスティーヌ・バルト Christine Barthe
国立ケ・ブランリ美術館写真コレクション担当主任学芸員


ボルドー大学で民俗学と美術を学んだのち、1991年、アルル国立高等写真学校卒業。国立人類博物館学芸員を経て現職。「ユカタン半島.デジレ・シャリニーの写真」「カメラ・オブスクラ」「パタゴニアの写真」などの展覧会、また当美術館主催の写真ビエンナーレ「フォト・ケ」のキュレータをつとめる。写真史および写真と民俗学・人類学にかんする論文も多数発表している。現在コロンビアの現代美術をめぐる展覧会を準備中。パリ在住。

問合せ:
美術工芸学科現代美術・写真コース事務担当 西村郁子(075-791-8232)

交通アクセス:
http://www.kyoto-art.ac.jp/info/about/access.html

企画・構成:
小野規(写真家/京都造形芸術大学美術工芸学科教授)

Wednesday 11 July 2012

『海に降る雨』

第3詩集として『海に降る雨 Agend'Ars3』を今年も9月21日に発売します。表紙写真は、これ(このページのヘッダー)。エレメントの戦いがつづきます。ぜひごらんください!

Tuesday 10 July 2012

今日は和泉に行こう、行ける人は

当日になってしまいましたが、お知らせ。オープンしたばかりの明治大学和泉図書館のホールで、午後6時から、画期的なコンサートがあります。

フランスのギタリスト、アンヌ=エリザベト・アルペルンさんと日本の唄者、高瀬智子さんによる、フランスの唄と沖縄の唄の不思議な出会い、Melodies croisees France-Japonです。

フランスといっても、中世の歌もクレオル語の歌もあり。他ではありえない多様なひろがりを体験できるものと思います。

高瀬さんは明治大学農学部のフランス語の先生。フランス演劇の研究者で、タップダンサーでもあります。さて、その歌声は、三線は? 

興味がつきないのですが、ぼくは土曜日の自分の舞台のリハーサルのため行けません。みなさん、ぜひ楽しんできてください。

なおこのホール、12月にはシンポジウムでぼくらも使います。すごくかっこいい空間らしい。図書館ホールでの小さなコンサート、いいですね。他にも何か企画してみます!

Monday 9 July 2012

漁師と中学生と

これが小林勇輝の取り組みです。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20120708-OYT8T00054.htm

Sunday 8 July 2012

中村絵美個展と講評会

博士前期(修士)課程2年・中村絵美の修士制作個展が明日から始まります。そして12日(木)には杉田敦さん(女子美術大学教授)をお迎えしての講評会を行います。16時から、約1時間。外部からの見学も受け付けますので、ぜひいらしてください。

特にディジタルコンテンツ系の受験を考えていらっしゃるみなさん、お気軽にどうぞ!

「中村 絵美 個展」
会場:MUSEE F
東京都渋谷区神宮前4-17-3
アーク・アトリウム B02 (表参道画廊)
7/9(月)--14(土)
12:00--19:00(最終日17:00まで)

おめでとう、小林勇輝くん!

明治理工の卒業生(数学科)の小林勇輝が、読売教育賞優秀賞を受賞しました。


神奈川県大和市立大和中学校教諭。「生活科・総合学習」部門です。ぼくの『斜線の旅』所収のクック諸島への旅に同行したヤツです。これほどうれしいことはありません。もっとも、何が受賞対象になったのかは知らず。おめでとう、ユーキ!


ぼくが明治で教えはじめたのは2000年。かれらはたぶん2001年に1年生か、2002年に2年生の英語を教えたクラス。といっても英語はまるで学ばず、学食での会話から、一緒に西表島に旅行することになりました。教師稼業の楽しさを教えてくれたやつらでした。


これからもがんばれ。こっちも適当にがんばる。

父母会文学賞への応募を!

今年で第4回を迎える明治大学連合父母会文学賞。小説部門が「倉橋由美子文芸賞」で、今年も選者はぼくと陣野俊史さん、そして昨年まで3年務めた高山宏さんに代わって中村和恵さんです。

明治の学生なら誰でも応募資格あり(大学院生、留学生も)。大賞賞金30万円は、学生小説の賞としては破格です。ぜひ応募しよう、夏休みに書こう。

しめきりは10月15日。長さは2万字から4万字まで(この言い方はどうも馴染めないけれど、いまの学生は原稿用紙を使ったことがない)。枚数超過は失格ですから、注意! 

秋に応募作品を読めるのを楽しみにしてます。

Friday 6 July 2012

台湾紀行!

「すばる」8月号、本日発売。「W紀行文 台湾——ことばに耳を澄ませて」と題して、温又柔さんの「音の彼方へ」とぼくの「アリバンバンの島」が同時に発表されました。

この春、ほんとうは一緒に台湾を旅して、ひとつの旅を表ウラから書くはずだったのですが、ぼくが急に同行できなくなったので旅そのものが時間差をもって行なわれました。でも行ったのはおなじ場所、台東、蘭嶼、そして。でも見ているものも視点も嗅覚も文体も、まるで違って。当然ながら。

相当におもしろい試みになったと思います。ぜひ読んでみてください!

Monday 2 July 2012

太平洋の神話世界

7月14日(土)の午後はぜひ明治大学アカデミーコモンのホールにいらしてください。リバティーアカデミーのオープン講座(無料)として、「太平洋の神話世界」を開催します。

第1部として人類学者・後藤明さんのレクチャー。第2部はAyuo & Seashell String Quartetのコンサートです。ポリネシア感覚を楽しめることまちがいなし!

予約は以下からどうぞ。

https://academy.meiji.jp/course/detail/676/

「水牛」7月号

何があってもなくても着々と草を食む水につかるのんびり歩く水牛のように、ウェブマガジン「水牛」今月も更新されました。

ぼくは「時制論」シリーズの6片を。ごらんください。

http://www.suigyu.com/

Sunday 1 July 2012

読売書評 #13

片岡義男さんの短編集『恋愛は小説か』(文藝春秋)。7月1日掲載です。

高校生のころビリー・ザ・キッドを題材にした『友よ、また逢おう』(角川書店、1974年)をグラウンドの片隅で読んで以来の、38年にわたる片岡義男ファンです。片岡さんを知らなければ、ハワイにもニューメキシコやアリゾナにも行かなかったかも。

今回の書評では、片岡さんとある日本の小説家との類似、というよりも並行関係を、指摘しました。たぶんこれまで誰もいってないはず。

さて、それは誰か? 朝刊をぜひ読んでください。