Saturday 31 December 2011

よいお年を

そして今年も最後の一日。でも一年の最大の区切りを冬至と夏至に定めているぼくには、これはカレンダーのトリックでしかありません。きょうも通常業務です。いつまでも終わらない仕事ばかり。

年賀状を書く習慣を完全に失ったので、どなたにも出しませんが、悪しからず。いただいた方にも返事も出しませんが、悪しからず。またどこかで会いましょう。

ともあれ、明日からの年もよろしくお願いします。むりやり希望を作り出すことにしましょう!

(なお、大学院2期入試受験希望者のみなさんは出願スケジュールを再確認してください。待ってます。)

Wednesday 28 December 2011

「ふるさとと写真」

1月21日(土)、Saravah東京での「ことばのポトラック」第7回は、畠山直哉さんと大竹昭子さんの対談です。

http://www.saravah.jp/tokyo/schedule/log/20120121.php

ぼくはゲストとして詩の朗読をします。現代世界の最高の写真家のひとりである畠山直哉、故郷・陸前高田を津波で失った彼がさしだす写真とことばを、じっくりと見てください、聴いてください。

2012年のもっとも重要なイベントのひとつとなるでしょう。

「MOKU」2012年1月号

雑誌「MOKU」1月号に、短いエッセーを書きました。「口をつぐまず、語ってゆこう」(タイトルは編集部による)。

3月11日以後に自分が関わってきた朗読運動について。ぜひごらんください。

Monday 26 December 2011

メランコリーこそ

ハイチの作家リオネル・トゥルイヨがメランコリーについて書いていることが、あまりにも的確で目が覚めた。1956年生まれ、ポル・オ・プランス在住。ハイチ、いよいよおもしろい。

英訳で引用します。

Melancholy, that is a sickness that cures us of many others: smugness, the fear of doubt. It makes us live riskily: word and gesture, silence and action flirting with depression, from a need to engage wholeheartedly. (trans. by Linda Coverdale, in The Novelist's Lexicon)

石井康史への弔辞、南映子から

大学教師としての石井くんの教え子を代表して、南映子さんが弔辞を述べました。その全文も読めるようになりました。ぜひ読んでみてください。石井くんの人柄が(ぼくの知らなかった一面が)くっきりと想像できるようになりました。

http://alsur-jacaranda.blogspot.com/

石井康史への弔辞、旦敬介から

昨日の石井くんへの旦くんからの弔辞が、旦くんのブログに掲載されました。ぜひお読みください、そしてグラスに涙を。

http://keisukedan.tumblr.com/

『ろうそくの炎がささやく言葉』朗読会まとめ

結局、『ろうそくの炎がささやく言葉』朗読会は、各地で13回開催していただきました。


6月17日 タウンデザインカフェ神宮前(東京都)
8月5日 OYOYOまち×アートセンターさっぽろ(北海道)
8月21日 青山ブックセンター本店(東京都)
9月10日 土佐和紙工芸村「くらうど」QRAUD(高知県)
9月17日 カフェ・モーツアルト・アトリエ(宮城県)
10月7日 馬喰町ART+EAT(東京都)
10月8日 放送大学世田谷学習センター(東京都)
10月15日 リブロ池袋本店(東京都)
10月31日 Rainy Day Bookstore&Café(東京都)
11月23日 Rainy Day Bookstore&Café(東京都)
12月3日 住田町農林会館(岩手県)
12月17日 主水書房(大阪府)
12月18日 MEDIA SHOP(京都府)
これに加えて関連朗読会として、11月8日の名古屋今池TOKUZOでのドリアン助川とぼくのふたりライヴ、11月11日のタカイシイ・ギャラリー京都での「WALKING」展オープニング、11月25日、早稲田大学文化構想学部の横田和子さんの授業のゲスト朗読、そしてクリスマス・イヴのサラヴァ東京での「銀河鉄道」イベントがありました。
本は乗り物、乗っているのは言葉。それが誰か知らない人に届き、ふたたび空気をふるわせる声としてよみがえったとき、起きることは何か。その小さな場で、でもたしかに。
ぜひこの本を手に取って、収められた作品を声に出して読んでみてください。
各地でこのイベントを主催し、また参加してくださった聴衆のみなさん、ありがとうございました! 


クリスマス・イヴの小さな火

土曜日、サラヴァ東京での朗読イベントは満席。いい舞台ができてほっとしました。多くの人が、熱狂的といっていい感想をくれました。見て聴いてくださったみなさん、ありがとうございました!

第1部として詩の朗読セッション。ついで第2部は古川脚色の『銀河鉄道の夜』朗読劇。古川日出男の圧倒的パフォーマンスはもちろん、小島ケイタニーラブによるあまりにすばらしい主題歌「フォークダンス」、そしてぼくが書いた3篇の詩も、おなじひとつの川の流れとなって、空いちめんの銀河をつかのま映せたのではないかと思います。

第1部で読まれた作品のリストをしめしておきます。

宮澤賢治「冬と銀河ステーション」(古川)
谷川俊太郎「ろうそくがともされた」(管)*
宮澤賢治「青森挽歌」(古川)
管啓次郎「川が川に戻る最初の日」(管)*
山崎佳代子「祈りの夜」(管)*
宮澤賢治「春と修羅」(古川+管+小島)

これに、小島くんによるサウンドエフェクトが挟みこまれていきました。*の作品はいずれも『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)所収です。

ともあれ、午後1時から3時までのステージをサラヴァ東京ですませたあと、午後7時には青山ブックセンター本店、8時半には同・六本木店で、ゲリラ朗読ライヴをやりました! 本店はざっと25名、六本木店もざっと20名の方が、突然はじまった朗読にあっけにとられながらも、イヴのひとときを楽しんでくれたようです。

こうして終わったわれわれと賢治の互換性。でも! 今週、古川日出男によるCD本『春の先の春へ』(左右社)が発売されます。するとふたたび始まるのが、賢治とわれわれの互換性。

東北への終わりのない旅をつづけます。




R.I.P. 石井康史 (1959-2011)

快晴の降誕祭の日。17日に亡くなったわれわれの友人、石井康史のお別れの会が開かれました。

ラテンアメリカ文学者(特にアルゼンチン文学と批評理論の専門家)だった石井くんは30年来の友人。スタンフォード大学で学位をとり、ダートマス大学勤務を経て、慶應で教えていました。話好きで、全分野にわたる話がじつにうまく、面倒見がよく、友情に篤い。またギターがうまく(ロックからボサノバまで)、ポピュラー音楽にかけては国境など存在しないかのように知識がありました。

2年間の闘病生活もよくがんばり抜き、最後はキューバのミュージシャンのように瀟洒な白い麻のスーツを着て旅立っていきました。

多くの友人たちが参列した葬儀で、友人代表の旦敬介くん、教え子代表の南映子さんの心のこもった弔辞がみなさんの涙を誘いました。最後には、旦くん、上田紀行くんとともに、ぼくも骨を拾って彼を送りました。

さびしくなりました。でも彼と一緒に聴いたいろんな曲、彼と試みたギターのセッションなどを思い出すたび、ああ、いまも石井はここにいるじゃないか、とすなおに思えるのも不思議です。

悲しみに沈むよりは、つねに新しい言葉と音楽を求め、また潑溂と生きようと試みることのほうが、はるかに彼の心に近いと思います。誰にとっても旅はつづきます。いまはただvaya con dios! と声をかけて、彼に別れを告げることにしたいと思います。

いずれにせよ再会はすぐそこだ!

Wednesday 21 December 2011

「ちくま」2012年1月号

「ちくま」に見開きの小作文「かれらの心をなぞるようにして」を書きました。

レヴィ=ストロースの小さな好著『アスディワル武勲詩』がちくま学芸文庫に収録されたのを機会とする、解説的エッセーです。この本は彼の思想宇宙への最良の導入。

ぜひごらんください。

これで大丈夫!

24日のサラヴァ東京でのイベントのための最終リハーサルを吉祥寺のスタジオで行ないました。ほぼ、思い通りの構成を実現できそうです。第1部に40分、第2部に45分。古川日出男、小島ケイタニーラブ、ぼくの賢治をめぐるヴィジョンを十分に盛り込めました。

第2部朗読劇の部分は、これからさらに育てて、本格的なフォークソング・オペラに仕立ててゆきます。それをもって岩手、宮城、福島を訪れるのが、われわれの希望です。

まずは今年のクリスマス・イヴ。ぜひぜひお誘い合わせの上、見に来てください、聴きにきてください!

http://www.saravah.jp/tokyo/schedule/log/20111224.php

Tuesday 20 December 2011

「フィガロ・ジャポン」2月号

20日発売の「フィガロ・ジャポン」2月号の特集は「心が動く、本と映画」。ここに「言葉を巡って8カ月、ふたりの往復書簡」と題して、野崎歓さんとぼくの往復書簡が掲載されています。手書き。野崎さんの字、じつに味わいがあります。堀江敏幸さんの字に、ちょっと似ています。仏文学者の文字? ぼくは悪筆ごめんなさい。イヌ科動物の文字です。

内容はわれわれが編集した『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)をめぐるもの。この本を少しでも遠く広く深くしずかに届けたいと思ってきました。朗読ツアーは終わりましたが、これからもご希望があれば、どこにでも行くつもりです。

自主的な気楽な朗読会も、各地でぜひ企画してみてください。分子的なささやきの響きのために。

「ユリイカ」臨時増刊号「石川直樹」

「ユリイカ」の増刊・石川直樹特集に、「移住論」と題する16行詩10片の連作を発表しました。ぜひごらんください。

セージの香りがする原野にいると氷原を考える
島影もない大洋にいると峻厳な山岳地帯を考える
おれの心はそれほどparadoxicalだが笑わないでくれ

Monday 19 December 2011

大阪、京都、終わった、でも何も終わらない、終わらせない

17日(土)に堺市の主水書房、18日(日)に京都のメディアショップ。朗読会はいずれも盛況でした。これをもって『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)の活動を、いったん終了します。

主水書房は花道みささぎ流家元、片桐功敦さんの稽古場でもあります。すべてが考え抜かれた最高の空間に、鹿の骨を彫った橋本雅也さんの彫刻が飾られ、和蠟燭の大興4代目・大西巧さんのろうそくが会場と庭を照明してくれました。みんなが自分の感じたひとことを紙片に記し、庭で火にくべてから帰るという演出まで、あまりに新鮮な、あまりに目を開かれる、あまりに新たな勇気を与えられる経験でした。

朗読者は岡澤理奈(装幀家)、佐々木愛(美術作家)、津田直(写真家)、橋本雅也(彫刻家)、田内志文(翻訳家・作家)、片桐功敦(華道家)、服部滋樹(graf 代表)、細見和之(詩人)、鞍田祟(哲学者)、新井卓(写真家)、工藤庸子(フランス文学者)とぼくでした。

メディアショップはダウンタウン京都のどまんなかにある瀟洒な白の書店。ここも気持ちのいい、力にみちた空間で、シリーズの締めくくりにふさわしい場所でした。朗読者は田内志文、工藤庸子、細見和之、佐々木愛、山崎佳代子(詩人)、岡澤理奈、そしてぼく。ベオグラード大学教授でもある山崎さんについにお会いできたのが、非常にうれしかった。

どちらも会場に集ってくださった聴衆のみなさまのおかげで、本当にいい夕べになりました。東北へのチャリティ本として構想された『ろうそくの炎』ですが、その有効性はよくわかりません。でもある種の波動を波及させることはそれなりにできたと思います。それが日本社会をポジティヴに変えてゆく力の一端となることを願います。

20日発売の「フィガロ・ジャポン」に、この本をめぐる野崎歓さんとぼくの往復書簡が掲載されます。朗読ツアーは終わっても、何も終わっていません。終わっていない事態を終息したと称する者たちに反対しましょう。

Thursday 15 December 2011

「すばる」2012年1月号

これも忘れてました。「すばる」1月号に川上弘美『神様2011』の書評を書いています。震災後、川上さんが書き直した旧作短編。そこにこめられたものを論じています(短いけれど)。

http://subaru.shueisha.co.jp/contents/1201.html

「水牛のように」12月号

このお知らせを忘れていました。12月号、1日に更新されています。

http://www.suigyu.com/sg1112.html

毎月2片の16行詩。このペースで、細く、長く。年に24片。20年やれば480片。いいなあ、そうなると。やりましょう。やります!

Wednesday 14 December 2011

大学院説明会です

明治大学理工学研究科新領域創造専攻では、「大学院進学を勧める会」を以下のように開催します。いちおう明治学内生が対象ですが、外部から参加希望の方はお気軽にどうぞ。そのとき声をかけていただければ、詳しい相談に乗ります。

絶対に楽しく充実した研究生活が送れます。自分の可能性をとことん追求してください(といって論文を書かないのはダメ)。

では20日に会いましょう!

*****


新領域創造専攻主催「大学院進学を勧める会」



日時 12月20日(火) 12:10~12:50
会場 A302(定員80名)
主催 明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻

2008年に最初の入学生を迎えた明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻は、「安全学系」「数理ビジネス系」「ディジタルコンテンツ系」の3系に分かれ、文・理の諸分野の融合に立って、現代地球社会のさまざまな問題を考える研究と創造にとりくんでいます。

「大学院進学を勧める会」では、新領域創造専攻とは何か、そして大学院進学の意義とは何かを、分かりやすく紹介します。

この機会にぜひ気軽に参加して下さい!

内容

1 開会のあいさつ・・・・・・・・・・・・・  向殿政男
2 新領域創造専攻とは?・・・・・・・・・・ 宮下芳明
  大学院修士課程とは?・・・・・・・・・・ 宮下芳明
3 現役大学院生からのメッセージ
  (1)安全学系
  (2)ディジタルコンテンツ系
4 質疑応答
5 閉会のあいさつ・・・・・・・・・・・・・・管啓次郎

                         

Tuesday 13 December 2011

12月24日まで

降誕祭前夜まで、あと2週間を切りました。古川日出男、小島ケイタニーラブとぼくのSaravah東京でのイベント日です。

http://www.saravah.jp/tokyo/schedule/log/20111224.php

みなさん、お誘い合わせの上、ぜひいらしてください。われわれにありうるかぎりの力を集中するステージにします。響きと怒りと悲哀とよろこびの舞台にします。

Friday 9 December 2011

山浦玄嗣先生の津波体験記

先日、朗読会をご一緒した大船渡の医師にしてキリスト者、山浦玄嗣(はるつぐ)先生。先生による克明な「3・11巨大地震津波体験記」が仏文学者・小説家の花輪莞爾さんの新著『海が呑む 3・11東日本大震災までの日本の津波の記憶』(晶文社)の巻末に「特別寄稿」として収められている。山浦さんが花輪さんの高校の後輩であるというご縁から実現したものらしい。

花輪さんの力作も読み応えがあるが(まだ少ししか読んでいない)、山浦さんの血と涙で書いたようなこの体験記は、通勤電車内でひといきで読み、深く感動した。お勧めします。数々の忘れ得ない言葉があるが、まずは気仙の幼稚園児たちを描く次の数行をあげておこう。

(以下引用)

幼稚園児の一団が寒さに震えながら、コヒドロ山の上から津波の引いた後の惨憺たる街を見下ろしていたが、誰に音頭を取られたわけでもないのに、いきなり大声で叫びだした。
「津波になんか、負けないぞ!」
咽喉も裂けよと叫びだすその声に、脇で聞いていた大人たちが奮い立ったという。
「気仙衆(けせんし)というのはすさまじいですね」と、和歌山県から来た老神父が、後に私に語ったことである。

大阪と京都

17日、18日の週末、『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)の最終朗読会を大阪と京都で開催します。

http://lemurmuredesbougies.tumblr.com/

もともと夏至から冬至までを活動期間と定めていた朗読シリーズでした。言葉の無力を見据えて続けてきましたが、何人かの人から各セッションがいかに強く記憶に残る場になったかの感想を聞かせていただきました。それだけで、よかったと思います。

これまでに参加してくださったみなさま、ありがとうございました。そしてご都合のつく方は、ぜひ大阪か京都にいらしてください。

Tuesday 6 December 2011

TPPシンポジウム開催!

もうひとつ、当研究室主催で、シンポジウムを開催します。TPPといってもTrans-Pacific Poeticsのこと。

俳句とモダニズム詩の研究者ジェフリー・ジョンソンさん、リービ英雄さんの英訳者であるクリストファー・スコットさんが発表し、野村喜和夫さんが最近出版されたご自分の英訳詩集の朗読をしてくださいます。ぼくも何か読むかも。

この土曜日、猿楽町校舎、2時から。ぜひお誘い合わせの上、お越しください。

http://www.meiji.ac.jp/sst/information/2011/6t5h7p000008dgj2.html

ところで

「川から海へ」という主題は去年のいまごろには決まっていました。この3月に、海と人々の関係をまた深く考えさせられる強烈な事態があったものの、今回の展示には津波を盛り込むことはできませんでした。山田龍太によるベカンベウシ川下りの映像をゆっくり楽しんでみてください。その先に、また何かを考えてゆきましょう。

「川から海へ」

明治大学生田図書館Gallery ZEROで、3日からぼくの研究室主催の作品と図書の展示がはじまりました。題して「川から海へ」。ゲストとして写真家の兼田言子さんとカヌーイストの山田龍太さんを迎え、学生のみんなも力作をそろえています。ぜひごらんください。

http://www.lib-ref.jp/meiji/opennews/NewsViewAction.do?id=NS00000730

2009年の「WALKING 歩行という経験」、2010年の「樹木 木と人の心」に続く第3弾。最初の「WALKING」が、その後、札幌のモエレ沼ギャラリー、京都のタカイシイギャラリーへと巡回していることはご存知のとおりです。

さて、来年は? 早くもお楽しみにといいたい気分です!

Monday 5 December 2011

ありがとう住田町、そしてみなさん!

土曜日、住田町での朗読会は町の人口の1パーセントを集める盛況でした。秋の夜にお出かけくださったみなさん、すべてを準備してくださった「まーぶる」のみなさん、教育長さん、会場のお手伝いのみなさん、報道のみなさん、ほんとうにありがとうございました。

朗読会には一種の化学反応のようなものがあって、そこに集う人の顔ぶれによってかなり雰囲気がちがいます(読み手も、聴き手も)。今回は読み手の側(柴田さん、ぱくさん、堀江さん、山浦先生とぼく、そしてお話をしてくれた新井さんと関戸さん)の組み合わせもこの場にちょうどよくて、2時間半のセッションにずっと耳を傾けていただいたみなさんの熱に支えられて、いい夕べになったと思います。

同時開催の新井さんの一日かぎりの写真展もすばらしかった!

でもなんといってもケセン語訳聖書の山浦先生の存在を抜きにしては、これだけの充実した場にはできなかったはず。打たれました、ケセン語訳ヨハネによる福音書。山浦先生の教会には、いつか必ず伺います。

まずは報道をいくつか。まず岩手日報。

http://www.iwate-np.co.jp/hisaichi/h201112/h1112051.html

ついでテレビ岩手。

http://www.dailymotion.com/video/xmr48e_yyyyyyy-yyy_news

翌日、大船渡と陸前高田の海岸部にみんなで行きました。みんなでじっとたたずみました。強い強い風が吹いていました。9か月前の春のことを考えました。

冬を迎えるいま、まるで無力なわれわれですが、次の春を思いながら、われわれにできるかぎりの声を発してゆきたいと思います。

Saturday 3 December 2011

岩手へ

『ろうそくの炎』関連朗読ツアー。明日は岩手県住田町の住田町農林会館で、午後5時半からです。

出演は柴田元幸、ぱくきょんみ、堀江敏幸、山浦玄嗣、新井卓、その他のみなさん。尊敬する友人たちと一緒に出かけることだけで大きなよろこびですが、特にケセン語の山浦さんにお目にかかるのが楽しみでなりません。

以下、勁草書房ホームページに情報があります。明日、ぜひ住田町でお目にかかりましょう!

http://www.keisoshobo.co.jp/news/n3043.html

Thursday 1 December 2011

『混成世界のポルトラーノ』完成!

同僚たちとの科研費グループで書いた紀行文集『混成世界のポルトラーノ』見本が完成しました。左右社から、12月7日発売。

林ひふみ、清岡智比古、波戸岡景太、倉石信乃、そしてぼく。それぞれの旅のエッセンスを率直に語った、なかなか類例のない本だと思います。それぞれの気質や文体の違いもそっくり表れて。

お楽しみに!

「ちび王子」増刷!

『星の王子さま』(角川文庫)、2刷です。

なんといっても小池昌代さん、安田沙絵さんと青山ブックセンター六本木店でやった朗読劇「ちび王子」、王子(安田)ときつね(小池)の出会いの場が楽しかった! またやりたいものです、いつか。

Monday 28 November 2011

この言葉が

新聞は読んだり読まなかったり。読んだ日の新聞は処分するが読めない日の新聞は積んであって時にはずっと後で読む。それで驚くこともよくある。

11月16日の「朝日新聞」文化欄で、畠山直哉さんの言葉が紹介されていた。池澤夏樹さんとの対談からのものらしい。引用。

「思い出すと、幽霊になったような、地面から30㌢くらい上に浮いたような状態で、ふわーっと漂いながら写真を撮っている。そんな気持ちでした。」

11月25日の「朝日新聞」夕刊には、南三陸町の詩人・須藤洋平さんが紹介されていた。『みちのく鉄砲店』(2007年度・中原中也賞)でわれわれに衝撃を与えた彼の新詩集は『あなたが最期の最期まで生きようと、むき出しで立ち向かったから』(河出書房新社)。今年ぼくが読んだもっとも強烈な詩集です。ぜひ読んでください。

以下、引用。

逝ってしまった者たちを追いかける前に、私は生き残ったことを
確認しあえたあの時の歓喜を思い出すようにしている。
狂ったように泣き合い、泥をこねるようにして抱き合った歓喜を。
あの時のことを、私は生涯忘れないだろう。(「ハレルヤ」)

穏やかな海にしぶきをあげてもぐり
私たちは何度も何度も
死ぬ真似をしながら生きてゆく (「合掌」)

つまんだら潰れてしまう小さな虫のような
奇跡たちが全身にはびこり、
この雪のぱらつく南三陸の空を自在に飛びまわる。(「宿命論」)

そしてある荒れた日あなたは岸に打ち寄せられた。

なおちゃん、あなたがあがるまでの131日間、
片時も忘れずにずっと、あなたのことだけを想い続け、
すごしてきた人たちがここに確かにいるよ。 (「片時も忘れずに」)

鋭いガレキの中を、
私は歩き続けねばならない。 (「20195人」)

Sunday 27 November 2011

Come together!

明治大学理工学研究科の2期入試、出願は1月10日〜16日までです。受験を考えている人は、年内にいちど相談に来てください。ちょうど生田では、図書館のギャラリー・ゼロで、ぼくの研究室の展示第3弾「川から海へ」を開催します。12月3日が初日。見物がてら生田に来ていただいてもいいし、猿楽町の授業日でもかまいません。

ディジタルコンテンツ系。

北島敬三に写真を学び、
近藤一弥にデザインを学び、
陣野俊史に音楽文化を学び、
大澤真幸にメディア/社会論を学ぶ。

こんなところは他に絶対にありません。

以上のみなさんは兼任講師(非常勤)。専任では倉石信乃(美術史、写真批評)、波戸岡景太(アメリカ文学、トマス・ピンチョン研究)、そしてぼく(コンテンツ批評、映像文化論)がメディア/批評系を担当し、情報科学/コンピュータサイエンス系は俊英と呼ぶにふさわしい若いふたり、宮下芳明と福地健太郎が、音楽から画像からプログラミングにいたるすべてを担当します。

一緒に学びましょう、考えましょう、壊しましょう、作りましょう!

Thursday 24 November 2011

「アフンルパル通信」12号

札幌で粘り強くつづけられるリトルマガジン「アフンルパル通信」12号が出ました。うれしい。吉成くん、よくがんばったね。

今号の寄稿者は、ホンマタカシ、かわなかのぶひろ、宇波彰、くぼたのぞみ、田中庸介、長屋のり子、佐藤雄一、前野久美子、山田航、関口涼子、中島岳志、小川基、とぼく。表紙写真の被写体は吉増剛造。

これだけの雑誌=雑志は、そうはありません。お求めは書肆吉成までどうぞ。

http://camenosima.com

です。今後とも年2回ほどのペースで進んでいきます。よろしく!

「声とリズム」終了

23日、15〜18時という長時間にわたったイベント「声とリズム」、ぶじ終了。

金子飛鳥さんのプロジェクト「本・つながる・未来」と『ろうそくの炎がささやく言葉』の共同企画でした。朗読は新井高子、小沼純一、柴田元幸、田内志文、根本美作子のみなさんと、ぼく。バイオリンに金子飛鳥さん、パーカッションに渡辺亮さん。そしていつものようにPAと照明の面倒を見てくれたのは、われらが友人・小池アミイゴさんでした。

よかった。いい言葉と音が出てきた。本に収録されていない作品を含めて、まるで海洋性気候のように、情動の波と風と日光がコンスタントに変化をつづけました。朗読だけでは、ここまでのうねりは出てこない。飛鳥さんの変幻自在のバイオリン、そして亮さんのアフリカの市場のような多彩なパーカッション群が、すべてを彩り、増幅してくれました。

あらたかさんの情感と温かみ、小沼さんの新作ととっておきの秘密兵器、柴田さんのでっかくて鋭い本質的にロッケンロールな声、田内さんの少年の心のなつかしい新境地、根本さんの涙なくしては聞けないパーソナルな悲嘆。ぼくにとっても友人たちの新たな面を知る機会になりました。

終了後、みんなでRainy Day のスタッフのみなさんが握ってくれたおにぎりをいただきながら、遅くまで話し合いました。自分たちがやっていることに意味はあるのか、何がどこに届くのか、冬を迎えて各地の状況はどうなるのか、われわれの社会にどんな別のデザインをもちこめるのか、いま新たに何ができるのか、など。容易に答えが出せることではないけれど、この仲間たちと、そしてやがて出会う新たな仲間たちと、これからも持続的に考えていこうと思います。

Tuesday 22 November 2011

この本を見よ

待っていた本が出ました、ついに。待ち望んでいた本です。山内明美『こども東北学』(イースト・プレス)。疑いなく、今年出版されたもっとも重要な本の一冊です。

明日、書店で買ってください、読んでください。話し合ってください。忘れてはいけないことを忘れないために。

「わたしたちは、いったい、どこへ向かっているのだろう。」

Monday 21 November 2011

「昨日の森から明日の色へ」

しずおか連詩、終了。土曜日の夕方に完成し、日曜の午後に聴衆のみなさんを前に発表会を行いました。主催は静岡県文化財団、共催は静岡新聞社・静岡放送。大岡信さんの提唱で始められた会ですが、他に類例のない試みです。

三角みず紀さんの第1詩

おだやかに澄まされた耳元が
今日という日が晴れたとて
昨日の森がどうであったのか
明日が何色に見えるのか
快晴に染まりながら問われている

に始まり、ぼくの第40詩

「地獄の門」の実在を信じる必要はない
生命の薪は燃えて新しいかがり火となる
朝の美しい約束が海岸で待っている

に終わる作品の全体は、本日の静岡新聞朝刊に掲載されています。

今年のタイトル「昨日の森から明日の色へ」は歴代最年少参加者である三角さんの第1詩からとられたもの。三角さんの大胆な語法、川口さんのエレガントな知性、城戸さんのパウンド的博識、野村さんの誠実な探求心、共同制作には最高の仲間たちでした。

主催・共催のみなさんには本当に本当に良くしていただいて、どんなにお礼を申し上げても足りないほどです。日々の引率者だった静岡新聞企画事業局の杉山朋子さん、担当記者の岡本妙さんをはじめとするみなさま、ほんとうにありがとうございました。

聴衆のみなさんも熱心で、現代詩にこれだけの関心が集まるのは珍しいのではないでしょうか。この会が年ごとに新たに続けられることを心から願います。

ぼくにとっては秋の小さな旅、そして意識の大きな旅でした。

Saturday 19 November 2011

「しずおか連詩の会」2011

東静岡駅前にある磯崎新設計の不思議なかたちの建物がグランシップ。その最上階で「しずおか連詩の会」2011が進行中です。

5人の詩人が3日間にわたり、5行、3行、5行、3行と連詩を重ねてゆくもの。最終的には40片、160行の長い詩になります。

野村喜和夫さんを中心に、三角みづ紀、川口晴美、城戸朱理のみなさんとぼくが参加。前の人の言葉を追ったり飛躍させたり別の方向にむかわせたり、思いがけない展開が出てきて大変におもしろい試み。

きょう土曜日の夕方までに完成予定。明日はその発表会です。完成まで、きょうも一日苦しんできます!

23日(水・祝)はRainy Day Bookstore & Cafe へどうぞ

23日、以下のイベントを開催します。『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)の執筆者チーム朗読会としては、東京ではこれが最後。金子飛鳥さんの「本・つながる・未来」プロジェクトの一環として開催します。ぜひいらしてください。



~本と読書、音楽を通じて想いを届ける~ 

Rainy Day Bookstore & Cafe「本・つながる・未来」プロジェクト第5回イベントを
【11月23日(水曜・祝日)に開催】致します。暗い夜に朗読するための作品たち、東北にささげる言葉の花束『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)との特別企画で、前開催は即日で予約満員御礼となったコラボ企画の第2弾です。この度も、この度こそ、朗読と音楽の会「声とリズム」に、ぜひご参加ください。

■ 2011年11月23日(水・祝) 開催
 Rainy Day Bookstore & Cafe 本・つながる・未来  Vol.5
「声とリズム」~ 本・つながる・未来 × ろうそくの炎がささやく言葉  特別企画 Vol.2 ~

 朗読:新井高子・小沼純一・柴田元幸・管 啓次郎・田内志文・根本美作子
 演奏:渡辺 亮(パーカッション)・金子飛鳥(ヴァイオリン)音響:小池アミイゴ

【 本・つながる・未来 プロジェクト Vol.5「声とリズム」開催のことば 】

 「 確かなコトバを探すことから一時自分を解放させて
  言葉と音のゆらぎを遊びにいらっしゃいませんか?
  そこにいて空気のやわらぎを感じることのできる誰かとの距離
  ろうそくの光は自分との距離も近づけてくれるような気がします。
  東北に思いを馳せながら、秋の夜長をRainy Day Bookstore & Cafeにて。
  お待ちしています。」
   [本・つながる・未来]発起人:金子飛鳥

 「突然に電気が奪われ、闇があたりをみたす。不安が押し寄せる。
  そのとき、一本のろうそくの炎に集い、
  おなじ声に耳をかたむけることができたなら。
  朝は必ずやってくる。心と心はそれまで隣り合ってすごすことができる。
  詩が、物語が、人を楽しませ、励ます。
  そんなことを願いながら、この本を作りました。
  ぜひ手にとって、そこに記された声を聴いてください。」
   『ろうそくの炎がささやく言葉』共編者:管 啓次郎

■ 2011年11月23日(水・祝)
 15:00~(受付開場14:30~)終演予定 18:00
 *イベント開催日のRainy Dayの通常営業は、
  定休日のためお休みとさせていただきます。
 
■ イベント詳細WEB【 http://www.switch-pub.co.jp/events/310112230.php

■ 参加予約受付中 TEL.03-5485-2134(担当:ハヤシタ宛)
(Rainy Day Bookstore & Cafe/平日13:00~21:00 土曜~18:00<日祝定休>)
■ 入場料: 3,000円(税込・1ドリンク付・自由席)
 *入場料から500円をいただき、東日本大震災への義援金および、 
 「本・つながる・未来」支援活動資金として活用させていただきます。 

■ 会場:Rainy Day Bookstore & Cafe
 東京都港区西麻布2-21-28 スイッチ・パブリッシングB1F(最寄駅:表参道)
 (表参道・骨董通りを西麻布方面に直進。高樹町交差点・
  富士フィルム西麻布ビルの裏手、長谷寺の横、白い3階建てのビル)

■ 店舗紹介・地図はこちら→【 http://www.switch-pub.co.jp/rainyday/ 】

■ 本と読書、音楽を通じて想いを届ける
「本・つながる・未来」プロジェクトとは?目的・詳細はこちら

Friday 18 November 2011

古川日出男+管啓次郎、降誕祭、銀河鉄道

お待たせしました。告知と予約開始です。降誕祭前夜の12月24日午後、渋谷松濤町のSaravah東京で「古川日出男+管啓次郎、『春と修羅』『銀河鉄道』を読む」と題したイベントを開催します。

http://www.saravah.jp/tokyo/schedule/201112.php

8月21日の青山ブックセンター本店、『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)刊行記念朗読会での衝撃的な「春と修羅」の朗読を受けて、左右社から古川日出男による宮澤賢治の朗読CDブックを12月に発売します。冊子には朗読テクストのみならず、古川日出男、小池昌代、そしてぼくによるエッセーが収録されます。

今回はその刊行記念イベント。古川さんとぼくに加えて、シンガー・ソングライター&ギタリストの小島ケイタニーラブが加わり、声と朗読のステージをくりひろげることになるでしょう。

第2部では『銀河鉄道の夜』を朗読音楽劇として3人で上演します。はたしてどんな舞台になるか? ご期待ください。

われわれはこの全体を「東北」と呼ばれる地域にささげます。東北の冬のために、冬の先の春のためにささげます。

Tuesday 15 November 2011

くぼたのぞみさんの旅が

なんと! われらが友人、翻訳家のくぼたのぞみさんが、いまケープタウンに滞在中です。遠い、遠い町。ぼくはたぶん行かない町。でも興味津々の町! 

のぞみさん、どうか安全に、お元気で、とことん楽しんできてくださいね。

土産話を楽しみにしています。

http://esperanzasroom.blogspot.com/

Sunday 13 November 2011

京都、秋の京都

短い旅から帰りました。夕方に着いて翌朝には出たので、秋の京都やその寺院や紅葉を楽しむにはいたらなかったけれど。

タカ・イシイギャラリーでの「WALKING」展、かっこいい展示になりました。天井の高いおもしろい空間で、並べられた図書がすごい。本を貸し出していただいたモエレ沼公園、その学芸員の宮井和美さんに、心からお礼を申し上げます。

朗読は、まずぼくの「WALKING」展示の詩を3つ。「非在の波」から2つ。ついで『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)から、谷川俊太郎、岬多可子、山崎佳代子のみなさんの詩、そしてぼくの作文「川が川に戻る最初の日」を。

途中、老舗の和蠟燭屋さん「わた悟」のろうそくに佐々木愛さんが点火して、これでまた空間が変わりました。床面を転げ回って遊ぶ野生児たちの絶叫を背景に朗読するという希有の経験で、沈黙や静寂の効果はまったく出せませんでしたが、これもまた楽し。

タカ・イシイギャラリーの山口さん、安丸さん、ありがとうございました!

大阪、京都の「ろうそく」朗読ツアーは12月の17、18日にも予定されています。それがこの本の関連朗読会の、事実上の締めくくりとなります。関西在住のみなさん、またクリスマス直前の時期に、よろしくお願いいたします。

Thursday 10 November 2011

「共演」の贅沢

このところ、朗読の機会が増えている。10月31日にはRainy Day Books & Cafeでのイベント。バイオリンの金子飛鳥さん、ピアノの谷川賢作さんに支えられ、自分の声がまったく別の次元に飛ぶ経験をした。

そして痛感したのが、「共演」という最高の贅沢。この日は小沼純一さんのおだやかでやさしい声を間近で聴き、ついで谷川俊太郎さんの若々しい声で読まれる「みみをすます」を30センチの至近距離で聴くことができた。打たれた。感動した。詩の直接的な力を実感した。

昨日(8日)は名古屋・今池のライヴハウスTOKUZOでのドリアン助川さんの朗読にゲスト出演。ハワイ、カリブ海、アメリカ南西部をむすんで、旅のエッセーと詩をよんだ。

これはまったくの声だけのパフォーマンスだったけれど、ドリアンさんの芸人根性(?)に改めて感動! 彼はすべてを空でいえる。ぼくは活字の配列をよんでいる。これは大きな差異。

でも彼のパワフルで繊細な語りを聴いて、改めてこっちも精進しようという気になる。歌ではない、言葉と音楽の共同にも意識がむかう。

11日(金)には京都のタカ・イシイギャラリーで朗読します。

Monday 7 November 2011

「日本経済新聞」11月6日

きょうの日本経済新聞読書欄に河村英和『イタリア旅行』(中公新書)の書評を書きました。つねに外国人たちを引きつけ、発想の源泉となった国、イタリア。ミラノもローマもナポリも知らないぼくは、改めてゆっくりイタリアを訪ねてみたくなりました。

(ちなみにぼくが知っているイタリアは、コロンブスの家を見に行ったジェノヴァ、パヴェーゼを偲びに行ったトリノ、路上で「黒猫のタンゴ」を歌ったサンレモだけ。)

Saturday 5 November 2011

人口600人の村へ

ただでさえ狭い家が、もう収拾がつかなくなってきた。物が多いのは恥ずべきことだけれど、多い、恥じています。そしてアイテムとして数えたとき、家のアイテムの8割くらいが本かも。文字通り本に埋もれて死んだ草森伸一さんや、わが永遠の先達・植草甚一さんのようなライフスタイルは結局のところ自分のものではないので、これから本を激減させます。

そのために。うちを定住人口600人を限度とする村だと考えることにした。残りはぜんぶ観光客。本はそれぞれがそうした人。定住人口はそれぞれ家をもっている(決まった本棚)。残りは一時滞在用のホテルかヴィラにいてもらう。そして一定期間が過ぎたら帰っていただく。どこかへ。

こうすれば片付くだろうなあ。要するに、本を情報の資源として見るから、建築素材として考えるから、手元にいろいろ置きたくなる。情報や建築において貧しく生きることを決意すれば、本はそんなにいらない。それより、600人の村民を良く知る村の郵便局長かお医者さんか村民新聞主筆のようなものになればいい。

生きてゆける時間もたぶん少なくなってきたので、人々が交錯しつねに多彩な実験が試みられる都市からは引退して、この村で生きていく、考えていく、書いていく。

そんな風に決意した秋の夕方でした。博識は人にまかせて、無知でやっていきます。あ、もともとそうだった!

「WALKING」展・京都ヴァージョン!

2009年、明治大学生田図書館ギャラリー・ゼロで始まったのが「WALKING」展。この夏の札幌・モエレ沼公園につづいて、第3ヴァージョンが京都のタカイシイ・ギャラリーで開催されます! 今回のタイトルは「WALKING 歩くこと、描くこと」です。

http://www.takaishiigallery.com/jp/exhibitions/2011/walking/

11月11日がオープニング。ぼくは30分程度の朗読をします。

佐々木愛さんの絵とぼくの詩の共作ですが、これからもどんどん発展し進化しながら、宇宙の辺境をさまよってゆくことになるでしょう。それにはやはりモエレ沼の宮井さんから得た励ましが大きかった! ほんとうにありがとうございます。

会期はクリスマスまで。ぜひごらんください。そのために京都に? それもいいかも!

Wednesday 2 November 2011

「水牛のように」11月号

「水牛のように」更新されました! 今月も「犬狼詩集」2片。

http://www.suigyu.com/

八巻美恵さんのブログに、日記には明日のことを書く、とあってしばし笑いが止まらず。これ、いいと思います。

歴史家たちはそろそろ来年のことを書きはじめてください。

Sunday 30 October 2011

「東京新聞」10月31日夕刊

明日、31日(月)の東京新聞夕刊に、ぼくのエッセー「マウイの海辺の墓地」が掲載されます。写真も。

現在、明治大学生田図書館ギャラリー・ゼロで開催中の「混成世界のポルトラーノ」展にも通じる内容です。ぜひ読んでみてください。

「本の島」ブックフェア

青山ブックセンター本店で、本の島ブックフェアが新たに展開中です。8人が選んだ本が、島々となって並んでいます。フェアの書籍を購入するともらえる冊子「本の島々」に注目! 山元伸子さんのシンプルでやさしいデザインが、心にいい、つまり、体にもいい。そこからまた未知の風景がひろがります。

本の島コーナーには自由に感想を書き込めるノートがおかれていますが、先日、おや? フランス語で書かれたメッセージを発見! なんとあのパスカル・キニャールさんでした。

キニャールのどれもすばらしい本は、高橋啓さんの名訳で、津田新吾の編集により青土社から何冊も出ています。彼のメッセージを津田が見ることができたなら、どんなによろこんだことか。それがかなわないなら、いまぼくらがそれをよろこぶことが、たぶんいちばんいい、その代理となる行動なのでしょう。

本の島々のためには。みんな本を読もう、その海に潜ろう、その浜辺を散歩しよう。

世界を変えるために。世界とともに自分が変わるために。

『コロンブスの犬』書評、紹介

河出文庫版となって22年ぶりによみがえった『コロンブスの犬』。陣野俊史さんによる書評が「週刊金曜日」10月28日号に掲載されました。

「旅するすべての人、必読の名著」(!)なお、今回が陣野さんのこの雑誌の書評委員としての最後のお仕事だそうです。

そして「図書新聞」11月5日号には、「彷徨しながら読むことを求めてくる本」と題された紹介文。「最後に残るのは、何かとてもうつくしい未知なものが心に触れてきたという感慨である」。

陣野さん、図書新聞のMさん、ありがとうございました! この本だけは、いまの学生のみんなにぜひ読んでほしいと思っています。読んだらとりあえず、どこかに行っておいで。たとえそれが隣町、隣の駅前でも。そこらの野原でも、河原でも。

Saturday 29 October 2011

「静岡新聞」10月27日(木)

木曜日の静岡新聞に、「2011年しずおか連詩の会」の参加者5名の抱負が掲載されました。川口晴美、城戸朱理、野村喜和夫、三角みづ紀のみなさんと、ぼく。発表会は20日です。

3泊の合宿による創作。これはまちがいなく、世界的に見ても貴重な試みです。何ができるかわからないけれど、楽しみ。

(なお、ぼくの写真は清岡智比古撮影! 場所も清岡さんの研究室です。)

Wednesday 26 October 2011

「混成世界のポルトラーノ」展

同僚たちと現代世界文化の混成化をめぐる共同研究を進めてきましたが、このチームの5人による写真と報告の展示を、明治大学生田図書館ギャラリー・ゼロで開催します。10月29日(土)から11月13日(日)まで。

林ひふみ(中国語)、清岡智比古(フランス語)、波戸岡景太(英語)、倉石信乃(美術史)、そしてぼく。われわれ「総合文化教室」の、この3年間の旅の記録でもあります。

生田の駅からは徒歩10分、秋の散歩にはもってこい。ぜひいらしてください!

また大学院・新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系の受験を考えている人は、この機会にご相談に乗りたいと思います。

中沢新一さんと

「現代思想」11月号は特集「ポスト3・11のエコロジー」。明治大学野生の科学研究所長・中沢新一さんとぼくの対談「エコロジーの大転換」が掲載されています。ごらんください。

ゼミ生のみんなは、この号全体についての議論を近いうちにやるので、必ず入手して読んでおくこと。

「ペレ、ハワイの神話」への感想

うれしい感想、届いています。

Norah-Mさんのブログ
http://d.hatena.ne.jp/norah-m/20111025#c

「散歩者の日記」
http://d.hatena.ne.jp/snafkinne/

どうもありがとう、励まされます。いつか、より完璧なかたちで再演します!

Monday 24 October 2011

いいぞ、コーちゃん!

ぼくの研究室所属の修士1年・松本晃次郎くん(広告研究)が、My Japan Award 2021というコンテストで優秀賞を獲得しました。

http://my-jpn.com/awardwinner/

コンセプトの勝利だね。他のみんなもあらゆる賞に応募してください。さしあたってジェフンは、留学生スピーチコンテストをがんばって! 

「出身地」って

この数ヶ月のあいだ、いろんな機会に3人の方から「愛媛はどちらですか?」と訊ねられた。誰かがぼくのWikipediaの項目に「愛媛県出身」と書いた、そのせいらしい。

たしかにぼくは愛媛県で生まれたけれど、父方も母方もその土地には無関係だし、そもそも生後半年しかいなかった。それを「出身地」といわれるのも、ぴんとこない話。

それからも転々と引っ越したので、故郷と呼べる場所はないし、どこかに対する愛着も特になかった。成人するまでは。それからだんだん自分で選んだ土地で暮らすようになって、また考えも変わったけれど。大好きな土地もいくつもできたけれど。

愛媛はまた訪ねてみたい、もちろん。山奥です。大江健三郎先生の故郷のそばです。でもWikipediaの「愛媛県出身」は、誰か消しておいてくれないかなあ。

*****
と書いたら、早速どなたかが消してくださったようです。どなたか存じませぬが、ありがとうございました!

「びーぐる」第10号

季刊「びーぐる 詩の海へ」(澪標)第10号が発行されました。特集「詩学再創造に向けて」。ぼくは短いエッセー「詩学」を寄稿しました。

短いけれど、ぼくの基本的な姿勢をしめしています。ぜひごらんください。

清岡さんによる感想

われらがカリスマ・フランス語教師の清岡智比古さんが、昨晩の会の感想をご自分のブログで書いてくれました。

http://tomo-524.blogspot.com/

なるほど、的確。清岡さん、ありがとうございました!

ハワイへの想像の旅、終わって

日曜日の夜、Saravah東京でのAyuo との朗読&コンサート「ペレ ハワイの神話」を開催しました。おかげさまで満員! 集中力のある、いい舞台になったと思います。

第1部はぼくの朗読中心、第2部はAyuoによる神話解釈のパフォーマンスと音楽。メロディ・センスのよさが光り、それを完璧に肉づけるクワルテットとパーカッションの演奏、そして踊りに、観客のみなさんがほんとうに楽しんでくださったようです。

ぼくが敬愛する映画監督のOさん、作家のFさんとその相棒の音楽家Kさん、あるいはまた独自の驚異的構想力のある音楽家であるMさん、フラメンコの演出家で舞台芸術研究者のSさんなどが見に来てくださり、緊張しましたが、なんとか。

Ayuoさんとのプロジェクトはこれからも別のかたちで続けていきたいと思います。彼の独創性とパフォーマーとしての才能は、いまよりはるかにはるかに評価されてしかるべきです。ぜひ、よろしくお願いします。

Sunday 23 October 2011

大竹昭子さんへの感謝

「Figaro Japon」12月号で、大竹昭子さんが『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)の書評を書いてくださいました。さすがにゆきとどいた評、ありがとうございました!

大竹さんは文章道でいえば7段くらい(つまり実力上の最高位)の方。「ことばのポトラック」の提唱者でもあります。

『ろうそくの炎』も、さほど売れる本ではありませんが、「朗読用テクスト」の部分を正しく強調していただいたのが、何といってもうれしいところです。

朗読会、どうぞ各地で自主的に開催してください! そして声をかけてくだされば、執筆者の誰かが参加するようにします(今年の冬至くらいまでなら)。それではこれからもよろしく!

Saturday 22 October 2011

野生の科学研究所!

お待たせしました。中沢新一さんを所長とする明治大学「野生の科学」研究所、正式オープンです。

http://www.meiji.ac.jp/osri/topics/2011/6t5h7p000001grub.html

21日、正式な開所式、鼎談。ぼくは夕方のパーティーから参加しましたが、盛況。長谷川浩さんのDJ、ワタリガラスのケータリング、楽しめる夕べでした。

でもそんな浮かれた祭りは今夜だけ。研究所としての使命を自覚し、現代世界の根源的な批判へとこれから向かっていきます。

ぼくは越川芳明さんらとともに運営委員を務めます。まずはどんなプロジェクト・チームが組めるか。いろいろ考えてみます。ご期待ください!

Friday 21 October 2011

写真とウクレレ

ひさしぶりに写真の仕事。大澤真幸「THNKING O」第10号の巻頭写真を撮っています。ごらんください。

きょうは日曜日の「ペレ ハワイの神話」の最終リハーサル。かたちが見えました。ぼくが下手なウクレレを弾くはずだった曲は、残念ながら時間の関係でカット。でも甲斐史子、戸島さや野、宮野亜希子、松本卓以さんの超絶技巧的弦楽四重奏、そして立岩潤三さんのパーカッションは文句なく最高ですから、乞うご期待です。作曲家としてのAyuoの良さをみんなが最高に引き出してくれます。もちろん、Ayuo自身のパフォーマンスと、田中佐紀子さんの踊りも。

ぼくは朗読で、たぶん声が枯れるくらいの量を読みます!

それではよろしく。日曜夜の渋谷で会いましょう! ウクレレ・コンサートは一年以内に実現します、したい。

Thursday 20 October 2011

「嗜み」12号

雑誌「嗜み」の2011年秋号が出ました。恒例のクロスカルチュラル・レビュー、今号はブライアン・イーノのハイパー傑作『ドラムス・ビトウィーン・ザ・ベルズ』を大城譲司さん、アッバス・キアロスタミの野心作『トスカーナの贋作』を小沼純一さんと論じています。

ぜひごらんください!

「3.11メルトダウン」

今週、土曜日から、明大前のキッドアイラック・ホールで日本ヴィジュアルジャーナリスト協会による写真展「3.11メルトダウン」が開催されます。

http://www.jvja.net/htm/311meltdown.htm

以前に生田図書館でハイチの写真展をお願いしたこともある、佐藤文則さんが参加。明治の学生は必ず全員見に行こう!

「雨の日」が楽しみ

肌寒くなりました。大好きな気候、季節。そんな今日、31日のRainy Day Books での朗読会のためのリハーサルを行いました。

金子飛鳥さん、谷川賢作さん。どちらも初対面ですがとてもそうは思えない! 同世代の友人がいちどにふたりできた、うれしい一日でした。

当日、たぶんおふたりの音楽が半分、そして谷川俊太郎さん、小沼純一さん、ぼくの朗読が半分になると思います。ぼくが読むのは先週の池袋とおなじく、山崎佳代子さん、岬多可子さん、関口涼子さんの詩とぼくの散文。

特に山崎さんの詩で途中、鳥たちの言葉になるところで飛鳥さんのバイオリンが介入し、すばらしい効果を作り出します!

低音部を十分に伸ばしてゆく飛鳥さんのプレイフルでセクシーなバイオリン、賢作さんの融通無碍なピアノを間近で聴いて、見て、あまりに贅沢な晩でした。

音響その他を担当してくれる小池アミイゴさんもやる気じゅうぶん。そしてすべてに周到な気配りをしてくれる、お店の林下さん。最高のメンバーで、最高の夕べを提供できると思います!

そしてこれもすべては3月11日の波に洗われた土地と人々のためだということを、見失わないようにしたいと思います。

Wednesday 19 October 2011

しずおか連詩の会2011

いつのまにか1か月を切ってしまいました。野村喜和夫さんのお誘いで、しずおか連詩の会に参加します。

http://www.granship.or.jp/audience/event.php?id=113#ac1

ぼくにとっては初めての、詩の合宿共同制作。辛そうですが、楽しみ。

20日の発表会は事前申し込み制です(無料)。ぜひどうぞ!

作品を毛筆で巻紙に書かなくてはならないのが、悪筆のぼくのいちばんの心配です。

トナカイの声が聞こえる

札幌在住の若き歌人・山田航さんが、ブログ「トナカイ語研究日誌」で『コロンブスの犬』の評を書いてくれました。

http://d.hatena.ne.jp/yamawata/20111016/1318773239

山田さん、ありがとう! また会おうね。こんどは冬の札幌で?

山内明美さんの声

「私個人としては、東北がどんなに低開発と呼ばれようとも、一次産業で立っていける場所にしたいのです。今回被災した地域は、『ケガチ』と呼ばれる飢饉の頻発地帯です。そこに暮らす人は『ケガヅ』と言いますが、いずれにしても、文字どおり『ケ』、つまり日常の、ことに食料が欠けがちな場所なのです。地震も津波も冷害もある。陸で生きるのも浜で生きるのも過酷な場所です。過去の歴史のなかでどれほど津波が起きてきたのか、私たちはあらためて知りましたが、それでも漁師が漁をやめたことはありませんでした。過酷な自然に対峙しながら、ここまで続いてきたのです」

(赤坂憲雄・小熊英二・山内明美『「東北」再生』イースト・プレス)

山内さんの巻末のエッセー「最後の場所(ケガヅ)からの思想」も必読。

Monday 17 October 2011

10月31日、谷川俊太郎さんと【予約終了しました】

10月31日、Rainy Day Books & Cafeで朗読会が開かれます。

金子飛鳥さんと谷川賢作さんの音楽、そして詩の朗読は谷川俊太郎さん、小沼純一さんとぼくです。

http://www.switch-pub.co.jp/events/284111900.php

秋の深まりに身をまかせ、蓄積する不安に対抗する決意を新たにし、私たちの社会を深く変えてゆくattitudeをもたらすために。

ぜひひとときの声と音楽の集いにどうぞ。【予約満員です。ありがとうございました&お楽しみに!】

Sunday 16 October 2011

池袋の夕べ

15日の土曜日、ニーチェとフーコーの誕生日、池袋コミュニティカレッジで、『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)の朗読会を開催しました。柴田元幸、野崎歓、ぼく。ほとんど女子会だった高知での朗読会とは対極的でしたが、何のMCもなく淡々と3巡して読むという形式を、温かく迎えていただくことができました。ご参加くださったみなさま、本当にありがとうございました。

柴田さんの、前夜に完成したばかりだというスティーヴン・ミルハウザーの訳稿にはじまり、三者三様の声の饗宴。作家の温又柔さんをはじめ真剣に耳を傾けてくださるオーディエンスのみなさんに助けられて、充実した夕べとなりました。

ぼくは岬多可子、山崎佳代子、関口涼子という、『ろうそくの炎』所収の女性詩人たちのそれぞれにすばらしい作品を読むことから始めて、改めてこれらの作品をこの本に収録することができたことに感謝したい気持ちになりました。新井高子さん、中村和恵さんらの作品を含め、ぜひみなさんに手に取って読んでいただきたいものばかりです。

次は31日、Rainy Day Books & Cafeでの谷川俊太郎さんたちとの朗読会です。お楽しみに!

Saturday 15 October 2011

「共同体はみんなバラバラでいい」

毎日jpに高橋源一郎さんへの取材記事が掲載されていました。

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20111014dde012040026000c.html

100万人くらい死んでも何も変わらないんじゃないかと、そんな風に思える国に住むことの恐ろしさに脅えつつ、われわれはバラバラな行動を追求しましょう!

Thursday 13 October 2011

天気図と水路業務と

菅谷奈緒さんの新作展 "days"。きわめて興味深い視点です! 

http://www.art-and-river-bank.net/_site_jpn/exhibition/main.html

Wednesday 12 October 2011

「ミて」116号

いつもソウルフルな新井高子さん編集の思いきりチープでクールな詩の雑誌「ミて」。2011年秋号(116号)が出ました!

ぼくは16行詩を3片寄稿しています。それを入手するためには

mite@ace.ocn.ne.jp

に連絡すればいいにちがいない。ぜひどうぞ!

岩波書店ホームページに

岩波書店ホームページのリレー連載に短文を寄稿しました。今月は、われらが中村和恵さん、そして渡辺えりさんとぼくです。ごらんください。

http://www.iwanami.co.jp/311/index.html

Tuesday 11 October 2011

山形、ついに

山形国際ドキュメンタリー映画祭にはむかしから行きたい行きたいと思いつつ、なかなか行けなかった。行くなら一週間ずっといたい、という気持ちがあったから。でも例年10月はそんな風には休めない。

それで日曜日、思い立って、着の身着のまま行ってきました、山形へ。以前、フランス文学会東北支部のシンポジウムに呼んでいただいたときに初めて来た町だけど、事実上知らないに等しい。空がでっかくて、気持ちのいい土地。山がよく見えるいい天気。

まずは山形市民会館小ホールで、1965年ごろのキューバのニューズリールを数本。サンティアゴ・アルバレス特集の一環。映像もすごいが、フィデルの演説がすごい。『怒りのキューバ』を思い出す、あの熱気。生身で体験したかった。

それから山形市中央公民館に移動し、インターナショナル・コンペティション部門の2本。ニコラス・リンコン・ギル『川の抱擁』とジョン・ジョスト『失われた町のかたち』。コロンビア、マグダレーナ川の戦慄の現実から、リスボンの点景へ。どちらも強烈に記憶に刻まれる。

翌朝は早く戻らなくてはならなかったので、もったいないといえばもったいないけれど、こんな風にしなければ2013年を待たなくてはならなかった。まずは満足できる小旅行。翌朝にはいらしていたはずの小林茂監督(『チョコラ!』)にお会いできなかったのが心残りだけれど、それもまた、いつか、どこかで。

次回はきっと一週間のゼミ合宿として行こう、行きたい、きっと行く、山形でした。

Sunday 9 October 2011

萩原朔太郎賞の選評

「新潮」10月号に、萩原朔太郎賞の結果と選評が掲載されています。受賞したのは福間健二さんの大作『青い家』(思潮社)。装幀は、ディジタルコンテンツ系博士後期課程在学中の清岡秀哉です。

ぼくの『Agend'Ars』(左右社)は、高見順賞、鮎川信夫賞、中原中也賞につづいて最終選考に残っていましたが、落選。ま、それも仕方なし。選者のみなさんのコメントに励まされました。

思えば詩の賞というものが存在するだけでも、すごい。そして詩はやっぱりおもしろい。これからも、人が読もうが読むまいが、書き続けるつもりです。

畠山直哉のCiel tombé

畠山直哉の新しい写真集が完成。2008年にタカイシイ・ギャラリーで展示された連作Ciel tombéを収めたもの、Super Labo から。

めちゃくちゃにかっこいい! パリの地下にこれだけの空間が秘められていることを思うと、陶然とする。

そして付録の小冊子はシルヴィー・ジェルマンによる、この写真集のための書き下ろし短編小説「占星術師」。この冊子もはっとするほどかっこいい。フランス語の原文に加えて、ぼくがその英訳と日本語訳を準備し、3言語の冊子になっています。

200部限定。どこかでごらんください!

金、土

7日(金)、馬喰町のArt & Eat にて『ろうそくの炎がささやく言葉』の朗読会。ぱくきょんみさんの教室に集うみなさん、そして女優の安藤朋子さんとともに、気持ちのいい空間で、ゆったりとした声の饗宴を楽しみました。ぱくさん、武さん、ありがとうございました。安藤さんのすばらしいパフォーマンスを直前に見たせいか、そしてオーディエンスのみなさんの集中ぶりに助けられたからか、ぼく自身の朗読も、これまででいちばんいい出来映えだったような気がします。

8日(土)、放送大学世田谷学習センターで、工藤庸子さん主催の鼎談と朗読。工藤さん、旦敬介くん、ぼくという異色(?)の顔ぶれで、旅や土地や言語や朗読をめぐる議論と実践をたっぷり体験し楽しむことができました。工藤さん、ほんとうにありがとうございました!

来週15日は、リブロ池袋本店で、柴田元幸+野崎歓+ぼくの3人の会です。ぜひお越しください。柴田さんのパワフルな声、野崎さんのジェントルで知的な声が楽しめます。

Viva! 高橋ブランカ

7月3日の第3回「言葉のポトラック」に参加した人は、誰もが会場を笑いの洪水にしたセルビア人女性、高橋ブランカさんに強烈な印象を受けたはずです。

その彼女の一人芝居ステージが、今月21日に実現します!

http://katarikoko.blog40.fc2.com/

「日本語」が彼女の表現言語として選ばれたことに戦慄。ぜひごらんください。笑ってください!

Thursday 6 October 2011

「群像」11月号

「群像」11月号に随筆「この薄い地表の夏」を書きました。1990年(?)にアリゾナの砂漠について書いて以来の「群像」随筆です! 

Tuesday 4 October 2011

「ペレ、ハワイの神話」

10月23日(日)Saravah 東京でのAyuoとのコンサート、いよいよ近づいてきました。曲も完成し、これから歌の練習、すべての練習です。ポリネシア神話の世界にどこまで近づけるか? ご期待ください。

http://www.saravah.jp/tokyo/schedule/log/20111023.php

「水牛のように」10月号

「水牛」、更新されました。「犬狼詩集」、まだまだ続きます!

http://www.suigyu.com/

清岡智比古さんのブログ

清岡智比古さんがご自分のブログでぼくの新詩集を紹介してくださいました。

http://tomo-524.blogspot.com/

この詩集に対する最初の批評です。

ジュンク堂新宿店では『ろうそくの炎がささやく言葉』と『島の水、島の火』が並べておかれていました。売り場の方、ご配慮いただきありがとうございます!

冒頭の連作8片「非在の波」は、中国語訳(黄耀進)、フランス語訳(コリーヌ・カンタン)に続いてスペイン語訳(南映子)、英訳(ぼく自身)を準備しているところです。

ぜひ書店で手に取ってごらんください(書店の店頭から消えないうちに!)

Saturday 1 October 2011

訪問授業@桐光学園

快晴の土曜日、桐光学園の中高生への訪問授業に行ってきました。

栗平駅から歩いて12、3分。気持ちのいい明るいキャンパスに迎えられ、100人を超えるいろいろな学年のみなさんを相手に「アメリカインディアンは何を考えてきたか?」という話を。

もちろん『野生哲学』からの話題が中心でしたが、それ以上に知ってほしかったのが「土地という絶対的な価値」について。最後はニューメキシコのスライドショー、そして川崎の里山文化を追うドキュメンタリー映画作家の由井英さんのお仕事についても簡単に紹介することができました。

質疑応答も活発。大学生相手より反応がいいんじゃないか、と思うひととき。この場にお招きいただいた中野先生(現代文担当)、ほんとうに貴重な経験をありがとうございました!

今年だけでも、すごいかおぶれです。すでに5年目を迎え、過去の講演記録は本として出版されています。ぼくの友人・知人もたくさん。こうなると、現代文化史のたしかな1ページだと見えてきます。

http://www.toko.ed.jp/high/gakushushido/support_03.html

こんな話に毎週ふれられる中高生のみんなから、将来どんな新しく真に有用な考え方が出てくるか。10年、20年のスパンで注目しましょう。「受験を最終目標にする子供たちにしたくない」という校長先生の言葉に、心意気を感じました。

Friday 30 September 2011

足立旬子さん、ありがとう

「毎日新聞」記者、足立旬子さんによるこの記事、必読です。教えてくださったくぼたのぞみさんに感謝。

http://www.mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20110930ddm004070002000c.html

一部引用します。あまりにまっとうな意見。なんの責任感もない電力会社経営陣、利権だけで動く政治家たち。かれらには自分たちが地球史のどの段階で何をしているのか、しばし考えてほしいものです。

東京電力福島第1原発事故を機に「脱原発」の世論が広がっている。19日、東京都内の集会には6万人(主催者発表)が集まった。しかし、野田佳彦首相が国連総会で表明したのは、原発の安全性を高め原発輸出を継続する考えだ。原発事故の原因究明も安全性確保も道半ばなのに、事故の当事国である日本の首相が真っ先に国際社会に訴えることがこれかとあきれる。欧州では事故をきっかけに、エネルギー政策の根本的な見直しが進む。日本こそ率先して、エネルギー政策の転換に踏み出すべきだ。」

Thursday 29 September 2011

デリダと脱構築、そして

新宿の朝日カルチャーセンターには学生のころ(1980年ごろ)西江雅之先生の講座のために通っていました。宇波彰先生のフランス思想関係の講座にも多くを教えていただきました。

30年ぶりに、昨晩、行ってみました。西山雄二さんと鵜飼哲さんによる「デリダと脱構築」のため。ふたりのデリダ研究者のお話をたっぷり楽しめましたが、ことにおもしろかったのが、3月11日以後の状況を視野に入れた、「来るべき民主主義」をめぐる終盤の議論。

無責任の体系を生んだ1945年以前の日本における主権のあり方、現在の原発をめぐる国民投票の可能性と危険性、1973、4年頃からのフランスの原子力政策を規定してきたデカルト主義・ドゴール主義・ジャコバン主義の三位一体に現われる「主権の狂気」。鵜飼さんのつねに明晰でたんたんと語られる言葉の説得力に、改めて感銘を受けました。

そして西山さんがaccountability (説明可能性)とresponsibility(応答可能性)のちがいを説明しながら批判する、電力会社の態度。これにも大きく頷くとともに、「民主主義」を肯定することに自分の哲学を賭けていたデリダに対して西山さんが見せる信頼に深い感動を覚えました。

その西山さんは、もともと鵜飼さんのゼミ生。「脱構築は教えることができるのか」という問いに対する最高の回答が、西山さんの存在だといえるのかもしれません!

ひごろ、思想系の人たちとのつきあいがまったくなくなっているため、おふたりのお話に強い刺激を受け、また新たにやる気が出てきました。鵜飼さん、西山さん、ありがとうございました! ぼくも来年はデリダを読みます。

花丼、花サラダ、花スープ、すべての花料理

食べ物関係の話題はふだん書かないのですが、こんどばかりは驚きを伝えさせてください。11月、明川哲也さんとふたりの朗読ライヴを名古屋で開催します。その打ち合わせのために明川さんが誘ってくれたのが、つつじヶ丘駅から徒歩3分のビストロ「くしのはな」。

とんでもない店でした! フレンチのオードブル盛り合わせからはじまるのですが、まずこれが絶品。そして、350円。思わず、ぽかん。1800円といわれてもそうだろうなと思うような内容です。

それからも、すべての料理が旨く、安く、工夫がある。手作りのベーコン、680円。花のスープ、680円。牛ほほ肉のワイン煮込み、1200円(これはお客さんたちの「頼むからもっと値段を上げてくれ」という声によりやむなく値上げしたとのこと)。花のサラダ(絶品!)980円。

傑作なのは、うさぎの唐揚げ、880円。フランス産のうさぎを1羽3000円で仕入れ、1羽から3人前をとる。それをこの値段で! その結果、シェフは昨日は一日、高速道路での草むしりのバイトをしてきたとのこと。そこまでして…。感動と笑いが同時にやってきます。

そして締めは、明川哲也さんが考案し名作『大幸運食堂』の中の短編ひとつをささげている「花丼」。それを現実化し出してくれるのですが、うなります。それで650円。

いま行かないと、いつ「半年先まで予約でいっぱいです」といった事態になっても不思議ではありません。ふらりと京王線に乗って、ぜひ訪ねていってください。きっと、その甲斐があります。やる気のある料理人が(どんな分野の人もそうですが)どれほど人を元気づけてくれるか、実感できると思います。




10月15日はリブロ池袋本店!

10月15日(土)、『ろうそくの炎がささやく言葉』刊行記念イベントの一環として、リブロ池袋本店で朗読会を開催していただきます。

http://www.libro.jp/news/archive/002084.php

出演は柴田元幸! 野崎歓! そしてぼく。思えばこの3人という顔合わせは、あらゆる場で初めてかもしれません。ひとりあたりの持ち時間がたっぷりあるので、何を読むかの選択にも工夫の余地あり。これまでの朗読会にいらした方も、ぜひもういちど、お出かけください!

Monday 26 September 2011

10月8日は放送大学で

10月8日(土)には放送大学世田谷学習センターで、工藤庸子さん、旦敬介くんとぼくが、文学と旅の関係のすべてを語ります。そして『ろうそくの炎がささやく言葉』からの朗読を。

http://www.keisoshobo.co.jp/news/n2745.html

ぜひいらしてください!

公開の朗読会以外に、大学の授業への訪問朗読を今後いくつか予定しています。都合がつくかぎり行きますので、気軽に声をかけてください。ぼくひとりでも、そのつど都合がつく人を加えて2、3人でも。もちろん謝礼は不要です、本の性格を理解していただけるなら。高校、中学でもいいですよ。ろうそくが使えなくても、それも仕方なし。

よろしくお願いします。

10月7日は馬喰町へ!

10月7日、馬喰町のArt & Eatで、ぱくきょんみさんを中心とした『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)の朗読会が開催されます。なんか、おいしそうな軽食つき。

http://www.art-eat.com/event/?p=1566

女優の安藤朋子さんが朗読者として登場。ぼくも自作を読みます。ぜひいらしてください!

Jeffrey Johnson's Book

アメリカ人の日本文学研究者、ジェフリー・ジョンソンの新著のために書いたblurbが、すでに(本の発売前ですが)Amazon.comに紹介されています。

驚くべき視野をもつ好著です。ぜひごらんください!

http://www.amazon.com/Poetics-Twentieth-Century-Avant-Garde-Studies/dp/0739148761

「ペレ、ハワイの神話」

いよいよ一か月を切りました。サラヴァ東京での、Ayuoとのジョイント・コンサート。

http://www.saravah.jp/tokyo/schedule/log/20111023.php

これから構成の最終的なツメに入ります。ぜひ遊びにきてください。ハワイの火を、海を、風を、溶岩平原を、一緒に想像しましょう!

Sunday 25 September 2011

しまった、昨日は!

何か大事なことを忘れていると思っていた昨夜。24日(土)の夕刻は、トヨダヒトシくんのスライドショー屋外上映会が開催されていたのでした!

旧新宿区立四谷第4小学校校庭。秋の気配の中、どれほどの美しい静寂の時間だったことでしょう。

見逃すには惜しすぎた! ざんねん、ざんねん、そしてトヨダくん、ごめん。

またの機会を切望します!(岡本太郎美術館での上映も知らずにいたとはうかつでした。職場から歩いて行けたのに。)

http://www.hitoshitoyoda.com/2011show_top.html

畠山直哉展、いよいよ、そして畠山大竹連続対談

畠山直哉さんの新作展「ナチュラル・ストーリーズ」がいよいよまもなく東京都写真美術館で始まります。楽しみ。

これに際して、10月1日に同美術館で、大竹昭子さんと畠山さんの対談があります。それのみならず4日はその続編(?)が神保町の古書店ボヘミアンズ・ギルドで行われるとのこと。これは必見、必聴、必臨場。現代日本のもっともクールな写真家と、もっとも繊細な写真読みの対談です。

詳細は大竹さんのカタリココのお知らせをどうぞ。

http://katarikoko.blog40.fc2.com/

木、金、土

木曜日、村山修二郎さんの「緑画ワークショップ」を開催。雨が降るギリギリの曇り空の下、生田のキャンパス内で見つかる葉っぱを使って画用紙に絵を描いてゆくことの楽しさ。みんな力作ぞろいでしたが、特にジェフン(宋済勲)がパワフルな傑作を描いてくれました。

金曜日、「せなかあわせて展」の講評会。評者は横浜美術館の庄司尚子さん。さすがに的確な、温かみのあるコメントで、学生たちには大いに励ましになったようです。自作を語らなくてはならない学生たちもみんなそれぞれにがんばりましたが、やはりエミーニャ(中村絵美)の語りが圧倒的。銀杏の葉っぱと鯨の尾の関係について、あっと驚く着想とそれにいたる経緯を語ってくれました。

土曜日、ぼくは国際理解教育学会で講演(早稲田大学戸山キャンパス39号館にて)。演題は「ぼくは何も理解したことがない」。挑発的な皮肉ととられたら、ごめんなさい、そんなつもりはないんです。理解という最終的に収まりのいい構図をめざすのではなく、理解なんてそのつどの「実用的幻想」でいいじゃないか、という話でした。

この講演のあと、『ろうそくの炎がささやく言葉』が8部売れました! うれしかった。お買い上げいただいたみなさま、ありがとうございました。この本をちゃんと売ることは、今年の最大の目標です。

こうして秋学期の第1週が終わりました。これから冬休みまで、またいろいろな活動をつづけます。なんとか釧路湿原再訪を果たしたいなあ。すべての季節において、あの湿原を体験したい。

ずっと思っていれば、実現することもあるでしょう!

ぼくの新しい詩集『島の水、島の火』(左右社)も、早ければこの週末から書店に並びます。ぜひごらんください。

http://sayusha.com/sayusha/903500560.html

Saturday 24 September 2011

Agend'Ars 48


Junto las cáscaras de cigarra
Y las coloco en forma de pirámide
Las excedentes de la vida y la arquitectura forman una franca unión
Que se agarra, con toda su levedad efímera, a la tierra que gira
Ahí yo siento la edad antigua, el sol de Yucatán
En aquella cantidad inexplicable de la luz y el calor
Estos insectos tienen fe, y se ocultan bajo tierra
Aparecen a medianoche y exponen su desnudez blanca
Y se arquean el cuerpo al máximo y se quitan el vestido
Y luego, con el aire de la noche de verano
Dejan que su cuerpo se queme poco a poco
Avanza la oxidación y se renueva la generación
En las tinieblas de la noche flotan las flores fallidas
Y las cigarras se queman sin emitir aroma ni sonido
Después, cuando el sol derrama su luz abundante
Emprenden el vuelo hacia la edad antigua de Yucatán

(Una traducción tentativa por Eiko Minami)

Friday 23 September 2011

第2詩集完成

ぼくの第2詩集『島の水、島の火 Agend'Ars 2』(左右社)が完成しました。今回も16行詩64片です。

ぜひごらんください! 来年秋には必ず3冊目を出します。そんな風にして、何年続けられるか?

Agend'Ars 47


A menudo veía a un anciano que peregrinaba el mundo a paso lento
Con dos perros gigantes, uno de color negro y otro de naranja, que tiraban de su carro
Por la hilera de eucaliptus caminaba
Siempre callado, más taciturno que un caracol
La gente del pueblo se reía de su harapo
Y la gente de la ciudad ignoraba la presencia de él y sus perros
¿De qué vivía ese anciano?
Yo tenía cinco años; siempre llevaba una herradura imantada
Y me entretenía atrayendo polvo de hierro y clavos viejos
No jugaba con nadie, no hablaba con nadie
Me crucé con los dos perros y el anciano mucha veces
Pero terminamos sin conocernos más
Algunas veces, el anciano dirigía palabras a los perros
En una lengua desconocida para mí
Ambos perros abrían la boca y elevaban la mirada hacia su dueño
Parecían muy contentos de algo, moviendo el rabo

(Una traducción tentativa por Eiko Minami)

Wednesday 21 September 2011

書影が

『コロンブスの犬』(河出文庫)の表紙がアマゾンで見られるようになりました。

http://www.amazon.co.jp/コロンブスの犬-河出文庫-管-啓次郎/dp/4309411118/ref=pd_rhf_p_t_1

この表紙を含め、まだ写真家になるまえの港千尋による写真を多数添え、mi hermano 古川日出男によるソウルフルな解説(といっても現時点でぼくはまだ読んでいません)を得て、過去の影から黒い犬のようにのっそりと出てきた本です。10月5日発売。装幀は『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)とおなじく岡澤理奈です。

ぜひ読んでみてください。基本的に「拾い読み」用の本ですから、読んだら捨ててください! また誰かが拾ってくれるでしょう。

Tuesday 20 September 2011

緑画体験ワークショップ


明治大学生田図書館Gallery ZEROにて開催中の「せなかあわせて」展の関連企画として、今回出品していただいた美術家の村山修二郎さんによるワークショップを開催します。

彼がとりくんでいる「緑画」、すなわち土地の植物を素材として絵を描くという手法の実践編です。

日時 9月22日(木)13:00〜14:30

参加希望の方は12:50にGallery ZERO入口前に集合してください。参加無料、持ち物も特にありません。

ひごろ何気なく見過ごしている、生き過ごしている、生田の丘陵を見直す絶好のチャンスです。ふるってご参加ください。

Monday 19 September 2011

高知いの町での朗読会

仙台の1週間後、17日、高知市近郊のいの町にある土佐和紙工芸村くらうどで『ろうそくの炎がささやく言葉』の朗読会を行いました。

http://www.qraud-kochi.jp/

増水しパワフルな濁流となった仁淀川のほとり。Mowcandle村山さんによる完璧な光の演出のもと、70名のお客さんにも満足してもらえる、いい会になったと思います。

まずぼくが柴田元幸さん訳のエミリー・ディキンソンの短い詩をオフで読んで開幕。編集の関戸さんからの主旨説明につづき、工藤さんによる谷川俊太郎「ろうそくがともされた」、笠間さんによるジャン・ポーラン「よき夕べ」と自作エッセー「山のかげ」、根本さんによる中村和恵「ワタナベさん」、それから地元からの参加者である斉藤さんによる関口涼子「わたしを読んでください。」、西川さんによる谷川俊太郎「ろうそくがともされた」、清田さんによる岬多可子「白い闇のほうへ」。そして装幀の岡澤さんによる万感をこめた鄭暎惠「帰りたい理由」が会場のみなさんの涙を誘いました。それからふたたび工藤さんがペローの昔話、そしてぼくが「川が川に戻る最初の日」を読んで第1部の終了。

第2部は、主催の池田葉子さんとその仲間たちによるジャズ・クインテット「フラット・ファイヴ」のライヴです。すでに結成以来10数年を経て、200回を優に超えるライヴをこなしている地元バンド。みんなで楽しめる練達の演奏で、くらうどの特製オードブルをいただきながら、ほんとうに楽しいひとときでした。ぼくも途中で2曲、歌わせてもらいました。人前で歌うなんて、高校生時代以来。高校生のころのレパートリーを、そのままやらせていただき、ありがとうございました。

すべてをアレンジしてくれた池田葉子さんは、写真家、ベーシスト、革細工職人。生きることに積極的な、ものしずかで侠気のある女性です(みんなからアニキと呼ばれています)。楽しいバンド仲間のみなさん、完璧なホスピタリティで迎えてくださったくらうどの西川さんとスタッフのみなさん、そして聴衆として参加していただいたみなさん、ほんとうにありがとうございました。

翌日は仁淀川の河口にゆき、川の水が海の荒波とぶつかるようすを見、ついで高知市内のあの有名な沢田マンションを見学して、帰ってきました。『ろうそくの炎がささやく言葉』に収録されたていねいに紡がれた作品たちが、しかるべき声に乗り新たな読者のみなさんに届くようすに、毎回はっとします。声の強さにはっとします。

そうそう、春野というところにあるオーガニック・レストラン聖屋(ふつうのお宅で、吹き抜けの2階が文庫になっているおもしろくておいしいお店)で池田さんにお昼をごちそうになったのも楽しい思い出。
http://www.kinomama.jp/search/restaurant/395/base/pref/高知県


これからの各地での朗読会に、ぜひいらしてください。スケジュールは本の専用サイトでチェックしてくださいね。

http://lemurmuredesbougies.tumblr.com/

Saturday 17 September 2011

東京電力の卑劣さ

16日に日本弁護士連合会が出した声明、必読です。

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110916.html

Friday 16 September 2011

「ろうそくの炎」の10月

10月にも『ろうそくの炎がささやく言葉』関連朗読会が続きます。前半だけでも

7日(金)は馬喰町のArt & Eatにて、ぱくきょんみさんたちと。
8日(土)は放送大学世田谷学習センターにて工藤庸子さん、旦敬介くんと。
15日(土)はリブロ池袋店にて野崎歓さん、柴田元幸さんと。

詳細はそれぞれキーワードで検索していただければ、すぐにわかります。ぜひいらしてください! 

「図書新聞」9月24日号

書評を書きました。野村喜和夫さんの『移動と律動と眩暈と』(書肆山田)。現代日本語におけるランボー主義者の快著です!

Wednesday 14 September 2011

「週刊朝日」9月23日号

に書評を書きました。畠山重篤『鉄は魔法つかい 命と地球をはぐくむ「鉄」物語』(小学館)。中学生でもすぐに読めるスタイルで書かれていますが、この本はほんとうにいい。お勧めします!

Tuesday 13 September 2011

初めての富士山頂

9月13日朝、富士山の頂上に立ちました。感動。昨日の日没時に7合目の山小屋で見た、富士山そのものが関東平野に落とす影も、昇る満月もすごくよかったけど、今日は富士の火口の強烈な迫力に圧倒されました。

3000メートルを過ぎるあたりから、ちょっと息切れが激しくなった。歩きのペースも明らかに落ちる。いちばんきつかったのは、お鉢巡りに入ってからの、剣が峰と呼ばれる3776メートル地点へのアプローチ。結構な傾斜の最後の100メートルばかりがどうにも辛かった。

ところが、まさにそこに入ってから、それまでわれわれのためにペースを落としてくれていた石川隊長が猛然とダッシュ! またたくまに駆け上る。心肺機能の差をまざまざと見せつけられました。彼にとっての富士山はわれわれにとってのモエレ山か。

今回は石川直樹さん(写真家・冒険家)以下、豊嶋秀樹さん(全ジャンルアーティスト)、内田真由美さん(編集者)、山田龍太さん(カヌーイスト)との5人のパーティー。もっともリラックスできる顔ぶれで、ぶじ日本列島の最高地点への巡礼をすませることができました。

またいつか登りたいけれど、明日はイヤだな。

Sunday 11 September 2011

高知新聞に

高知新聞に17日(土)の、いの町での朗読会が紹介されました。チケットはすでに完売。興味をもっていただいたみなさん、すみません!ぜひ本を手にとっていただければと思います。池田葉子さん、よろしくお願いいたします!

http://www.47news.jp/localnews/kochi/2011/09/post_20110911102153.html

仙台


仙台、カフェ・モーツァルト・アトリエでの『ろうそくの炎がささやく言葉』朗読会、終了。いい会になりました。

ぼく、田内志文、小沼純一、牛島富美二、贄川雪のあと、道化師ドリアン助川(明川哲也)の真に圧倒的な語りのパフォーマンス! さらに名取市の小6菊地里帆子ちゃんの胸を打つ作文が、会場にいたすべての人々に大きな勇気を与えてくれました。お出でくださったみなさん、ありがとうございました。そしてすべてのアレンジに力をつくしてくださった佐藤美和子さん、カフェ・モーツァルトの善積建郎さん、ほんとうにありがとうございました。

会の前、名取市の沿岸部をゆっくり見てまわりました。ぼくに何がいえるはずもありませんが、いろいろ思うところがありました。閖上中学校、小学校で、しばらく立ちつくさないわけにはいきませんでした。

来週は高知です。遠い土地からの東北への呼びかけを、考え、また地元のみなさんと試みたいと思います。

Saturday 10 September 2011

いよいよ文庫!

ぼくの最初の本『コロンブスの犬』(1989、弘文堂)がいよいよ10月6日、河出文庫から発売されます。

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309411118

いまや古書で9800円の値がついているレア本! ほとんど売れなかった本だけに、文庫になって新しい読者と出会うのが楽しみでなりません。

解説は古川日出男さん。新たな魂を注ぎこんでくれるには、最高最適の人です。どうもありがとう、本当に楽しみです。いまの時点から、どんな風に読めるか、少しでも火が残っているのか、この25年前の反=旅行記に。

みなさん、ぜひよろしくお願いします。そしてひきつづき『ろうそくの炎がささやく言葉』も!

伊藤比呂美のカリスマ

8日、木曜日。アメリカからその午後に着いたばかりのふたりの若手詩人、ジョイエルとヨハネスを迎えてのイベントに参加しました。場所は高樹町のレイニーデイ・ブックス&カフェ。初めて行きましたが、じつに機能的に考えられた空間で、模様替えがあまりにうまく行くので、驚き。作業後に出していただいたおにぎりが、またおいしくて。こんどはカフェのお客として、仕事をしに行こう。

イベントは楽しく活気があっておもしろい会になりました。アクションブックスという小出版社を経営してもいるふたりは、とにかく元気。日本の詩人たちもそれぞれに自作の英訳を朗読し、バイリンガル空間のひろがりをお客さんたちも楽しめたと思います。翻訳家のくぼたのぞみさんがご自分のブログに感想を書いてくださいました。

http://esperanzasroom.blogspot.com/

ぼくは発案者の伊藤比呂美さんのお手伝いをしただけですが、会の全体が比呂美さんのカリスマと話術により、その夜だけの言葉のカーニバルに。間近で見ていて、ほんとにすごいと感心するばかり。爪の垢をください、煎じて飲みます!

その比呂美さんが雑談でぽろりとおっしゃった、仏教の東漸を追うのだ、という言葉にひっかかっています。印度、中国から伝わり変容した日本仏教、それが太平洋をわたりカリフォルニアへ。コロラド州のナロパ・インスティテュートはぼくも学生のころから関心がある学校ですが、比呂美さんも気になっているようす。いちど訪ねてみようかな。サンディエゴからボールダーまで車で行ってみるか。

平田俊子さんや田中庸介さんにも再会できたし、蜂飼耳さんに会うこともできて、ぼくにとっても実りの多い一夜でした。

レイニー・デイの林下さん、なかべさん、ありがとうございました。10月には『ろうそくの炎がささやく言葉』のイベントを、ここでやらせていただきます。またよろしくお願いします!

Tuesday 6 September 2011

豊平川

豊平川が濁流に。

http://d.hatena.ne.jp/elmikamino/

宮井さん、札幌のすべてのおともだち、大丈夫ですか?

一方で、台風の被害にあった和歌山県をはじめとする各地のみなさん、お見舞い申し上げます。

自然力に対してわれわれは何をいえるのか、いうべきなのか? 人は誰も勝てない相手だけれど。いや、「相手」というべきですらない、全面的なすべてだけれど。

Agend'Ars 46


En la metrópoli de nube crece la presión para la caza
Están a punto de cazar a las almas
La mayor defensa es hacer muñecos de sal
acumulando los cristales transparentes
y blanquísimos, que dispersan la luz
nivelando la superficie desigual de sus almas y sus experiencias
y hacer bailar a esos muñecos de rasgos que recuerdan el Temperamento
O en una barca que desliza por la canal de la metrópoli de nube, sin hacer ruido
y que nunca atraca en la otra orilla
colocar cuatro o cinco bueyes de berenjena, fuera de estación
y decirles que corran, también sería bueno
No huyen ellos, los persigo yo
Se acurrucan ellos, los persigo yo
Los bueyes comen hierbas en la ribera y en la opuesta las hadas forman un círculo
que cierra y abre como los párpados
Viéndolo, las almas se duermen como flores

(Una traducción tentativa por Eiko Minami)

「すばる」10月号

「すばる」によしもとばなな『ジュージュー』の書評を書きました。ばななさんこそ、ぼくにとっての「ジュージュー」だった。その「ジュージュー」が何かを知るには、この本をどうぞ。そして強烈にかわいいダスト・ジャケットを、ぜひ書店で見てください。

Sunday 4 September 2011

朝日新聞「本の舞台裏」

けさの朝日新聞読書欄のコーナー「本の舞台裏」で、『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)が紹介されました。今後の朗読会についてもふれられています。どうぞ、ごらんください!

きゅうり水

この夏初めて飲んだものは、きゅうり水 (cucumber water)。ホテルのロビーにあって、ガラスのジャーにライムときゅうりの輪切りと氷がごろごろ入っていて、好きなだけ飲める。青臭いだろうなと思っていたら、やっぱり青臭い。が、悪くない。さっぱりしていい感じ。

で、こんど(来年の夏には?)うちでも作ってみようと思っていたら、「水牛だより」で八巻美恵さんが以下のように書いておられた。これはいいかも。よし、来年作るのは「きゅうりワサビ水」だ! 来夏、思い出せたらの話だけれど。

夏のはじめのサワーは、きゅうりワサビ。焼酎のソーダ割りといっしょに小皿にきゅうりの細切りとわさびが小さじいっぱいほど盛られてついてくる。わさびは粉を溶いたもの。それを焼酎のジョッキにすべて投げ込み、マドラーで攪拌する。しだいにぜんたいが淡い翠色がかって白く濁ったら準備完了。口に含むとほんのりわさびの香り。辛くはない。きゅうりの青臭さがほどよい複雑な味となり、さっぱりとおいしい。ときどきそのきゅうりを箸でつまんで食べてみると、焼酎を含んだ味に変化していて、これもよい。夏の味だな。外がまだ明るい夕方が似合う。自分でも作れそうな気がする。町田にて。」


なお、トップの写真のかぶとむしは、おそらく生田緑地から飛んできて、勝手に捕まってくれたもの。しばし遊んで、砂糖水を飲ませ、翌朝には帰ってもらいました。

Saturday 3 September 2011

Agend'Ars 45


Como la resistencia al intelecto
Se escribe la poesía, no es una explicación
En conmemoración de lo incomprensible
Sólo se intenta disponer las palabras
Aunque sea incomprensible, quiero aquí
Crear una especie de jardín lingüística, un huerto desconocido
Para inscribir el crecimiento peculiar de esa hora
En rayas sutiles
El esfuerzo del recuerdo de lo que nunca ha sido
El apoyo a la reminiscencia de las cosas imposibles
La reacción metafísica contra este mundo sin consistencia que no puede ser sino una cosa
Morder la raíz amarga del aciano desde el lado de la tierra
Y contemplar las estrellas esparcidas por el cielo azul aguamarina desde dentro de la tierra
No hay conocimientos ni inteligencia
Sólo existen las vacilaciones de la mente
La que jamás se deja ahuyentar, la memoria, ese animal pequeño

(Una traducción tentativa por Eiko Minami)

勝手に俳句(ら行、わ行)

雷鳴に目覚めし間際の紅楼夢
リスボンや栄華の果てに鴎あり
流転せよ苔むす石ころ夜明けは近い
連綿と写経のごとく文字を打つ
ロックンロールは死んだよロックは死なないよ

和気藹々呉越同舟コミュニオン

(「を」と「ん」はあきらめ。これにて1サイクル終了です。)

Friday 2 September 2011

「水牛のように」9月号

「水牛のように」が更新されました。

http://www.suigyu.com/

ぼくは「犬狼詩集」39、40を寄稿しています。若松恵子さんがエッセーで『ろうそくの炎がささやく言葉』をとりあげてくださいました。ありがとうございます!

ほんとうに淡々と、無口な水牛そのものの姿勢で続いてゆくこのウェブジン、大好きです。いつでもごらんください。いつでもそこにあります。

Thursday 1 September 2011

勝手に俳句(は行、ま行、や行)

俳諧と徘徊と諧謔と嗜虐
非人称先取りされたニルヴァーナ
不快指数を快に転ずる心意気
ヘルシンキ地獄の沙汰は犬に訊け
包囲光に魂さらす万聖節

迷ふなかれすべての迷路でおれが待つ
未開といふも開に開なしこれでよし
無情と人情いづれもなさけ深なさけ
明解な満月狂気の鏡をひとつ割れ
猛獣の心をきみがなつかせた

やなこつたパンナコツタが欲しいんだい
夕方を崇めて千年夜を待つ
妖術と魚の頭のせめぎあひ

Wednesday 31 August 2011

勝手に俳句(な行)

泣く子らよザリガニむさぼれ夏休み
妊娠も忍耐もなき庭作り
ヌメアで出会う極彩色の偽ゴーギャン
熱帯で歌うハレルヤ念仏行
濃厚なショコラ綴りはhappiness

勝手に俳句(さ行、た行)

砂金掘りに記憶預けて船出せよ
島々の糸縞の糸思想の糸
水木金ねむってすごす自己セラピー
清少納言夢なき旅路の未知の美女
想像域に猿を泳がせ川上り

楽しさは自己忘却の試練なり
チミチャンガ赤と緑の分岐点
追憶や草葉の陰の冗長性
提携しよう世界の眠りを乱すため
豆板醤心低めのストレート

勝手に俳句(か行)

快哉也周回道路のメビウス環
キラウェア喫水線のkill away
苦難の道だ茨の道だ長い道だ
鶏飯に騒ぐ獣と大口真神
荒涼平原歩む勇気の合言葉

地名シリーズもいざやろうとするとむずかしいので、とりあえずアイウエオ順で。今回は「か行」です。


Tuesday 30 August 2011

勝手に俳句

友人のNorahが句会に初参加して楽しかったと書いてます。

http://d.hatena.ne.jp/norah-m/

「北と南」編集長の河内くんたちがやっているらしい。そうか、句会というのは「お題」に沿って作るのか。

ぼくも作ってみようかと思ったけれど、お題がないので、「あいうえお」で順番に作ってみよう、いま。

秋の雨鮮やかな雨と愛し合う
犬の仔や虚空徘徊永遠軌道
ウランバートル街路の孤児の賭博かな
エルザスとアルザスの間に吹雪く音韻
尾道に導きなくして救いに至る

「あ」では、575をそれぞれ「あ」で始めようかと思ったけれど、すぐ挫折。「う」からは地名論になってしまいました。しかし、これなら書けるかも。あいうえおの地名論俳句。そのうちやってみよう。でも「ん」はどうしようもない。

『ろうそくの炎がささやく言葉』プロモーションビデオです

『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)のプロモーションビデオが完成しました。大川景子さんによる力作です。

http://www.youtube.com/watch?v=XUqVi4sPo-0

ぜひごらんください、そして本を手にとってみてください。

Sunday 28 August 2011

Ayuo con 笹久保伸

9月18日、公園通りクラシックスで、あまりにもおもしろそうなコンサートがあります。お勧めします!

*****

9月18日(日)に『Ayuo 笹久保伸 ジョイント コンサート』が渋谷公園通りクラシックスで開催されます。

笹久保伸さんはクラシックのギタリストで、長年ペルーに住んで活動していました。


ペルー音楽にはまだ世界にそれほど知られてない宝物のような音楽がたくさんあります。


独自のチューニングで演奏される音楽には、時に実験音楽に近いものもあれば、ルネサンス音楽に近い方法で演奏されるものもあります。今回はまず、ワールド・ミュージックの音楽評論家の北中正和を迎え、ペルー音楽、ヨーロッパのルネサンス音楽、ギリシャのビザンチン音楽などについてのトークがあります。

そして、高橋悠治さんのギターとルネサンス英語の語りによる『John Dowland Returns』が、笹久保伸のギターとAyuoの語りにより演奏されます。この曲はもともと現代音楽のギタリスト佐藤紀雄が1974年に委嘱初演した作品で、Ayuoが以前から語りをやってみたいと思っていた曲です。


それから笹久保伸さんとIrma Osno の歌によるプログラムが始まります。

演奏には次の曲が予定されています:

幸運のコカの葉(Musica tradicional de Ayacucho-Peru)
花籠主題の幻想曲(Musica tradicional de Cuzco -Peru)
高橋悠治: 道行く人よ、道はない
笹久保伸: プリペアドギターのための「時間とプロセス」
バリーチャ〜サクサイワマン (Musica tradicional de Cuzco -Peru)
脱穀の歌(Musica tradicional de Ayacucho-Peru)


Ayuoのコーナーでは、Ayuoの最近の音楽的方向性を表わすレパートリーをAyuo Strings and Percussion Ensemble とともに演奏します。

Ayuo: Voices In The Wind − A prayer for those swept away by the sea ー 風の歌 − 海に飲み込まれた人達の為の祈り
Erik Satie (Ayuo version) - I Want You (Je Te Veux)
Ayuo: Eyes and Movements
John Cage: Forever and Sunsmell

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Ayuo String and Percussion Ensemble

Ayuo: Vocals, Irish Harp, Bouzouki
戸島さや野: Violin
守屋 拓之: Contrabass
立岩潤三: Percussion
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そして、ふたたび笹久保伸さんと、武満徹による映画『他人の顔』のワルツ (Ayuo 編曲バージョン)が演奏されます。

とても面白いコンサートになると思います。
ぜひ、見に来てください。

9月18日 (日)

■Open:18:30(6:30PM)/Start:19:30 (7:30PM)

予約 Reservations:¥3,200 (1ドリンク付)(One drink included)
当日 Admission fee on day of performance:¥3,500 (1ドリンク付)
(One drink included)

■ 会場:公園通りクラシックス (Tel:03-3464-2701)
月曜日休日、他の日は17時以後に電話で予約が取れます。
※渋谷区宇田川町19-5 山手教会B1F
http://www.radio-zipangu.com/koendori/

Saturday 27 August 2011

『うつし世の静寂に』(由井英監督)

現在、生田キャンパスで進行中の文学・環境学会。今日の今福龍太さんの基調講演「Nature's Writing」は、他の誰にも絶対にできない、すばらしいものでした。

明日は由井英監督『うつし世の静寂に』です。川崎市の一角にこんな里山文化が! 驚くべきドキュメンタリー。

一般の方もごらんいただけます。受付でお申し出ください。生田キャンパス中央校舎6階のメディアホールで。15時から96分の上映にひきつづき、17時30分まで監督とのディスカッションです。

Friday 26 August 2011

9月17日は高知で!

その翌週、9月17日の朗読会は高知の土佐和紙工芸村Qraudにて。

http://lemurmuredesbougies.tumblr.com/

朗読会につづくジャズ・カルテットFlat Fiveのライヴでは、ぼくが登場し2曲歌うことになっています。ああ! 練習しなくちゃ。

日本一といわれる清流のほとりで会いましょう。

Thursday 25 August 2011

9月10日は仙台で!

仙台での朗読会、楽しみです。場所はカフェ・モーツァルト・アトリエ。森の都の、川のほとりで。明川哲也、小沼純一、田内志文という友人たちと遠征します。また地元の牛島富美二さんが参加してくださいます。

http://mozartatelier.jugem.jp/?eid=312

仙台地方のみなさま、ぜひいらしてください!

新品未読品?

『ろうそくの炎がささやく言葉』が、たぶん最初の入荷分が売り切れて在庫がないのか、現在、アマゾンでは注文できなくなっているみたいです。その代わりに「中古品」が2640円(定価は1800円)で数件出品されているのですが、それがどれも「新品未読品」とはどういうことなんだろう。

大書店のある大都市に住んでいる人はいいけれど、新刊書店がぜんぜんない地方都市に住んでいる友人たちには、アマゾンで買えないという事態はかなり困ります。

なんとか事態が正常化(新品を定価で注文できる)されるのを祈るのみ。

そして、大書店へのリアルなアクセスが可能なみなさんは、ぜひ書店に立ち寄って本書をお求めください!

ろうそくの灯、そのまわりに

メキシコ文学者でスペイン語の先生の南映子さんが、ご自分のブログで『ろうそくの炎がささやく言葉』についてのすばらしい評を書いてくださいました。

http://alsur-jacaranda.blogspot.com/2011/08/blog-post_9580.html

どうもありがとう! この本が少しずつ読者を見出してゆけるよう、ほんとうに少しずつですが、これからも努力したいと思います。本は存在するだけでいいけれど、しかるべき読者に出会うなら、それこそ願ってもない幸福。

この本のために乾杯したい気持ちになりました!

Wednesday 24 August 2011

Agend'Ars 44


No es posible ver la luz del interior de una joya
No es posible ver las tinieblas del interior de una caverna
Vemos sólo la luz del sol que refleja la joya
y la fosforescencia momentánea que flota en la oscuridad
Rodeados de las cosas intocables para los ojos
vivíamos los días, intimidada la mente
Un atardecer de verano, al detenernos en un sendero que atraviesa un bosque
Una mañana de invierno, al detenernos en una oculta calle cubierta de intactas columnas de escarchas
y alzar la mirada para ver el cambio de luz en el cielo claro
sucede que regresamos, una vez más, a la pregunta inicial
¿Habríamos nacido como se concibe la luz en el interior de la joya?
¿Estaremos muertos como las tinieblas que residen en la caverna?
¿Fluirá, algún día, otro río encima del río?
¿Vive, desde no sabemos cuándo, otra voz dentro de la voz?
Yo soy la joya que concibe la luz sólo en un instante imprevisto
Yo soy la caverna a donde no llega el viento, que vive en las tinieblas para siempre

(Una traducción tentativa por Eiko Minami)

なまらめんこい

北海道弁の代表といえば、なんといっても「なまら」でしょう。大変、とっても、すごく、超、とおなじく、意味を強めるための形容詞です。

釧路のそばの海岸で子鹿たちを多数目撃したとき、うちの学生で北海道出身のエミーニャが「なまらめんこい!」といって、岐阜出身のエリーニャもそれを真似していました(ぼくのゼミは公用語がブラジル・ポルトガル語なので、しゃべれない人もニックネームはブラジル風になります)。

で、そんな「なまら」の使い方はすっかり身についたものの、その後、地元の女の子が「お茶目、なまら!」といっていたのはさすがに新鮮でした。

要するに「なまら」は、先につけても、後につけてもいいわけか。これからしばらく「なまら」をなまら連発しそうですが、お許しください!

ASLE-Japan 2011

文学・環境学会の年次大会、いよいよ今週です。明治大学生田校舎にて。金曜日には今福龍太さんによる基調講演、そして土曜日には由井英監督のドキュメンタリー作品『うつし世の静寂に』を上映後、監督とのディスカッションです。

http://www.asle-japan.org/2011/08/2011aslejapan.html

基調講演、映画とも、非会員の方にもごらんいただこうと思っています。お気軽においでいただき、また声をかけてください! (当日、受付でお名前を記していただきます。)

Monday 22 August 2011

ABC朗読会

『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)刊行記念朗読会、昨夜でした。いい会になりました。最初から最後まで集中力のとぎれない、はりつめた場でした。多くの人の記憶に深く刻まれたと思います。

まず谷川俊太郎さんの巻頭詩「ろうそくがともされた」をぼくがオフで読んで、開始。編集の関戸さんの挨拶のあと、ピアノたちの運命を思う林巧さんの短編、笠間直穂子さんによる日仏バイリンガル朗読のジャン・ポーランの異色の掌編、岬多可子さんの静謐で芯の強さを秘めた見事な詩、そして古川日出男さんによる宮澤賢治リミックスで会場は爆発しました。

その熱をさますようにクールで典雅なユーモアをたたえた工藤庸子さんによるシャルル・ペローの妖精物語、そしてぼくの砂漠話。ここまででプログラムに予告されていた朗読を終えたのですが、執筆者のひとり旦敬介さんが来てくれてラスタファリアンを主人公とする短編を読み、われわれの友人であるメキシコ文学者・南映子さんがほのぼのとする自作短編を読み、本書の装幀家である京都在住の岡澤理奈さんがロンドン在住の中村和恵さんの詩「ヨウカイだもの」を絶品といえるパフォーマンスで読んで、いちおう終了。

それからアンコール登場の古川日出男さんによる宮澤賢治「春と修羅」が、すべてをしめくくりました。強烈きわまりなかった。

こうしてこの本は送り出されました。でもそれがそれ自身の道を見出して読者のみなさんの手と目と耳と心にいたるのは、まだまだこれからです。

「魂箱」といいたいくらい、ソウルフルな作品が、その悲哀も怒りも含めて、並んでいます。ぜひ本書の旅と拡散とその果ての消滅を、手伝ってください、見届けてください。

関連朗読会、次回は9月10日の仙台カフェ・モーツァルトです。

そして見失いたくないのは、この本の企画と完成後の活動自体、19世紀以後の日本を支配してきたバビロン・システムに対する抵抗だということです。人々を土地から追い、子供たちに鼻血を流させ、家畜たちの生命を奪い、森を海を汚染しつづけながらも、まるで何事もなかったかのように自律性を回復したがっている、このあまりにも卑劣で巨大なシステムに対する。この社会と世界には、変えなくてはならないことがたくさんあります。「復旧」を認めてはならないことがたくさんあります。小さな炎のゆらめきの中で、しずかに、そんなことも考えていきたいと思っています。

Friday 19 August 2011

「鹿踊り」や「じゃんがら」

六本木ヒルズにみちのくの芸能がやってくる。この週末、注目です。

http://www.roppongihills.com/feature/rh_summer2011/05.html

アッケシソウの危機?

能取湖(網走市)といえばアッケシソウの群生地。サンゴソウとも呼ばれる赤い草のみごとな群落を見たことがあった。それが

「同群生地では、卯原内観光協会が昨年から今年3月にかけて道に無許可で行った堤防建設と大量の土砂搬入した後、群落の縮小が進んでいる」(「北海道新聞」8月17日)

とのこと。詳細はわからないが、観光協会にとっては、みずからの首をしめるような話。

堤防や道路工事によって湿原の生態系は多大な影響をうける。たやすく破壊される。生命とは非常に強靭なものなので、破壊の先にも別の生命があるが、もとの植物相・動物相はもう戻らない。

オホーツク海沿岸を、またゆっくり回ってみたい。


新宿から八ヶ岳へ

八ヶ岳山麓のギャラリー・トラックスで開催される佐々木愛さんの新作展「光」を、アーティストご自身とともに新宿から見に行く遠足ツアーが、工藤千愛子さんによって企画されました。9月3日、日帰り。おいしいお昼ごはんとトウヤマタケオさんのライヴつきです。

http://gmprojects.jp/projects/20110903/

行きたい! 出張中で行けないけれど。行ける人はぜひどうぞ。

Tuesday 16 August 2011

9月10日は仙台で

『ろうそくの炎がささやく言葉』朗読会・仙台篇は9月10日、カフェ・モーツァルトです。

お近くのみなさま、ぜひどうぞ! 

http://lemurmuredesbougies.tumblr.com/

Monday 15 August 2011

21日「知恵の実」朗読会

青山ブックセンター本店で開催中のブックフェア、「この本はほんとうにいい」2011のテーマは「知恵の実」。関連イベントとして、『ろうそくの炎がささやく言葉』の朗読会が21日(日)に開催されます。超豪華メンバーです。しかも他ではありえない組み合わせ。みんな、ぜひ来てください!

「知恵の実」トークイベント
『ろうそくの炎がささやく言葉』刊行記念
ろうそくの炎で楽しむ朗読会

笠間直穂子+工藤庸子+林巧+古川日出男+岬多可子
ホスト:管啓次郎

■日 時 8月21日(日)18:00(開場17:30)
■会 場 青山ブックセンター本店内・カルチャーサロン青山(http://www.aoyamabc.co.jp/store/honten
■定 員 100名様
■入場料 1,200円(税込)
■参加方法
[1] ABCオンラインストア(http://www.aoyamabc-online.com)にて予約受付。
[2] 本店店頭にてチケット引換券を販売。
※入場チケットは、イベント当日受付にてお渡しします。
※当日の入場は、先着順・自由席となります。
※電話予約は行っておりません。
■お問い合わせ 青山ブックセンター本店 03-5485-5511
■受付時間 10:00~22:00
※受付時間は、お問い合わせ店舗の営業時間内となります。ご注意ください。

闇夜にゆらゆらと揺れるろうそくの炎のもと、音として響く文章に耳を傾けてみる。そんなささやかな、けれどもゆたかな夜を一緒にすごしませんか。


この朗読会は、管啓次郎・野崎歓編『ろうそくの炎がささやく言葉』刊行記念イベントです。ろうそくの炎で朗読して楽しめる詩や短編によるアンソロジーで、今回は書籍に収録された作品の一部を、執筆者たちによる自作朗読のかたちでお届けします。出演者は、編者の管啓次郎さんをはじめ、笠間直穂子さん、工藤庸子さん、林巧さん、古川日出男さん、そして岬多可子さん。さらに当日サプライズゲストの可能性も?


ろうそくがともる幻想的な空間で、紡ぎ出される声の響きの魅力を、ぜひゆったりと感じてください。

※いただいた入場料のうち200円は、東日本大震災の義援金として寄付いたします。
寄付先は後日、青山ブックセンターホームページにて発表させていただきます。

Sunday 14 August 2011

朗読CD発売されました

モエレ沼「Walking」展の詩画集に朗読CD付き特別ヴァージョンが完成し、発売されました。モエレ沼にお越しの際にはぜひお求めください!

ある夜

 眠らずに何時間も歩く。なにもかも腹立たしい、今までしてきたたくさんの譲歩。もう、自分の仕事だけをしたい。自分の仕事に没頭したい。それしかない。さもなければ気が狂う。
(『メカスの難民日記』1953年3月5日、飯村昭子訳)

Saturday 13 August 2011

この地上絵を歩いてごらん

秋田県大館市といえば秋田犬の原産地。半世紀前、祖父が飼っていた秋田犬のトラがここで生まれた犬だったことを覚えています。そのころのぼくには馬のように巨大に見えた。

その大館市で今、7月にアート千代田3331で一緒に展示をやった村山修二郎さんが、とんでもないことを試みています。

地上絵。ナスカではなく、大館で。ひとりで道を作るようにして。

http://plantart.exblog.jp/

これは強烈。20日までなので、行けるかなあ。村山さんとは9月に、明治大学生田図書館のギャラリー・ゼロで、再度一緒に展示をします。こんどは「生田の山」がテーマ。

がんばれ、修二郎。また生田で再会しましょう!


Friday 12 August 2011

「ともしびとなる本」

『ろうそくの炎がささやく言葉』刊行記念フェアのために作った小さな冊子が「執筆者たちが選ぶ ともしびとなる本」。ひとり1冊だけの選書とコメントに、それぞれの個性が避けがたく表れています。おもしろい。いくつかの書店におかれているほか、以下の特設サイトから見ることができます。

http://lemurmuredesbougies.tumblr.com/

『島の水、島の火』

第2詩集『島の水、島の火 Agend'Ars 2』の校正を終えました。9月21日に発売します。3月11日以後に心をよぎった多くがそこに雲のように影を落としています。ぜひごらんください、特におもしろいわけではないけれど!

Agend'Ars 43


Nunca se encierra la pintura en un papel
Ni se queda el sol en la superficie de una piedra
Cuando el alma fluye sobre la piel
Las letras proyectan su silueta como la sombra de las nubes
Por eso, he buscado lo que fue puesto
Lo que se pone en una línea
La búsqueda sin dirección del destinatario es como una sonrisa de un siluro que imita a los gatos
Es como un bostezo de un manatí que quiere hacerse pequeño nudiblanchia
Espíritu del matorral, espíritu del tocón, los Espíritus abandonados
A ustedes estoy esperando, aunque no aparecen nunca
Mientras, quiero consolarme con copiar el azul del cielo nocturno en el papel
Sirviéndome del único pedazo del carbón vegetal que me queda
Así hago bailar a mi representante en el papel
Quien hace esfuerzos desesperados para sumergirse en el papel
De él y de mí, de los que pretendemos imitar a las letras
Nuestra presencia es tan insegura

(Una traducción tentativa por Eiko Minami)