Monday 31 December 2012

さようなら、ありがとう、2012

あっというまの一年でした。いろいろなことがありました。立ち止まって考えました。答えもないままに、次の一歩。

ひとつ心残りなこと。今年もいろいろな方からたくさんの新刊書を送っていただき、ありがとうございました。お礼を出さずじまいで、申し訳ありません。

でも本と本はいつでも思いがけないかたちでつながり、いったん水面下に沈んでもまた突然ひょっこり顔を出すもの。

かわうそやビーバーのような本たちのそんなふるまいのために、来年も小さく小さく活動していきたいと思います。

Saturday 29 December 2012

クリスマス・イヴ公演を終えて

24日の『銀河鉄道の夜』、おかげさまで昼も夜も満員。冬を溶かすくらいの熱気に包まれて、2回の公演を終えることができました。さすがにその日はへとへと!(通しのリハーサルを含めて3回やったので。)しかも小島くんは38度以上の熱を押しての熱演でした(駄洒落じゃないよ)。

うれしい感想をたくさんもらいましたが、まずは批評家の佐々木敦さんのツイートから。「そして後半が『銀河鉄道の夜』。随所に寸劇的な要素も入った、朗読の域をはるかに越え出た、極めて完成度の高いリーディング演劇になっていた。とにかく四人の声の魅力に聴き惚れる。僕はこのまま音盤化出来ると思った。古川さんの変幻自在さ、管さんの深みと落ち着き、そして柴田さんの英語の叙情」

なぜか、昼と夜はかなり出来映えがちがいました。それはたぶんお客さんの反応にぼくらが反応しているから。でもどちらがよかったというのではなく、昼のほうが「初々しかった」という声もあり、夜のほうが「自由だった」という声もありました。これからも一回ごとに姿を変えてゆく、永遠の未完成作品でありたいと思っています。

初めての人も、くりかえし見ていただいている人も、ぜひ来年も、どこかの公演を見に来てください。

Sunday 23 December 2012

今年の3冊

読売新聞、本日は恒例の「2012年の3冊」。各書評委員が選んだ3冊をごらんください。

Saturday 22 December 2012

「アサヒカメラ」2013年1月号

「アサヒカメラ」の新年号の展評セクションで「神話のことば ブラジル現代写真展」(資生堂ギャラリー)の評を書きました。pp.218-219。

一見の価値あるおもしろい展示です。あ、明日(23日)までだ! 銀座に行ったらぜひどうぞ。

サンゴ礁の明日?

明日の明治大学リバティーアカデミー。東大の茅根創さんに、太平洋の島国ツバルのサンゴ礁のお話をうかがいます。地球システム学から見た海面上昇エトセトラ。

興味がある方、ぜひどうぞ!

https://academy.meiji.jp/course/detail/975/

Tuesday 18 December 2012

「読売新聞」書評委員会

読売の書評委員は任期2年。年末ごとに、半数が入れ替わります。今年限りで去ったのは、朝吹真理子さんや池谷裕二さん、ほか。そして新たに加わったのが、石田千さんや開沼博さんら。すっかり仲間になったみなさんと別れるのは悲しいけれど、新しい仲間とまた一年いろいろ話し合いながら進めてゆくのが楽しみです。

2013年も毎月2本が目標です!

Monday 17 December 2012

クリスマス・イヴの銀河鉄道


いよいよ1週間後、渋谷・サラヴァ東京での朗読劇『銀河鉄道の夜』公演です。

http://l-amusee.com/saravah/schedule/log/20121224.php

体験しなければわからない、何にも似ていない世界。ぜひ見にきてくださいね。

ペア券(ふたりで6000円)がお得です!

受験を考えているみなさんへ

年が明けるとすぐ、新領域創造専攻の2期入試の出願です。来春からは中野の新キャンパスで展開。授業を基本的に6限、7限にかため、社会人でも単位を取得できるようにします。

興味がある人は気軽に相談に来てください。まずは大学院修士課程で何をやりたいか、1200字程度の作文を郵送してください。

214-8571(個別郵便番号)
明治大学理工学部 管啓次郎

まで。映像制作、写真、美術、批評、文化研究、文芸創作。まずはやりたい分野の構想を聞かせてください!

Sunday 16 December 2012

「砂漠について」

土曜日、日本女子大学にて開催された多民族学会で「砂漠について」と題した講演をおこないました。主としてチカーノ文学のふたりの作家、いずれもエル・パソ出身のアルトゥーロ・イスラスとレイ・ゴンサレスについて話しました。

しばらく離れていたチワワ砂漠の風景が、話すことによって頭の中によみがえった一日。<文学体>literary bodyという以前からの考えについても話す機会になりました。日頃、大学で文学の授業をもっているわけではないので、自分にとっても新鮮。

お世話になった松本昇さん、齋藤修三さんをはじめとするみなさま、ありがとうございました!

そしてこれから

投票率... うちの学生たちにもいろいろいったけど... 民主主義も何もないね... 自由もなく、民主主義も... 黒い、黒いユーモア...しかも笑えない...明日どうなるんだろう...明日をどうするつもりなんだ...どうにかしよう... 福島を忘れないで... そして東北のすべてを...

読売書評#25

赤松美和子『台湾文学と文学キャンプ』(東方書店)。12月16日掲載。

台湾文学を支える毎夏の各地の文学キャンプ、文学営。その起源は国民党の下部組織・救国団の反共教育で、それが熱心な編集者たちによって作り換えられていったのだそうです。ぼくらが一緒に映像制作のワークショップを開催している政治大学も、もとはといえば国民党の幹部養成学校でした。

また、有名なアイオワ大学のライティング・プログラムを夫のポール・エングルとともに作ったジョウ(耳を三つ組み合わせた字)華苓も、救国団の文学キャンプの講師だったという意外な事実。つまり、アメリカの大学における「創作科」は、この台湾の文学営の直接の影響下にはじまったというわけです。これは、賭けてもいいけれど、世界文化史において、アメリカの大学業界の側からはまったく見えていない事実でしょう。

日本でも文学キャンプをやってみるとおもしろそう。どこか、興味のある出版社の方、ぜひ連絡してください。われわれ、新領域創造専攻との共催で、やってみませんか? 


Thursday 13 December 2012

今日の啓示

今日、職場の業務で、事務室のトンボ鉛筆を使いました。鉛筆自体、ひさしぶり。するといやでも目に入るのがTombowというその綴り。トンボ鉛筆は来年で創業百年だそうですが、ずっとこの綴りを使い続けたのだろうか。

不思議な綴りです。むかしからそう思っていた。トムボウか。なぜこうしたんだろう、と考えていると、はたと思い当たりました。Tomboと書いても、たぶん発音はトムボウで大差ありません。しかしそうすると、Tomb(墓)の連想がつきまとう!

「墓の人、死びと」のような感じで受けとめられるのを避けるために、Tombowにしたにちがいない。どうしてこんなことをいままで考えつかなかったのだろう、と思うくらい、明らかなものだという気がします。

それはともかく、鉛筆っていいですね。これから鉛筆ばかり使おうかな。鉛筆削りの小刀とともに。少しは落ち着いた気持ちになれるかもしれません、あの削りたての匂いを嗅げば。

みなさん、12月をなんとかがんばりましょう。そしてくれぐれも、改憲だの徴兵だの国益だのを売り歩く政党や政治家に丸めこまれないようにしましょう。

Wednesday 12 December 2012

「週刊朝日」12月21日号

おかげさまで週末のオムニフォン・シンポジウムは盛況。きわめて充実した発表の連続でした。

そのシンポジウムにぜひとも(かなうことなら)招きたかったのが、パリ在住の関口涼子さん。彼女が訳したマティアス・エナール『話してあげて、戦や王さま、象の話を』(河出書房新社)の書評を「週刊朝日」に書きました。

ぼくが行ったことのないイスタンブルの魅力があふれる佳作です。冬休みにお勧めします!

Saturday 8 December 2012

「世界文学におけるオムニフォンの諸相」

いよいよ本日と明日! 土屋勝彦さん(名古屋市立大学)を中心とする科研費グループのシンポジウムです。明治大学和泉図書館ホール(明大前)にて。

世界文学の現在に興味がある方は、ぜひどうぞ。

http://www.meiji.ac.jp/sst/grad/information/2012/6t5h7p00000dxpba.html

「すばる」に連載開始

「すばる」の冒頭口絵ページの連載をはじめました。題して「旅ときりぎりす」。宛もない旅のノートです。第1回はサモア、島旅を続けます。

Monday 3 December 2012

Palavras cruzadas

ブラジル大使館が作ったかっこいい写真と詩のサイト、「交差することばたち」。ぼくも参加しています。ぜひごらんください!

http://palavrascruzadas.brasemb.or.jp/

Saturday 1 December 2012

「水牛のように」12月号

木曜日、下北沢B&Bでの朗読会は満員。お越しいただいたみなさま、ありがとうございました。金曜日、新領域創造専攻修士研究中間発表会。土曜日、学部の推薦入試面接。そんな感じで12月に突入し、木の葉も本格的に色づいてきました。さくらの落葉がきれいな季節。

「水牛のように」12月号です。ぼくは「犬狼詩集」6片。「時制論」シリーズも、そろそろ完成に近づいてきました。

http://www.suigyu.com/sg1212.html

Friday 30 November 2012

「エル・ジャポン」2013年1月号

雑誌の世界では早くも年が改まり。「エル・ジャポン」1月号にキルメン・ウリベ『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ』の書評を書きました。本当にいい小説、お勧めします。

Wednesday 28 November 2012

読売書評#23

朝日祥之『サハリンに残る日本語樺太方言』(明治書院)、11月18日掲載。

29日(木)は下北沢へ

29日(木)、下北沢のB&Bで『ろうそくの炎がささやく言葉』朗読会を開催します。「この まちの いのりの よる」、ぱくきょんみさん、山崎佳代子さんと。ぜひいらしてください!

http://bookandbeer.com/blog/event/20121129_city_prayer/

Sunday 25 November 2012

「花椿」2012年12月号

現在、資生堂ギャラリーで開催中のブラジル現代写真展『神話のことば』。「花椿」にその紹介を書きました。充実の写真展。おすすめします。銀座近くに行くことがあれば、ぜひ立ち寄ってみてください。

読売書評 #24

山村雅昭写真集『ワシントンハイツの子供たち』(山羊舎)、11月25日掲載。東京オリンピックの選手村として転用される前の米軍住宅町「ワシントンハイツ」(現・代々木公園)のアメリカ人の子供たちを撮ったすばらしい写真集です。見ているうちに、そこに露呈する歴史に、船酔いのような気分を覚えます。

当時はたちそこそこの写真家(故人)による、歴史的な傑作写真集。

「渡り鳥わたれ」終了

土曜日の夜、レイニーデイでの朗読会「渡り鳥わたれ」終了。数は多くなかったけれど、きわめて熱心に耳を傾けてくれるお客さんにめぐまれ、忘れがたい一夜でした。少しだけお名前を(敬称略で)あげさせてもらうなら、野村喜和夫、田中庸介、エリック・セランドといった詩人たち、港千尋、新井卓といった写真家たち、翻訳家のくぼたのぞみ、金子奈美やカリブ海文学者の大辻都、文化人類学者のマリリン・アイヴィーや冒険家の山田龍太、ほか。場はオーディエンスが作るもの、おかげさまできわめて高い集中力を維持しつつ、われわれも全力を出すことができました。

古川日出男と関口涼子のバイリンガル朗読、戸島さや野の暴力的でこの上なく美しいヴァイオリンは、歴史に残るでしょう!

ちょっとありえない顔合わせを作り出すことができて、本当に幸運でした。みなさん、ありがとうございました。レイニーデイの林下さん、これからもよろしく。


Saturday 24 November 2012

古川日出男、関口涼子、雨の日

明日土曜日(24日)、レイニーデイブックストア&カフェにて「渡り鳥わたれ」朗読会です。古川日出男さんと関口涼子さんのバイリンガル朗読に、戸島さや野さんの超絶技巧ヴァイオリンがからみます。そしてぼくは、ジャメイカ・キンケイド、川上未映子、エイミー・ベンダーの短篇を読みます。

ぜひどうぞ! 現在における朗読の、ある極限を体験してください。

Friday 23 November 2012

田中功起さん!

木曜日、猿楽町校舎でのぼくの大学院ゼミを、アメリカから一時帰国中の田中功起さんの特別講演に。北海道、沖縄とも中継でむすぶ画期的なゼミのタイトルは「きのう考えていたこと、いま考えていること、あす考えるべきこと」。いつもながらの彼の新鮮な発想の連続に、脳が夏のシャワーを浴びているような気分になりました。

来年はヴェネツィア。ぼくも行くつもりです。

この晩はコロンビア大学の文化人類学者マリリン・アイヴィー先生、そしてヴェネツィア出品に関する田中さんのパートナー、国立近代美術館の蔵屋さんも受講生として参加。ほんとうに楽しいひとときでした。

創造性を徹底的に追及する場としてのゼミ。新領域創造専攻のtrue colorを、参加者のみなさんには少しだけ体験してもらえたことと思います。

Avec 関口涼子、小沼純一

東大文学部でのぼくの授業「詩の発生と現在」、21日は関口涼子さんをゲストにお迎えしました。しかも、関口さんとぼくの共通の友人である小沼純一さんが友情出演! 

小沼さんの詩のひらがな、吉増剛造さんの詩のカタカナ、そして関口さんご自身の詩の秘密。つきない話にあっというまの100分でした。楽しかった。

この授業、今学期だけの限定開講ですが、すばらしく濃密な内容になっています。20人あまりの受講生のみんな、こんな授業が成立していることの意味をわかってくれるかな。ぼくらが学生のころ(30年前ですが)あってほしかった形式を、いまやっと実現している感じ。

来週は山崎佳代子さんがゲストです!

Tuesday 20 November 2012

「翻訳という怪物」

19日、六本木ミッドタウンにあるスルガ銀行d-labo(dはdreamから)にて、柴田元幸さん、ジェフリー・アングルスさんとの鼎談「翻訳という怪物」。「翻訳から何を学んだか」に始まり「これからの夢」に終わる2時間を満員の聴衆のみなさんとともに楽しむことができました。

中でもおもしろい試みだったのは、エミリー・ディキンソンのある詩を3人がそれぞれのスタイルで訳してみるということ。その結果のあまりの違いに、翻訳がいかに化けるものかを改めて痛感し、同時に目が覚めるような新鮮さを体験しました。

この鼎談、「すばる」2月号に掲載されます! ぜひごらんください。

AITにて

AIT とはArt Initiative Tokyoの略、代官山にあるアート系NPOです。15日、かれらの企画「東京事典」のための公開録画が行われました。15分間の録画なのですが、ぼくはuncovering/walkingというタイトルのもと、各地で撮影した自然映像から作った15分のビデオ作品を背景に、自作のエッセーと詩を朗読しました。大與の和ろうそくをテーブルに立てて!

ビデオ編集を担当してくれた笠間くん、松本こーちゃん、ありがとう。いずれ公開されるはずですから、そのときはみなさん、見てください。


リハーサル

翌日の夜はリハーサル。おなじくレイニーデイで、24日のイベント「渡り鳥わたれ」のため。こんどは古川日出男さん、関口涼子さん、ぼくの3人に、超絶技巧のヴァイオリニスト戸島さや野さんが全面的に伴走してくれます。リハ、ばっちりです。これまで見られたことも聴かれたこともなかった種類のパフォーマンス。

ぼくはジャメイカ・キンケイド、川上未映子、エイミー・ベンダーの短篇を読みます! ぜひいらしてください。

ふたたび、ろうそくの炎が

『ろうそくの炎がささやく言葉』の朗読会をひさしぶりに開催しました。11月10日、レイニーデイ・ブックストア&カフェにて。フランスから一時帰国中の関口涼子さん、そして昨年はずっと外国に滞在していた中村和恵さんをお迎えして、新井高子さん、小沼純一さん、ぼく。これにパーカッションの渡辺亮さんが森羅万象を音で表現してくれました。強烈な一夜。

これもまたささやかな炎でしかありませんが、この炎を絶やすことなく、ときおり吹く風によみがえらせるようにして続けていきたいと思います。


Thursday 8 November 2012

『ろうそくの炎がささやく言葉』朗読会

しばらくお休みしていた『ろうそくの炎がささやく言葉』の朗読会ですが、これまで本書の朗読会に参加していない執筆者のお二人を迎えて、ひさびさに開催します。10日(土)、Rainy Day Bookstore & Cafeにて。

http://www.switch-pub.co.jp/rainyday/299121300.php

お二人とは、フランス在住で一時帰国中の関口涼子さん、そして昨年は海外にいたわが同僚の中村和恵さん。ここに、新井高子さん、小沼純一さんとぼくが加わり、パーカッションの渡辺亮さんが変幻自在の色彩をつけてくれます。

きわめて特異な組み合わせです。ぜひいらしてください!

キルメン・ウリベ讚

バスクの作家キルメン・ウリベが来日中です。彼のすばらしいすばらしい小説『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ』が翻訳出版されたのを機に。作家本人もほんとに好青年で、この三日ほど親しくつきあうことができました。

今日はセルバンテス文化センターでの対談。小説からの朗読(彼がバスク語原文、ぼくが金子奈美さんによる日本語訳、そして背後にはスペイン語字幕)をはさみこみながら、割合いろんな話題にふれることができたと思います。

ぼくは風邪で信じがたいダミ声でしたが、それでも楽しいひとときでした。この小説、真の傑作です。たとえばゼーバルトが好きな人にお勧めしますが、それ以外のどんな人にも。今年ただ1冊翻訳小説を読むとしたら、これでしょう!

昔から惹かれていたバスク。こうなったら行ってみないわけにはいきません。来年の目標?

先週の詩、今日の詩

東大文学部の「詩の発生と現在」。先週は三角みづ紀さんをゲストにむかえ、非常に充実した時間でした。三角さんが持参してくれた詩3篇は次のとおり。

高橋新吉「何もないのだ」
斉藤倫「その名」
三角みづ紀「終焉#29」

そして今日は通常の運営に戻って、以下の3篇。

李ソンボク「手紙」
那珂太郎「ねむり」
石垣りん「子供」

そのあとのパス『弓と竪琴』をめぐる議論も抱腹絶倒でした!

台湾原住民小学生サンバ

日曜日、那覇ですごいものを見ました。台湾の原住民小学生たちのサンバ・パレード! 総勢およそ30人、さまざまなドラム類を下げて、あくまでも陽気に楽しく元気に明るく強烈なビートを堪能させてくれました。

平和通りから桜坂劇場へ。かれらの公演を実現したのは翁長巳酉さん。かつてブラジルに12年住み、観光客など絶対に行かないキロンボ(元逃亡奴隷たちの村)をまわって異なるリズムを体に叩きこんできたパーカッショニストです。

その彼女が何を思ったか、台湾・台東の子供たちにパーカッションを教えはじめ、その驚くべき成果がいまここに。もちろん、バックに何がついているわけでもありません。完全に手弁当、草の根交流が実現した感動的な光景でした。

ブラジルを基礎に、これから子供たちが独自のヴァリエーションを生み出してゆく、そこが肝心なのだと翁長さんはいいます。この水平感覚、自在な越境/混淆/即興性に、こっちの目も耳も開きました。

Facebookに映像をアップしているので、興味がある人はぜひごらんください。

(なお「原住民」とは台湾での正式の呼び方。台湾では「先住民」が「すでに滅亡した」という意味を帯びるようです。)

震災シンポジウム終了

建築系の同僚たちが主催した震災・復興シンポジウム、ぶじ終了。建築学科は明治理工でもっとも活気のある学科ですが、このシンポジウムにも多くの学生が集まり、充実した会でした。

非建築系はぼくだけ。朗読劇『銀河鉄道の夜』東北ツアー報告が目的でしたが、ツアーにたどりつくまえの背景説明で時間が過ぎてしまいました。柴田元幸さん訳のエミリー・ディキンソンの詩を朗読できたのが救い。『ろうそくの炎がささやく言葉』所収です。

ともあれ、建築の同僚たちがじつにさまざまな試みに関わっていることに、感動しました。東北への関わりを一過性のものにすることなく、これからの持続と新しい社会デザインを考えていきたいと思います。

読売書評 #22

奥野・山口・近藤編『人と動物の人類学』(春風社)。11月4日掲載。動物について考えるための好著。そして装幀の良さが際立っています。

Friday 2 November 2012

「震災・復興と向き合う」

明日になってしまいましたが、お茶の水の明治大学リバティータワーで明治大学建築シンポジウム「震災・復興と向き合う」が開催されます。ぼくは朗読劇「銀河鉄道の夜」東北ツアーについて報告します。興味がある人はぜひ聴きにきてください!




2012年度明治大学建築シンポジウム
「震災・復興と向き合う」
【企画主旨】
  震災はそれまで抱えていた問題を浮き彫りにし、復興は社会のトレンドを加速させるものである。東日本大震災は、地震災害と原発事故のリスクや現代日本の脆弱性を噴出させた。同時に、過疎化や再生可能エネルギーなどのトレンド、地域の歴史文化やコミュニティ、そしてリスク社会との向き合い方が問われている。
  今回のシンポジウムでは、第一部として、明治大学建築学科および大学院新領域創造専攻の教員・学生等がこの1年半、震災・復興にどう向かい合ってきたかを報告する。また、第二部として、外部からゲストをお招きした上で、震災復興に求められる建築専門家のあり方について議論するとともに、縮小社会における「公共」空間のふさわしい立ち現れ方について、意見を交わす。

      ● 日時:2012年11月3日(土)午後1時半〜5時
      ● 会場:明治大学駿河台キャンパス・リバティタワー地下1階 1001教室 
      ● 参加費:無料(学外の方でも参加できます。申し込み不要)
      ● 主催:明治大学理工学部建築学科・同大学院理工学研究科建築学専攻
       共催:明治大学科学技術研究所、明建会、明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻
       後援:明治大学震災復興支援センター

【プログラム】
あいさつ 小林正美(建築学科長)
第1部(14:15〜15:15)
 「建築物の被害調査を通した学会の役割」
   平石久廣(明治大学教授/日本建築学会災害委員会委員長)
 「再生履歴のアーカイビングから、復興のパースペクティブへ」
   青井哲人(明治大学准教授/日本建築学会『建築雑誌』編集長)
 「集団移転地のデザインに挑む建築家の役割」門脇耕三(明治大学専任講師/アーキエイド)
 「朗読劇『銀河鉄道の夜』の東北ツアー」管啓次郎(明治大学教授/新領域創造専攻DC系主任)
 「領域横断・社会連携による被災地支援」山本俊哉(明治大学教授/東北再生支援プラットフォーム副代表)

第2部(15:30〜17:00) 特別対談「震災復興と『私』から拡がる公共のかたち」
 西田亮介(公共政策学者 / 立命館大学大学院 先端総合学術研究科 特別招聘准教授)
 福屋粧子(建築家 / 東北工業大学 工学部 専任講師)
 吉村靖孝(建築家)
 モデレーター:門脇耕三(前掲)

Thursday 1 November 2012

「水牛」11月号

ウェブマガジン「水牛のように」11月号です。ぼくはあいかわらず「時制論」シリーズ6片を発表。ごらんください!

http://www.suigyu.com/

Saturday 27 October 2012

読売書評 #21

栩木伸明『アイルランド紀行』(中公新書)。10月28日掲載です。思いきりアイルランドに行きたくなった。

Friday 26 October 2012

電子メールでは

電子メールでの通信について、思ったこと3点。

1)最近、ある雑誌の「編集委員会」と何度かやりとりをしたのだが、いつも「編集委員会」とあるだけで個人名がない。それが失礼だという感覚がないのかな。ぼくの感覚では「はなはだ失礼」の部類に入るが、いかが?

2)同様に、会社や組織の用事でメールをくれるとき、姓しか記さない人がいる。名前を書いて、たとえば性別がわかるのがいやなのかもしれない。しかしこれも、仕事をするならそれくらい引き受けて当然ではないのか。自分の仕事でしょ。

3)これは友人・知人にもときどきいるけど、あえていわせてください。メールの件名に「〜です」と自分の名前を書いてくるのはまったく無意味だと思うけれど、いかが? ちゃんとほんとの用件を書いてほしい。

というわけで学生たちには「必ずフルネームを記せ」「必ず件名を記せ」といってます。うるさい? だがそうしたほうがいいよ。ほんとだよ。

24日の詩

「詩の発生と現在」、24日に学生たちが持ち寄っていたのは以下の3編です。

 北園克衛 「朝」(あわせて「舗道」「レセプシオン」も)
 黒田三郎「もはやそれ以上」
 ランボー(中原中也訳)「わが放浪」

いずれもいい議論になりました! 来週は三角みづ紀さんがゲストです。

11月10日(土)レイニーデイで

秋の夜長を、ろうそくの炎のもとでの朗読会で。ぜひいらしてください。3人の女性詩人のソウルがしずかに炸裂します!

http://www.switch-pub.co.jp/rainyday/299121300.php


Monday 22 October 2012

日本比較文学会シンポジウム

昨日、日曜日、快晴。桜上水の日本大学文理学部にて、日本比較文学会関東支部の50周年記念大会が開催されました。午後は池澤夏樹さんの講演につづいてシンポジウム。野谷文昭さんを司会として、ラテン・アメリカ文学と翻訳文学全般を広く論じる機会になりました。

英米文学から鴻巣友季子さん、フランス文学から工藤庸子さん、そしてイスパノ・アメリカ文学から花方寿行さんが発表。ぼくはディスカッサントとして参加しました。

鴻巣さんが提起した「重訳」の問題の本質的重要性、工藤さんによるナショナルな文学という問題圏、花方さんによるスペイン語圏の出版事情とロベルト・ボラーニョへの導入。いずれも多彩で軽みのある、非常にいい発表でした(さすが!)。

ぼくはそれを受けていくつか思いつくままに語ったのですが、最終的な問いは「翻訳文学を読むことは何の役に立つのか」ということ。それぞれから的を射たお答えをいただき、聴衆のみなさんにも大いに刺激になったはず。

そしてあらゆる対話はその場で終わるのではありません。これからも断続的に、みなさんとの意見交換を続けていこうと思います。

お越しいただいたみなさん、ありがとうございました!



Saturday 20 October 2012

読売書評 #20

川上未映子『水瓶』(青土社)、10月21日掲載。すばらしい傑作短編集! ジャメイカ・キンケイド『川底に』やエイミー・ベンダー『燃えるスカートの少女』の世界と隣り合っています。

Friday 19 October 2012

先週の詩、今日の詩

東大文学部での授業「詩の発生と現在」がおもしろい。毎回、3篇の詩を読んで議論することから始めるのだが、かなりいい手応えがある。議論もどんどん活発になって。いいぞ、みんな!

10日に読んだ詩は
 安西冬衛「軍艦茉莉」
 Mark Strand "Keeping Things Whole"
  谷川俊太郎「幼稚園の天使」

17日に読んだ詩は
 ヴィスワヴァ・シンボルスカ「感謝」
 短歌3首(村嶋和樹、穂村弘、栗木京子)
 伊藤比呂美「雪」

これからも何が飛び出すかわからなくて楽しみです。

Thursday 18 October 2012

田中功起プロジェクト

来年のヴェネツィア・ビエンナーレの日本代表作家は、田中功起さん。彼がロスアンジェルスに移る前(2008年だったかな?)われわれディジタルコンテンツ系でレクチャーをお願いしたこともありました。

その田中さんのヴェネツィア用プロジェクトのひとつに、ぼくも参加。5人の詩人の共同制作プロセスの全体がヴィデオに収録され、これから映像作品へと制作されていきます。

月曜日の共同制作に参加したのは、三角みづ紀さん、柏木麻里さん、斉藤倫さん、橘上さん、そしてぼく。作業の一部として、5人で1行ずつ書き進んだ作品を以下に。

なんとも不思議な、楽しい経験でした! 来年はヴェネツィアへ行くぞ。

*****

水を飲んだ、別に水だから飲んだわけじゃないけど
なんてちょっといいすぎたかもしれないな
わたしたちは円になっているだけで
惑星同士のような引力にとらわれてしまう
砂と水を見分けろ。
砂がわたしにそう言ったわけじゃないけど
あきらかな感覚です。
たとえば、窓のむこうだよ
けんけんぱであんなとこまで行けるんだ
四谷四丁目東と月面が近接する
1987年12月19日にやったけんけんぱと月面が近接する
月に氷はないのになぜあんなに輝くの
垂直な月光が私を立たせる
そのあしのうらにかくれていた半分のもの
残欠と残欠が教えてくれる瞬間
月光という出来事
引かれあうのではない引力をさがして円になる動物
獣としての私は水を飲み砂に眠る
この夜。
獣にだって影はあるよ。夜にだって影は出る
夜の水と影の光に裏切られては
四谷四丁目東と月面が近接する
この夜。
砂漠を流れる水と中庭の噴水から噴き出す砂
水に許される日まで水を飲み続けよう。



キルメン・ウリベと

バスクの小説家キルメン・ウリベさんの来日に合わせて、セルバンテス文化センターで対談をします。11月7日(水)19時から。

予約が必要です。以下のサイトから申し込んでください!

http://tokio.cervantes.es/FichasCultura/Ficha84813_67_25.htm

Sunday 14 October 2012

『やし酒飲み』!

エイモス・チュツオーラの傑作『やし酒飲み』が岩波文庫に収録されました。ぼくはチュツオーラのエッセー「私の人生と活動」の翻訳で参加しています。

多和田葉子さんの解説「異質な言語の面白さ」も楽しい。お勧めしていいでしょうか?

「北と南」3号

河内卓編集の「北と南」3号が出ました! ぼくは「川について」と題して詩を6片寄稿。河内くんとジャン・ルノワールの傑作『河』を見て祝いました。

ジョージア州在住の原瑠美のマンガも異様な傑作です!(特に「チビ」)

読売書評 #19

スーザン・ソンタグ『サラエボで、ゴドーを待ちながら』(富山太佳夫訳、みすず書房』。10月14日掲載です。

いい本、いい翻訳なのですが、Tucsonを「タクソン」とは? こういうことは編集者が少しだけ気をつければ。

Saturday 6 October 2012

読売書評 #18

平田剛士『名前で読み解く 日本いきもの小百科』(平凡社新書)。

10月7日掲載です!

Thursday 4 October 2012

「毎日新聞」夕刊10月4日

きょうの「毎日新聞」夕刊の記事「ことばの周辺・10月」で、ぼくの詩集『海に降る雨』が城戸朱理さんの『漂流物』と並べて論じられています。大井浩一記者。まっすぐに核心をつかみとってくれる読者の存在は、ほんとうにうれしいものです。これをもって、次の1片に進みます!

「考える人」2012年秋号

雑誌「考える人」の新しい号は特集「歩く 自足4kmの思考」。ぼくはエッセー「歩くことを作り出すために」を寄稿しています。津田直さんの写真つき! 津田さん、ありがとう。

かっこいい表紙写真はハミッシュ・フルトンのプロジェクトWalk 2です。

Wednesday 3 October 2012

今日の授業で読んだ詩

谷川俊太郎「ろうそくがともされた」
新井高子「片方の靴」
萩原朔太郎「野鼠」
西脇順三郎「冬の日」

「詩の発生と現在」

東大文学部での授業「比較文学概論」はじまりました。以下が概要。詩の本質に迫る授業になることは確実です! 


東京大学文学部言語文化学科現代文芸論専修
「詩の発生と現在」(冬学期・水曜4限)
管 啓次郎 明治大学理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系
214-8571 川崎市多摩区東三田1−1−1 明治大学理工学部 044-934-7275

目標=詩を探してくること。探しあてたとき、それはすでに詩として体験されている。そのときには、詩とは何かについての自分なりの了解が生じている。それを、さまざまな詩との出会いをくりかえしつつ、さらに考えてゆく。

教科書=シラバス段階では指定していなかったがオクタビオ・パス『弓と竪琴』(牛島信明訳、岩波文庫)を教科書に指定する。それ以外の参考書は随時紹介したり、されたり。

朗読=現代の詩は文字の体験と音声の体験が乖離している。それには理由があり、一概に悪いとは思わない。ただし音声レベルでの体験の強さと共有可能性を、ここでは重視することになると思う。

授業構成=授業は参加型。毎回必ず発言してほしい。かぎりなくリラックスした場なので、思ったことは自由に。
1 朗読の時間。毎回3篇ほどの詩を朗読し、作品の実践批評をみんなで試みる。毎回、持ち回りの作品選定と朗読。
2 『弓と竪琴』を読む。毎回の指定範囲に現われる問いを自由に議論する。毎回、ディスカッサント3名を指定。
3  詩の周辺で。ぼくが最近考えていることを生の状態で話す。話題はどう展開するかわからない。
4 思考の種子。各自の関心にしたがって、そのとき考えていることを即興で話す。準備をしてはいけない。
5 出席カード代わりに毎回最後の10分を使って質問カードを記入し提出。

最終評価=「論文」「作品」の2つのトラックから選んでいい。
論文は、詩論。400字詰め原稿用紙換算15枚以内(厳守)。学期半ばの段階でプロポーザルを提出すること。
作品は、詩作。300行以内。(散文形式の場合、上記に準ずる。)
いずれも学期末に(人数にもよるが)ひとりあたり20分程度をかけた発表会を行う。
提出物はいずれも紙で、郵送あるいは手渡しを基本とする。
学期中、現代日本の詩人・アーティストらが突然ゲストとして現われる可能性が大きい。予告する場合もある。

関連イベント=ぜひいらっしゃい!
10月12日(金) 三角みづ紀さんとの対談 下北沢B&B
10月14日(日) 「星の王子さま」朗読 金子飛鳥さん、青葉市子さんと Rainy Day Books & Cafe
10月22日(日) 日本比較文学会シンポジウム 野谷文昭・工藤庸子・鴻巣友季子・花方寿行さんと
11月19日(月) 鼎談「翻訳という怪物」柴田元幸さん、ジェフリー・アングルスさんと d-labo

Tuesday 2 October 2012

11月19日(月)、翻訳をめぐって?

11月19日、D-Laboにて柴田元幸さん、ジェフリー・アングルスさんとの鼎談です。入場無料、要予約、そして席数は80席のみ。お早めにどうぞ!

http://www.d-laboweb.jp/event/121119.html

Sunday 30 September 2012

読売書評#17

9月30日掲載。出口顕『レヴィ=ストロース まなざしの構造主義』(河出書房新社)。

Friday 28 September 2012

10月14日(日)はRainy Dayで!

金子飛鳥さんを中心とする「本・つながる・未来」プロジェクト、10月14日は飛鳥さん、青葉市子さんとともに出演します。秋の日曜日、ぜひいらしてください。

http://www.switch-pub.co.jp/rainyday/

10月12日(金)、三角みづ紀

今日のJoebell and Americaは最高に楽しい、さびしい、作品でした。中村和恵さんとの話も、まずまずみなさんに楽しんでもらえたのでは。旦敬介くんのカリビアン短編「フルートの話」の朗読もしました。

さて、ぼくの詩集の刊行記念イベントを、10月12日(金)に下北沢のB&Bで開催します。

http://bookandbeer.com/event/

三角みづ紀さんと! スロヴェニアやハワイといった土地の魅力を中心に、詩と自然の関係を話してみたいと思います。スライドショーもあり(たぶん)。

ぜひいらしてください!


Wednesday 26 September 2012

カリブ海映画、中村和恵

9月27日(木)17時より、明治大学和泉図書館ホールで映画上映とレクチャーをおこないます。

ホステスはわれらが中村和恵さん(詩人、エッセイスト、英語圏文学研究)。彼女と親交のあるカリブ海の作家アール・ラヴレイス原作の物語 Joebell and Americaを上映し、ついでぼくのレクチャーということになっていますが、事実上は和恵さんとの対談になるはず。

学外の方も受講できます。主催の明治大学教養デザイン研究科までお電話でお申し込みください (03-5300-1544)。

読売書評#16

エリザベート・ルディネスコ『ラカン、すべてに抗って』(信友健志訳、河出書房新社)。

9月23日掲載。

東北ツアーを終えて

朗読劇『銀河鉄道の夜』秋の東北ツアーを終えました。お世話になったすべてのみなさん、熱心に見てくださった観客のみなさんに、心からお礼を申し上げます。

以下、関連報道など。それぞれ住田町(22日)、南三陸(23日)、喜多方(24日)公演についての記事です。『銀河鉄道の夜』はしばらくお休みですが、関連活動は少しずつ続いてゆきます。このブログで随時告知しますので、よろしく!

岩手日報

Wednesday 19 September 2012

東京堂にて

東京堂書店3階で左右社フェア開催中、のはずです。そしてそこではぼくのサイン入り詩集も売られている、はずです! 数冊しかありません。欲しい人は急いでください! あるいは木曜日の猿楽町校舎の授業に遊びに来てください。そしてディジタルコンテンツ系を受験してください!

Tuesday 18 September 2012

『銀河鉄道の夜』秋のツアー、いよいよ

いよいよ今週末から、朗読劇『銀河鉄道の夜』の東北ツアーです。柴田元幸さんをレギュラー・メンバーとして加え、シナリオにもかなりの変更が。まったく新しい気持ちで臨みます。しかも全公演無料! ぜひ見にきてください。


朗読劇「銀河鉄道の夜」秋の東北ツアー
9月22日(土)14:00 岩手県・住田町農林会館 大ホール
   23日(日)14:00 宮城県・南三陸町 ベイサイドアリーナ 文化交流ホール
   24日(月)18:00 福島県・喜多方市 大和川酒蔵 北方風土館昭和蔵

Monday 17 September 2012

ドクメンタ13

カッセルで開催されていたドクメンタ13、終了。最後にかけこみで大学院生たちとやってきましたが、圧倒的な充実ぶりに茫然としました。

全部はとても見切れない規模なので、こっちに来る前日に田中功起さんから勧めていただいたいくつかを中心に。あとは偶然まかせ。結局、以下のものが強く印象に残りました。

Janet Cardiff によるカッセル中央駅のビデオウォーク。
Susan Philipszによる駅のプラットフォームのサウンドインスタレーション。
Joan Jonasによるすばらしい、すばらしい多媒体パフォーマンス。
Mario Garcia-Torresによるカブールのワン・ホテルの謎解き(ビデオ作品)。
Maria Theresa Alvezによるメキシコの湖開拓をめぐる批判。

ぼくらの12月のギャラリー展示にも、多くの示唆をうけました。

ばったり会ったのが吉岡洋さん、林道郎さん。こんな再会も楽しみのひとつ。早くも次回、2017年が待ち遠しくなってきました!

Sunday 9 September 2012

アイルランド、スコットランド

8日、津田直さんの個展に合わせてキャノンギャラリーSで対談。今回展示の2シリーズの背景をたっぷりうかがい、撮影旅行の楽しいスナップもスライドショーで見せてもらって、充実の1時間半でした。定員150名のところ、200名を超える満員。

津田さんをぼくはイギリスの歩くアーティスト、リチャード・ロングやハミッシュ・フルトンの系譜に位置づけています。そのことを書いたエッセーが掲載される「考える人」、まもなく発売。またいま発売中の「芸術新潮」には、津田さんのこのシリーズが大きく紹介されています。どちらもごらんください。

ケルト的辺境は、ぼくにとってはふるさとみたいな場所(行ったことないけれど)。津田さんとはたぶん何か共同のプロジェクトをやることになります。ご期待ください! 

Saturday 8 September 2012

『銀河鉄道の夜』@桐光学園!

9月7日(金)。甲子園での活躍(神奈川県代表)の記憶も新しい桐光学園で、朗読劇『銀河鉄道の夜』を上演しました! 希望者のみ二百数十名の中高生を観客として、われわれにとっても試練の場。大幅に組み替えた第1部(賢治やぼくの詩の朗読)、相当に新しい要素を加えた第2部(『銀河鉄道』)を、古川、柴田、小島、ぼくの4名で精一杯演じました。

結果は? みんなが受けてくれて、よかった! 東北ツアーへの最高の橋渡しになりました。終了後も多くの生徒さんたちが声をかけてくれたり、サインを求めてくれたりしましたが、特筆すべきは小島ケイタニーラブの人気。開演前から「大ファンです」といってきた男子(マキノくん)をはじめ、この日、彼のファンになった子が(男女を問わず)数十人サインを求めていました。

それにしても桐光学園、いい学校です。朗らかで自由な空気がみちています。企画立案の中野先生や伊奈校長の人柄に、われわれも励まされる思い。ありがとうございました。この日のこの感じをもって、それをさらに鍛えつつ、東北にむかいます!




Tuesday 4 September 2012

「週刊朝日」9月7日号

「週刊朝日」9月7日号にフリードリヒ・デュレンマット『失脚/巫女の死』(増本浩子訳、光文社古典新訳文庫)の書評を書きました。スイス20世紀の代表的劇作家による短編小説集です。

「ユリイカ」9月号

雑誌「ユリイカ」の9月号に、朗読劇『銀河鉄道の夜』をめぐる座談会「岩手で、宮城で、福島で賢治を待ちながら」が掲載されています。

柴田元幸、管啓次郎、古川日出男、和合亮一、4名の話。5月21日夜の記録です。

観客代表の和合さん、そして春ツアーからメンバーに加わった柴田元幸さんとともに、この劇の意味と限界について考えてみました。今月下旬の秋ツアーも、すぐそこです。機会があるなら、ぜひわれわれの舞台をごらんください。

Wednesday 29 August 2012

フェリックス、猫ではなく

きょう29日はフェリックス・ガタリが死んで20年めの命日。彼が残した数々の言葉のアレンジメントをよみがえらせたい時です。創造のために、再創造のために。

『銀河鉄道の夜』秋ツアー予告編

朗読劇『銀河鉄道の夜』の秋ツアーも間近。予告編映像(河合宏樹監督)を公開しました。ぜひ見にきてください、そしておともだちに教えてあげてください。

http://milkyway-railway.com/

ベオグラードにて

ベオグラード大学での学会「近代文化 スラヴと日本の対話」が始まりました。初日の昨日、ぼくはThe Sense of Nature in Poetryという発表(+詩の朗読)を行いました。

初めてのセルビア、ベオグラード。ずっとこの街に住む山崎佳代子さんからのお招きです。スロヴェニアと並んで、これからきっと何度か訪れることになりそうな予感。

Tuesday 28 August 2012

Storm Last Night / Earth Rain House

津田直さんの新作展。9月8日(土)に津田さんとぼくとの対談があります。

ぜひ来てください!

http://cweb.canon.jp/gallery/archive/tsuda-earthrainhouse/index.html

Saturday 25 August 2012

「白い城」!

スロヴェニアに来たのはいいけれど、スラヴ系言語の知識がまったくない。最初の発見はホテルの部屋。Sobaと書かれている。これが部屋。ところが別のところにはSobeと書かれていて、現実の文脈から、それが複数形だということがわかった。なるほど。

ホテルの裏手はお城。歩いてゆく道の表示にはGradと書かれている。英語の感覚だと「大学院生」みたいだけど、これがお城なのは明らか。そうして歩いているうちに、次の目的地である「ベオグラード」のことをふと思った。お隣のセルボ=クロアチア語でも、「グラード」が城にちがいない。しかもベオ? ベル? それはここでは「白」でありベラルーシが白ロシアであることから見てもスラヴ諸語ではたぶん共通。

だったらベルグラードは、「白い城」! ああ、きっとそうだ。明日確認しよう。明日はベオグラード。発表原稿はまだ作業中。

読売書評#15

丹羽美之・吉見俊哉編『岩波映画の1億フレーム』(東京大学出版会)。

8月19日掲載でした。

Friday 24 August 2012

声の祭典

スロヴェニアの小さな古い古い城下町プトゥイでの詩の祭典Dnevi poezije in vinaが熱く熱く進行中です。水曜の晩が初日。町の広場の特設ステージで朗読をしました。順番は以下のとおり。

和合亮一(日本)
アンドレ・ヴェルテル(フランス)
マテヤ・ビジャク・プチ(スロヴェニア)
セミエル・インサイフ(オーストリア)
マアヤ・カングロ(エストニア)
管啓次郎(日本)

和合さんの強烈な熱をはらんだ朗読は、その「機関車、機関車」のリフレインとともに万雷の拍手で迎えられました。そこからは目もくらむ(耳も惑う?)多言語空間。しかし多様な声がきりひらいてゆく空間のおもしろさに、みんなの集中ぶりがどんどん高まります。

最後のぼくは「Walking」連作からの4つと「非在の波」の3つ。ワークショップでスロヴェニアの詩人たちが仕上げてくれた翻訳が字幕に映写され、そのまえでじゅうぶんな時間をとって読むことができました。

三角みづ紀さんが動画を撮ってくれました。ごらんください。今夜はみづ紀さんと野村喜和夫さん。明日は福間健二監督の登場です!

http://www.youtube.com/watch?v=O8tB_YWJFAc




Monday 20 August 2012

スロヴェニアにて

今年の欧州文化首都はマリボル(スロヴェニア)とギマランイシュ(ポルトガル)。前者の関連企画として開催される詩のフェスティヴァルおよび詩の翻訳ワークショップに招待され、中世以来の小さな城下町プトゥイに滞在しています。日本からの詩人は、福間健二、野村喜和夫、和合亮一、三角みづ紀のみなさんと、ぼく。

ほんとうに雲ひとつない青空、暑い! オーストリアのグラーツ空港からやってきたのですが、ほんとにいいところで、料理もおいしく、町の人々も親切。遠い山並みを見ると、そこはすでに狼たちの土地。

土曜日まで楽しんでやってみようと思います。まずは自作朗読が大きな試練です。

Saturday 18 August 2012

青森の清岡智比古

今回のImaginAsia 2012でスタッフの一員として大活躍したのが、わが同僚、清岡智比古さん。充実した青森体験を彼のブログで報告してくれました。

http://tomo-524.blogspot.co.at/

いろいろ大変だったと思いますが、その分も楽しんでもらえてよかった! おなじくつかのまのルームメイトだった富田俊明さんのスキンヘッドが神々しく輝く写真、必見です。

清岡さん、ぜひ来年もよろしく。台湾かタイに、一緒に行きましょう。

Monday 13 August 2012

「アフンルパル通信」13号

札幌の書肆吉成が発行する奇跡の文芸冊子、それが「アフンルパル通信」。13号が完成しました。今回は写真が東松照明さん!執筆陣は

鵜飼哲
吉増剛造
宇波彰
宇田川洋
小川基
山田航

そしてぼくです。ぼくは「Agend'Ars」新作3片。今号には春の釧路This isでの朗読会で山田航さんが読んでくれた感動の長歌「啄木遠景」が収録されています。

 「しゃぼん玉 答えはなべてしゃぼん玉」

このリフレインがいまも耳に残っています!

お求めは書肆吉成へどうぞ。http://camenosima.com

詩集の中に

ぼくの第3詩集『海に降る雨』は9月21日発売。いま制作の最終段階です。

この中に「投げ込み」として、左右社からのこれまでのぼくの本についての小さな紹介チラシを入れてもらえることになりました。そのために特別に書いたのが、以下の文。

ぜひ詩集をごらんください!

「詩について考えることはいろいろあるけれど、詩が果たす役割はと訊ねられるとき、答えはだんだん決まってきた。詩はreminderであり、人がふだん忘れている心と知識の層を思い出させる。また詩は前線の通過のように、人の心の気象を変えることを使命とするのだとも思う。ぼく自身は土地と天候とその場で出会った言葉の記憶に対する直接的な反応として詩を書いてきた。それを読む人が、それまで感じなかったことを感じ考えなかったことを考えてくれればいいと思う。そして忘れてください。すべての文は忘れられたとき、もっともよくその使命を果たすのだから」

Saturday 11 August 2012

五輪なし

テレビをまったく見ないぼくにも、いろいろな場所で断片的にオリンピック関係の放送が流れこんできます。24時間、オリンピックを報道しているんだろうか? 不要、不要。それより外遊びができない福島の子供たちがどんな夏休みを送っているかを実況中継してほしい。

Friday 10 August 2012

ImaginAsia 2012

台湾の国立政治大学とのあいだに2010年に始まった国際ワークショップがImaginAsia。試練の3年目でしたが、タイのチュラロンコン大学を加えて3大学による共同運営、大成功でした。

5日の明治大学猿楽町校舎でのレセプションに始まり、10日の青森市内でのフェアウェル昼食会まで。その間、青森公立大学のすばらしい国際交流ハウスを宿舎に、大学院生たちが少人数のグループに分かれて映像制作にとりくみました。

9日夜の最終発表会ではみんな48時間以内での制作とは思えない力作を披露。見に来てくれた国際芸術センター青森の学芸員、服部浩之さんと金子由紀子さんからも鋭いコメントをいただいて、学生たちにはまたとない機会となりました。

運営も学生たち主体(含む卒業生)でしたが、すべてきちんと組み立ててくれて、感動しました。ありがとう、今回の成功はきみたちの栄光です。

来年以後も、台湾で、タイで、ふたたび日本で、アジアの別のヴィジョンを求める旅をつづけましょう。

学生たちはディジタルコンテンツ、映像・写真、広告、グラフィック・デザイン、ウェブデザインなどを専攻しているみんなで、それぞれの技術とアイデアを持ち寄って作品にします。ダンサーもいます。ミュージシャンもいるのですが、その場で作品のための音楽を制作するにはいたらず。

日本の大学の音楽系の人で、このワークショップへの参加に興味がある方は、ぜひ連絡してください。教員1名+学生5〜6名が理想的な数字です。

想像亜洲、しばらくは続けます!

Sunday 5 August 2012

「夏の一冊」

読売書評欄、今週(5日)は「夏の一冊」特集です。ぼくはW.G.ゼーバルト『土星の環』を選びました。

岡田温司さんの『神曲』、朝吹真理子さんの『笛吹川』などと並んで、小泉今日子さんがアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの『オートバイ』をあげているのに、おっと思いました。

それではみなさん、よい読書の夏を!

映画とフロッタージュ

8月4日〜8日まで、UPLINKでは「映画/千夜、一夜」と題する連続上映会が開催されます。

昨晩はその初日。2本のドキュメンタリー『槌音』(大久保愉伊、2011年、20分)と『わたしたちの間の徴』(宮岡秀行、2012年、66分)を見ました。

岩手県大槌町出身の監督が津波の後と以前の町を撮った前者は、広い海、降りしきる雪、昔の祭り、瓦礫のあいだの歩行などがつむぐ、しーんとした悲哀の時。後者ではフロッタージュの美術家・岡部昌生のアーティストとしての偉大さが、根室の飛行場跡に、広島の街路に、心の炎を灯していきます。フロッタージュだけでなく紙に土地の土を水で溶いて流してゆく「土の記憶」シリーズも壮絶。2007年にヴェネツィア・ビエンナーレでコミッショナーとして岡部さんの展示を準備した港千尋くんとの、岡部さんのアトリエ裏庭での対談シーンも、随時はさみこまれてゆきます。ロビーではこの日限りの、岡部さんの作品展示もありました。

上映後、岡部さんとぼくとの対談が予定されていたのですが、フランス行きの飛行機に乗れなかった港くんが急遽かけつけてくれて、3人の鼎談になりました。かなり充実した話になったのは、司会の藤井裕子さんのおかげ。ありがとうございました。

フロッタージュ。岡部さんの手が全身がとりくむ、その技法の射程と思想に打たれました。


Thursday 2 August 2012

別冊太陽「中上健次」

没後20年を記念しての中上健次特集。充実しています。ぼくは監修の高澤秀次さんの求めに応じて、クレオル文学との対比を書きました。「声の記憶、文字の言葉 クレオル文学と中上文学の接点」です。短いものですが、ごらんください。

Wednesday 1 August 2012

「水牛のように」8月号

「水牛のように」更新されました。ぼくは「犬狼詩集」を今月も6片。シリーズ「時制論」も、これで24ピースです。これからも、どんどん。

http://www.suigyu.com/sg1208.html#08

Monday 30 July 2012

古川日出男をめぐって

古川日出男さんについて2つ、書こうと思って忘れていたこと。

「図書新聞」7月28日号に、郷原宏さんによる『春の先の春へ』(左右社)の書評が掲載されました。

「エロキューション、アクセント、イントネーションから間のとり方に至るまで、すべてが完璧で間然するところがない。少し疲れたような声質もいい。しかもテキストが諧調のある賢治詩だから、まさしくプロの朗読芸が楽しめる」

まだの人はぜひ、このCDを聴いてみてください。

もうひとつ。「SWITCH」7月号(桑田佳祐さんが表紙)での古川さんの連載「小説のデーモンたち」第17回では、われわれの『銀河鉄道の夜』春の東北ツアーのようすがリアルタイムで綴られています。

全力でやったツアーでした。そしてそれを、9月の秋ツアーにつないでいきます。新ヴァージョンで! ご期待ください。

Sunday 29 July 2012

読売書評 #14

島岡由美子『アフリカの民話』(バラカ社)。7月29日掲載。

バラカ? アミリ・バラカの? その出版社の名前に惹かれて読みました。いい本です。親子でどうぞ。

釧路出張

学期末業務のかたわら、学振の仕事で釧路に出張。近郊の標茶町にある京都大学北海道研究林にやってきました。

日本学術振興会では毎年「ひらめき☆ときめきサイエンス」という小中学生むけの科学教室的事業を実施しています。本年度、全国各地で開催されるプログラムは205。そのひとつとして、京都大学フィールド科学教育研究センターが昨日開催したのが「大学の森で学ぼう2012」。

広大な森を舞台とする教室では、その場でとれた植物による草木染め、そして水のpH検査や樹高の測定法などのフィールド科学入門。参加したみんなが楽しめる、わかりやすくすばらしい内容でした。

所長の舘野隆之輔先生、職員のみなさま、ありがとうございました。

夜は、春に朗読会とシンポジウムを開催した釧路の老舗ジャズ喫茶This isへの再訪。店主の小林東さんはあいかわらずお元気で、コーヒーもおいしかった! 北海道教育大学釧路校で教えるアーティストの富田さん、若き古生物学者の伊庭さんと、アート、サイエンスおよびなんだかんだをめぐってつきることのない雑談。来年、一緒に何かやります。きっとやります。

それにしても、どんなご縁か、この1年で3度目の釧路。道東通いはこれからもしばらくつづけたいと思っています。

Monday 23 July 2012

ドイツ語を学ぶみんな!

こんなおもしろい企画があるらしい。応募するといいよ。フラ語では、こういうのはないのかな。


Hallo Deutschland! ドイツ語を学んでいる大学生のためのコンテスト

日本の小学生に、ドイツやドイツ語に興味をもってもらうためにはどうしたらいいでしょう?小学校高学年向けの、1時限(40)のワークショップを考えてみませんか?
ユニークなアイデアで、すてきな賞をもらいましょう!優勝チームは、中国・韓国の学生とともにドイツのワークショップに参加できま
企画書締め切りを延長しました。201284 ()まで受け付けます!
ふるってご応募ください!!
問い合わせ 東京ドイツ文化センター
TEL: 03-3584-3201
hallo-deutschland@tokyo.goethe.org

 




Sunday 15 July 2012

「全くすごい国」


「極々一部の力のある人は、家族ごと逃げて新たな生活を始めました。さらに極一部の人は、子どもと母親だけ逃がして、自分は仕事のために汚染地帯に残りました。この人々だって、家族がバラバラになって家庭崩壊のリスクを負っています。

そして大部分の人は、逃げることができず、汚染地帯で子どもを育てています。親は、「こんな所で育てて良いのか? 泥まみれで遊ばせていいのか? 」と心配しながら生きています。その重さをどう考えていいのか私にはわかりません。

ところが原子力村は、何も変わらなかった。ここまでの惨事を目にしながら、今でも「原子力をやめたら、経済が弱ってしまう」などと言っています。私には信じられないことですが、彼らが政治・経済の中枢を握り続けていて、影響力を行使し続けているのです。全くすごい国だと思います。」

http://hiroakikoide.wordpress.com/2012/06/19/jimmin_2012jun19/



スロヴェニアへ

今年の欧州文化首都はスロヴェニアのマリボル。そこでの「詩とワイン」祭りの日本デーに招待されました。

http://www.maribor2012.eu/en/nc/event/prikaz/2627880/

詩の翻訳ワークショップにつづいて、最終日に発表会。日本からは、福間健二さん、野村喜和夫さん、和合亮一さん、三角みづ紀さんと、ぼくが参加します。

思ってもみなかった土地へ。楽しみです!

第1回「無形文化」祭

第1回「無形文化」祭が進行中です。

http://mukeibunka.com/

先週はハイチのカーニバル音楽ララの公演。強烈なストリート感がみなぎっていました。今週は、パキスタン、宮古島、韓国、その他。どれも絶対に他では体験できない、本物の世界音楽です。

かつて「東京の夏」音楽祭(1985年〜2009年)というすばらしい祭典がありました。ぼくは大ファンで、日本にいるかぎり、毎年いくつかのプログラムに行っていました。ステージで踊ったことも何度か。惜しくもそれが幕を閉じ、3年後の今年、まったく新しいかたちでその精神が受け継がれることになりました。

たしかにちょっと入場料が高いけれど、いずれもその価値はあります。この「現地」感を思うと、実際にいくつかの土地を歴訪したのだと考えれば、茫然とするほどの安さです。

お勧めします!

Saturday 14 July 2012

いよいよ今日、太平洋神話へ

明治大学アカデミーコモンでの「太平洋の神話世界」、いよいよ本日(14日)です。13:30から。第1部はぼくが敬愛する人類学者(ハワイ大学の先輩)、後藤明さんによる充実のポリネシア論。そして第2部は、Ayuo & Seashell+ぼくの「ペレ、ハワイの神話」です。

昨年10月にSaravah東京で演じたものの改訂版。昨日もリハーサルをしましたが、Ayuoのメロディーセンスの良さを堪能してください。

そしてなんといってもストリングスの強烈なすごさ。バイオリンの甲斐史子さんと戸島さや野さん、ビオラの宮野亜希子さん、チェロの松本卓以さん、リハーサル中、間近で聴きながら、ふるえます。

そしてダンスは、今回は天野美和子さん。よく鍛えた体でダイナミックな動きを持続する迫力。

ぼくは自作の朗読と歌唱、そして神話のナレーターとして参加します。きっと楽しんでいただけるはず。当日でも十分入れると思います。ぜひいらしてください!

Friday 13 July 2012

クリスティーヌ・バルトさん連続講演

京都造形大学で、以下のきわめて興味深い講演会があります。行きたい、行けない。行ける人はぜひどうぞ。

京都造形芸術大学美術工芸学科現代美術・写真コース
2012年度国際交流プロジェクト

3回連続特別講義「写真研究の現在」

講師:クリスティーヌ・バルト(ケ・ブランリ美術館写真コレクション担当主任学芸員)

第1回 7月19日(木) 16:30〜18 :00
アフリカとラテン・アメリカの現代写真 .注目される非欧米地域の創造力

第2回 7月23日(月) 16:30〜18 :00
写真による“他者”の表象 .カメラを持つ者はカメラを持たない者をどう見たのか?
前編:1840−1914

第3回 7月26日(木) 16:30〜18 :00
写真による“他者”の表象 .カメラを持つ者はカメラを持たない者をどう見たのか?
後編:1914−1940

会場:京都造形芸術大学 未来館3階「F302」教室(3回とも)
聴講自由 日本語通訳付き
申込み不要・無料(1回だけでも参加いただけます)

〈概要〉
フランス国立ケ・ブランリ美術館は、2006年に国立人類博物館と国立アフリカ・オセアニア美術館の統合によって誕生し、非欧米地域の美術品および人類学的資料を多数収集展示していることで知られています。



エッフェル塔に近いセーヌ河岸に位置し、ジャン・ヌーヴェル設計の建築や広大な庭園など見所も多く、ルーブル美術館やオルセー美術館とともにパリで最も人気の高い美術館のひとつでもあります。

この美術館には、19世紀前半の写真術の発明以来、写真家・冒険家はもとより、人類学者や考古学者によって撮影され続けてきた膨大な量の写真がコレクションされています。学芸員のクリスティーヌ・バルト氏は、この写真コレクションの責任者であり、国立人類博物館の時代から管理・研究・収集・展示を続けています。


今回の特別講義では3回にわたり、バルト氏の研究テーマであるアフリカ/ラテンアメリカの現代写真と、19世紀から20世紀にかけての写真による他者(非西洋人)の表象について、ケ・ブランリ美術館コレクションの画像を見ながら話を聞きます。写真史や現代写真にかかわる方のみならず、人類学に関心のある方にも貴重な機会となると思います。

〈講師略歴〉
クリスティーヌ・バルト Christine Barthe
国立ケ・ブランリ美術館写真コレクション担当主任学芸員


ボルドー大学で民俗学と美術を学んだのち、1991年、アルル国立高等写真学校卒業。国立人類博物館学芸員を経て現職。「ユカタン半島.デジレ・シャリニーの写真」「カメラ・オブスクラ」「パタゴニアの写真」などの展覧会、また当美術館主催の写真ビエンナーレ「フォト・ケ」のキュレータをつとめる。写真史および写真と民俗学・人類学にかんする論文も多数発表している。現在コロンビアの現代美術をめぐる展覧会を準備中。パリ在住。

問合せ:
美術工芸学科現代美術・写真コース事務担当 西村郁子(075-791-8232)

交通アクセス:
http://www.kyoto-art.ac.jp/info/about/access.html

企画・構成:
小野規(写真家/京都造形芸術大学美術工芸学科教授)

Wednesday 11 July 2012

『海に降る雨』

第3詩集として『海に降る雨 Agend'Ars3』を今年も9月21日に発売します。表紙写真は、これ(このページのヘッダー)。エレメントの戦いがつづきます。ぜひごらんください!

Tuesday 10 July 2012

今日は和泉に行こう、行ける人は

当日になってしまいましたが、お知らせ。オープンしたばかりの明治大学和泉図書館のホールで、午後6時から、画期的なコンサートがあります。

フランスのギタリスト、アンヌ=エリザベト・アルペルンさんと日本の唄者、高瀬智子さんによる、フランスの唄と沖縄の唄の不思議な出会い、Melodies croisees France-Japonです。

フランスといっても、中世の歌もクレオル語の歌もあり。他ではありえない多様なひろがりを体験できるものと思います。

高瀬さんは明治大学農学部のフランス語の先生。フランス演劇の研究者で、タップダンサーでもあります。さて、その歌声は、三線は? 

興味がつきないのですが、ぼくは土曜日の自分の舞台のリハーサルのため行けません。みなさん、ぜひ楽しんできてください。

なおこのホール、12月にはシンポジウムでぼくらも使います。すごくかっこいい空間らしい。図書館ホールでの小さなコンサート、いいですね。他にも何か企画してみます!

Monday 9 July 2012

漁師と中学生と

これが小林勇輝の取り組みです。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20120708-OYT8T00054.htm

Sunday 8 July 2012

中村絵美個展と講評会

博士前期(修士)課程2年・中村絵美の修士制作個展が明日から始まります。そして12日(木)には杉田敦さん(女子美術大学教授)をお迎えしての講評会を行います。16時から、約1時間。外部からの見学も受け付けますので、ぜひいらしてください。

特にディジタルコンテンツ系の受験を考えていらっしゃるみなさん、お気軽にどうぞ!

「中村 絵美 個展」
会場:MUSEE F
東京都渋谷区神宮前4-17-3
アーク・アトリウム B02 (表参道画廊)
7/9(月)--14(土)
12:00--19:00(最終日17:00まで)

おめでとう、小林勇輝くん!

明治理工の卒業生(数学科)の小林勇輝が、読売教育賞優秀賞を受賞しました。


神奈川県大和市立大和中学校教諭。「生活科・総合学習」部門です。ぼくの『斜線の旅』所収のクック諸島への旅に同行したヤツです。これほどうれしいことはありません。もっとも、何が受賞対象になったのかは知らず。おめでとう、ユーキ!


ぼくが明治で教えはじめたのは2000年。かれらはたぶん2001年に1年生か、2002年に2年生の英語を教えたクラス。といっても英語はまるで学ばず、学食での会話から、一緒に西表島に旅行することになりました。教師稼業の楽しさを教えてくれたやつらでした。


これからもがんばれ。こっちも適当にがんばる。

父母会文学賞への応募を!

今年で第4回を迎える明治大学連合父母会文学賞。小説部門が「倉橋由美子文芸賞」で、今年も選者はぼくと陣野俊史さん、そして昨年まで3年務めた高山宏さんに代わって中村和恵さんです。

明治の学生なら誰でも応募資格あり(大学院生、留学生も)。大賞賞金30万円は、学生小説の賞としては破格です。ぜひ応募しよう、夏休みに書こう。

しめきりは10月15日。長さは2万字から4万字まで(この言い方はどうも馴染めないけれど、いまの学生は原稿用紙を使ったことがない)。枚数超過は失格ですから、注意! 

秋に応募作品を読めるのを楽しみにしてます。

Friday 6 July 2012

台湾紀行!

「すばる」8月号、本日発売。「W紀行文 台湾——ことばに耳を澄ませて」と題して、温又柔さんの「音の彼方へ」とぼくの「アリバンバンの島」が同時に発表されました。

この春、ほんとうは一緒に台湾を旅して、ひとつの旅を表ウラから書くはずだったのですが、ぼくが急に同行できなくなったので旅そのものが時間差をもって行なわれました。でも行ったのはおなじ場所、台東、蘭嶼、そして。でも見ているものも視点も嗅覚も文体も、まるで違って。当然ながら。

相当におもしろい試みになったと思います。ぜひ読んでみてください!

Monday 2 July 2012

太平洋の神話世界

7月14日(土)の午後はぜひ明治大学アカデミーコモンのホールにいらしてください。リバティーアカデミーのオープン講座(無料)として、「太平洋の神話世界」を開催します。

第1部として人類学者・後藤明さんのレクチャー。第2部はAyuo & Seashell String Quartetのコンサートです。ポリネシア感覚を楽しめることまちがいなし!

予約は以下からどうぞ。

https://academy.meiji.jp/course/detail/676/

「水牛」7月号

何があってもなくても着々と草を食む水につかるのんびり歩く水牛のように、ウェブマガジン「水牛」今月も更新されました。

ぼくは「時制論」シリーズの6片を。ごらんください。

http://www.suigyu.com/

Sunday 1 July 2012

読売書評 #13

片岡義男さんの短編集『恋愛は小説か』(文藝春秋)。7月1日掲載です。

高校生のころビリー・ザ・キッドを題材にした『友よ、また逢おう』(角川書店、1974年)をグラウンドの片隅で読んで以来の、38年にわたる片岡義男ファンです。片岡さんを知らなければ、ハワイにもニューメキシコやアリゾナにも行かなかったかも。

今回の書評では、片岡さんとある日本の小説家との類似、というよりも並行関係を、指摘しました。たぶんこれまで誰もいってないはず。

さて、それは誰か? 朝刊をぜひ読んでください。

Friday 29 June 2012

中平卓馬『サーキュレーション』


「読書人」2945号。中平卓馬『サーキュレーション 日付、場所、行為』(オシリス)の書評を書きました。同写真展、7月4日から始まります、銀座BLD Galleryにて。1971年のパリを、そのままに体験しよう!

Thursday 28 June 2012

いま、たったいま、

みなさん、きょうの戦慄すべき報道に気づきましたか。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012062790205047.html

こうしているたったいまも、大量の汚染水が流出し、地下水脈から海へと流れています。そして海の汚染はどこまでもとめどなく拡散してゆきます。

そしてみずからの被曝を前提として、つまりは生命を賭して、収束のための作業に従事している人たちがいます。

その一方で、電力会社は何の責任もとらず、何者かの利権を代表するだけの現政権は、テキトーきわまりないやり方で大飯の再稼働を決めました。

これほどばかげた話があるでしょうか。いいかげんにやめろ、なんとかしろ、なんとかしよう、という意志を表すためには、どうすればいいのでしょうか。

Wednesday 27 June 2012

London

Film & Media 2012 という学会のためにロンドンに。会場はロンドン大学。ぼくはWerner Herzog and the Animalというタイトルで発表しました。

ロンドンは11年ぶり。前回は2001年9月11日でした。飛行機が到着後、2時間近くも外に出られず。基調講演をするはずだったアルフォンソ・リンギスも来られず。

11年ぶりのロンドンは新しい建物が増え、あちこち工事中。妙に狭い地下鉄だけは変わらず。

また近いうちに再訪したいものです。

Monday 18 June 2012

大城立裕/山里勝己

以下の講演会があります。沖縄に興味のある人は必見・必聴。ぼくは明治のオープン講座と重なるので、残念ながら行けませんけれど。


立教大学大学院
異文化コミュニケーション研究科主催 公開講演会


環境と文学のあいだ10:〈場所の文化〉をめぐって


2003年度以来、継続している本研究科主催のシリーズ講演会。本年度は、沖縄在住の芥川賞作家 大城立裕 氏と琉球大学教授山里勝己 氏を迎え、沖縄という土地に根ざす〈場所の文化〉の現状と課題について講演していただく。



〈場所の文化〉が奪われた、あるいは奪われつつある という現状認識を起点として、それが沖縄を初めとして日本文化全体を覆う問題であり、とりわけ福島原発周辺地域からの住民の避難は、〈場所の文化〉の喪失という観点からも再認識する必要があることを語っていただく。

日時    2012年7月14日(土)16:30〜18:00
場所    池袋キャンパス 8号館1階 8101教室
講師    



大城 立裕 氏(作家)

【講師略歴】
1925年沖縄県生まれ。1967年、『カクテル・パーティー』で芥川賞を受賞。2002年には『大城立裕全集』全13巻が刊行されている。

山里 勝己 氏(琉球大学法文学部教授)


【講師略歴】
1945年沖縄県生まれ。専門はアメリカ文学・文化。『場所を生きる—ゲーリー・スナイダーの世界』など。著書、論文多数。


対象者    異文化コミュニケーション研究科学生、本学学生、教職員、校友、一般
※申込不要、入場無料
共催    ESD研究所
問合せ先    独立研究科事務室 TEL:03-3985-3321

がんばれ東京新聞!

関西電力大飯原発再稼働に反対します。

今日(17日)もまた、東京新聞の見識が光っています。

「大飯原発再稼働の決定を聞いて福島の人たちはどう思ったでしょう。想像してみてください。突然故郷を喪失させられた人々の政府への不信と怒りの深さを。/私たちも同じように思います。福島の事故で私たちの学んだ多くのことが、一握りの政治家らによってこれほどやすやすと忘れられてしまうのかと。」(名古屋本社論説主幹・深田実「それでも原発に頼らず」より)

積極的再稼働論者は「一握り」、しかもその論拠は妄言ばかり。かれらの意志がやすやすと実現されるとは、いったいどういうことなのでしょうか。社会の何が機能していないのでしょうか。

チェルノブイリと福島をむすんだ歴史的線上から、再稼働に反対します。



読売書評 #12

6月17日掲載。カトリーヌ・ルグラン『少数民族の染織文化図鑑』(福井正子訳、柊風舎)。

思わず見とれる美しいパターンの数々。

クレズマー

クレズマー、それは東欧系ユダヤ音楽。きょうの朝日新聞から。

「大阪大学大学院教授(音楽学)の伊東信宏さん(51)も、クレズマーに触れ、胸が騒いだ一人だ。「子どもの頃になじんだ音楽、たとえば『魔法使いサリー』の旋律のエキゾチックさはクレズマーの響きです」」

そうだったのか!

Tuesday 12 June 2012

「文人ラカン」

「もうラカンは放り出して、フロイトしか読まぬようにしようと決心しかけたこともある。だが、結局わたしは抗しがたい力に惹かれるようにして、謎めいたラカンに戻ってくる。すると突然に、あのディスクールから一条の光が射し、ちょうど飛行機が雲をつらぬいて飛ぶときのように、一片の青空が垣間見える、たったひとつの言い回しが永遠の響きを奏で、ひとつの段落が、ほかの著者だったら二十頁もついやしたであろうほどの豊かな内容を凝縮しているように思われる。狂気、喜び、自由——人間の本質について語るこの声は、深い感動をもたらして、その親しげで快い響きを聞いていると、ちょうど、わたしたちそれぞれの内にあって、ずっと以前から言葉が見出されるのを待っていた思想が、みずから口を開いて語りはじめたかのようだ。そうなると、テクストを読みすすむわたしは、あちこちで、おかしな、楽しい、さわやかな話に行き会うだろう。彼の気取りと見えていたものは、いまや気取りのパロディーとなり、彼の晦渋さはユーモアの効果にほかならぬように見えはじめ、一行ごとに、禅の著作を浸しているのと同じ、あの声なき笑いが聞こえてくる」

モーリス・パンゲ「文人ラカン」(工藤庸子訳)

Sunday 10 June 2012

昨夜のプログラム

昨夜のフォトギャラリー・サイでのプログラムです。なんと当日、開演直前になって、アメリカ在住のヴァイオリニスト金子飛鳥さんがかけつけてくれました。あまりにうれしい驚き。

クラシックからロック、ジャズ、ジプシーとアイリッシュ・フィドル、ジャンルなんてまったく関係ない、伸びやかでソウルフルなワールド・ミュージック対応ヴァイオリン。ジェーン・バーキン世界ツアーのヴァイオリニストとして、今年は東京でもそのすばらしい演奏、ジェーンとの楽しいかけあいを聴かせてくれました。飛鳥さんの響く弦、踊る弓のおかげで、この晩は信じられないくらいの深みを得ることになりました。

第1部(管啓次郎)
谷川俊太郎「ろうそくがともされた」*
岬多可子「白い闇のほうへ」
山崎佳代子「祈りの夜」
管啓次郎『Agend'Ars』より3片
サン=テグジュペリ『星の王子さま』から**
管啓次郎「狼が連れだって走る月」
*avec田内志文
**avec竹内万里子(きつね)、関戸詳子(ちび王子)

第2部(田内志文)
田内志文「ナッパドンとひとみ」

第3部(管啓次郎)
エイミー・ベンダー「癒す人」
エイミー・ベンダー「あらゆるものにまちがったラベルのついた王国」***
***avec関戸詳子(ねこ)、田内志文(医師)

アンコール 金子飛鳥によるヴァイオリン・ソロ

朗読会の全体にわたって金子飛鳥による完全な即興の伴奏が入った。

長さとしてもたぶんちょうどよかったと思います。休憩を2度はさんで、2時間強。ぼくとしては「癒す人」全文朗読を果たせて、いささかの達成感を味わいました。

『星の王子さま』のきつねくんとの出会いと別れの場面は、昨年6月に青山ブックセンター六本木店で小池昌代さん(きつねくん)、安田沙絵さん(ちび王子)とやったものですが、今回はまったくちがう味わいになりました。これからもまた何度でも、新しい顔ぶれでやりたいと思っています。

2時間、30名。この程度の規模がいいみたいです。全国いや全地球各地で企画してくださる方、気軽に声をかけてください!

Saturday 9 June 2012

新潟県知事のコメント

無責任きわまりない首相発言に対する、新潟県知事のコメントに拍手。ごくまっとうな感覚です。


本日、野田総理が、大飯原子力発電所について「安全性を確認した」と表明しました。
  現在、福島原発事故はいまだ収束しておらず、事故の検証も進行中であり、換言すれば、意思決定過程や組織のあり方なども含めた事故原因の特定も行われていません。事故原因が特定されなければ、対策を講じることができないことは自明の理であり、専門家である原子力安全委員会も班目委員長が安全を確認していないことを明言しています。
  このような状況下で専門家でもない総理が安全性を確認できるはずもありません。」


全文は以下から。


http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1339102948125.html

読売書評 #11

川島秀一『津波のまちに生きて』(冨山房インターナショナル)。6月10日掲載。

Wednesday 6 June 2012

1769年6月3日

人類史におけるもっとも知的な人間は誰かと聞かれたなら、ぼくが一票を投じるのはジェイムズ・クック船長! 1769年、彼がタヒチにおもむいたのは金星の太陽面通過を観測するためでした。場所はタヒチ・ヌイ(タヒチ本島)、いま「金星岬」(ラ・ポワント・ヴェニュス)と呼ばれている地点です。

きょうは金星の通過を見られなくて残念。でも報道された画像で、十分その驚異を想像することができました。

Tuesday 5 June 2012

新領域創造特論のゲスト


新領域創造特論(2012年度前期)
ゲストのお知らせ
「新領域創造特論」(水曜3限)、6月後半の2回は管啓次郎担当「言語、メディア、<世界>の変容」です。それぞれ以下のゲストをお招きし、最前線の現場からのお話をうかがいます。あまりにも得難い機会です! けっして逃すことのないよう、いまからカレンダーに書き込んでおいてください。

6月20日(水)
佐藤文則さん(フォトジャーナリスト)
ハイチの大震災、そして東日本大震災。二つの経験を比較することは、はたして可能なのか? それは現代世界について何を教えるのか? 明治大学の先輩でもある現代日本の代表的フォトジャーナリストが、それぞれの現場での経験を基にして、われわれが知るべきこと、考えるべき問いへのヒントをしめしてくれます。
 主な著書に『ダンシング・ヴードゥー ハイチを彩る精霊たち』『慟哭のハイチ 現代史と庶民の生活』(凱風社)、写真集『ハイチ 圧制を生き抜く人々』(岩波書店)。共著にJVJA写真集『3・11メルトダウン 大津波と核汚染の現場から』(凱風社)。

6月27日(水)
綾女欣伸さん(編集者)
あるまとまった知識の流通形態としてもっとも洗練されたものが、印刷術発明以後の<書物>であることは疑えません。ディジタルメディアの時代になっても、流通にむけた知識の整理と、新たな結合による創造は、書物のモードを模倣しています。鍵をにぎるのは<編集>。現代文化創造の現場で活躍する若き編集者が、編集という仕事の本質を惜しみなく語ってくれます。
 最近のお仕事に、新シリーズ「アイデアインク」として津田大介『情報の呼吸法』、グリーンズ編『ソーシャルデザイン———社会をつくるグッドアイデア集』など。フランシスコ・サンチェス+ナターシャ・ブストス『チェルノブイリ 家族の帰る場所』(いずれも朝日出版社)。

受講者以外の聴講を許可します。当日、開始前に声をかけてください。
ただし遅刻は厳禁!                        (担当=管啓次郎)

Sunday 3 June 2012

読売書評 #10

西江雅之『異郷』(美術出版社)。6月3日掲載です。

Saturday 2 June 2012

東北ツアーまとめ

東北ツアーのまとめです。

 明治大学理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系・管啓次郎研究室では、小説家・古川日出男、音楽家・小島ケイタニーラブとの共同プロジェクトとして、オリジナル朗読劇『銀河鉄道の夜』の東北公演ツアーを実施した。


 これは昨年12月24日にサラヴァ東京で初演され、本年3月11日にRainy Day Books & Cafeで再演された舞台をさらに進化させたもので、第4の出演者として翻訳家・東京大学教授の柴田元幸を迎えている。仙台では、さらにゲストとして批評家・早稲田大学教授の小沼純一も朗読に参加した。

 今回のツアーは明治大学震災復興支援センターの協賛を得、また大船渡市、岩手県教育委員会、仙台市、IBC岩手放送の後援、さらに株式会社朝日出版社、株式会社勁草書房、左右社、認定NPO法人・国境なき子どもたちの協力を得て実現した。以下、関連企画の実施履歴と、関連報道記録を記す。


5月16日(水)
シンポジウムと朗読「<東北>と声」(明治大学リバティータワーにて)。参加=野崎歓(東京大学教授)、柴田元幸(東京大学教授)、古川日出男(小説家)。司会=管啓次郎。震災後の状況における文学の位置と役割をめぐって、本質的議論が交わされた。

 「図書新聞」3064号(2012年6月2日)に編集部による詳細な報告が掲載された。

5月18日(金)
大船渡中学仮設住宅訪問朗読会。仮設に住むみなさんを対象として、古川・管・小島・柴田による朗読会を開催。約30名が参加し、好評を得た。

 「岩手日報」5月19日朝刊に記事。

5月19日(土)
大船渡リアスホール・マルチスペースにて公演。観客約130名。

 NHK盛岡にて当日夜のローカル・ニュースで大きく取り上げられる。

5月20日(日)
せんだいメディアテーク・スタジオシアターにて公演。観客73名。

5月21日(月)
福島市音楽堂小ホールにて公演。観客30名。

 「福島民報」5月22日朝刊に記事。5月30日朝刊にも長いインタビュー記事(古川を中心に)。

また全体を通じては、ツアーに同行した待田晋哉記者による渾身の記事が「読売新聞」5月29日朝刊に掲載された。



見にきていただいたみなさん、それぞれの土地でお世話になったみなさん、ほんとうにありがとうございました!

大阪で会いましょう、またもや、来週!

フォトギャラリーサイの赤阪さんのお誘いで、来週、また大阪に行きます! 気持ちのいいスペースで、とことん聴いてください。ぜひいらしてください。

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管 啓次郎 朗読会 @ photo gallery Sai

日 時: 2012年6月8日(金)18:30 開場 19:00 開演
参加費:1000円(ワンドリンク付)
出 演:管 啓次郎(ひょっとしたらゲストも?)

<申し込み方法>
メール  info@photo-sai.com 
電話   090-6325-8896(赤阪) までお願いします。

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管さんの淡々とした「語り」は聞くものをあっさりと独自の世界へと引きずり込んでしまう。
言葉の枠はやがて融解し音質の世界へとトランスさせてくれるような朗読会。

闇、炎、銀河の夜。

管啓次郎・朗読会にぜひお越しください。
皆さまのご参加をお待ちしております。

赤阪友昭

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フォトギャラリー・サイ
〒553-0002
大阪市福島区鷺洲2丁目7−19
TEL&FAX / 06-6452-0479
info@photo-sai.com
http://photo-sai.com

JR大阪環状線「福島」下車より
徒歩10分
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Friday 1 June 2012

「水牛のように」6月号

八巻美恵さんのウェブジン「水牛のように」、更新されました。

http://www.suigyu.com/sg1206.html

ぼくは先月につづいて「時制論」6片を発表しています。読んでみてくださいね!

おめでとう、新井健人くん!

ぼくの研究室関係のイベントにしばしば手伝いに来てくれる新井ケントは明治大学の4年生、建築学科。なぜかインドネシアに興味をもち、このたびインドネシア政府給費留学生にみごと選ばれました。

http://www.meiji.ac.jp/sst/information/2012/6t5h7p00000c6x8p.html

おめでとう! とにかく思いきり勉強してインドネシア語を身につけてくれ! 言葉を知らなければ、結局観光客のレベル。これからは潜水だ、土地に、社会に。

Monday 28 May 2012

忘れていたこと

そのシンポジウムの質問時間、山本洋平さんが「どんな交通機関を使うかによってアメリカの移動・旅の経験も意識もまったくちがうものになるのではないか」という質問をくれました。

現在、われわれのほとんどは、航空機と車によって北米大陸を経験します。しかも車の移動といっても、インターステイト中心の走行と、田舎の未舗装の道を走るのでは、まったくちがった経験になります。自分で運転する車と、グレイハウンドのバスとでは、おなじ道も別の道。

歩くための土地としての北アメリカはすばらしいけれど、あまりに広大すぎてわれわれはどこにもたどりつけないでしょう。

それはともかく。乗り物という観点からして、過去100年ほどのあいだに世界中でもっとも失われてしまったものは何かと帰り道で考えていて、ふと思いつきました。それはロバ!

かつては世界中で山道を歩き、人を乗せ、荷物を運んでいたこの愛らしい動物が、いわゆる先進国では、どこにいってもほとんど姿を見ることができなくなりました。アメリカ合衆国にそれほどロバが根づいていたかどうかはわかりませんけれど(ロバよりはラバか)、メキシコでは人々の想像力の中にまだまだロバは根強く残っているし、それはそれだけ実際に飼われていたということ。

ごく狭い土地でも飼えるという、この馬と犬の中間に位置するような動物を、いつか自分で飼ってみたい、車代わりに!

ちょっと失敗!

日曜日、英文学会。専修大学生田キャンパスにて。ぼくは山里勝己さんのお誘いで、シンポジウム「旅と移動のアメリカ文学」に参加しました。

ところが、小倉いずみさん、竹内勝徳さん、笹田直人さんの重厚できわめて刺激的な発表のあと、ぼくの話はどうにも失敗でした。折角用意したハンドアウトから離れてしまい、無用の脱線ののち道も港も見失って、どこにも帰ってくることができませんでした。

扱うつもりだったのは、エル・パソ出身のチカーノ詩人、レイ・ゴンサレスの自伝。ところがまるで無関係な話から始めたせいで、要点の半分もふれられませんでした。反省しています。

思ったのは、鉄則として、最大でも20人程度で小さな部屋でやるときには、その場の反応に合わせながら<語り>で作ってゆくのがいい。しかし数十名規模で大きな教室でやるときには、やはり完成原稿を読み上げるスタイルにしないと、自分が迷子になってしまう。

今後の課題です。ちなみに発表タイトルは「沙漠、石、ロザリオ レイ・ゴンサレスの自伝と詩」でした。


5月21日、福島

東北ツアーの最終日は21日(月)の福島でした。福島市音楽堂小ホール。そしてこれまでのすべての回を凌駕するといっていい、炎の舞台となりました。

福島県でも郡山出身の古川日出男さんが、郡山弁で福島市のみなさんに語りかける。そのときの熱は、そばで聞いているぼくらが火傷を心配するほど。柴田元幸さんのユーモラスな鳥獲りもすっかり板につき、笑いを誘っていました。

東京からわざわざ見に来てくれた人も数人。終了後は、地元福島の詩人、和合亮一さんを交えての座談会に。今後の活動を話し合う、得難い機会でした。

次は秋。岩手県住田町を除いては、まだ本決まりのところはありません。でも傷つけられた土地をはじめとする、それぞれの場所で、それぞれに多様な観客のみなさんに見ていただき、情感の或る部分を交換するという方針は変わりません。

またどこかで会いましょう。柴田さんも都合がつくかぎり、今後も参加してくださるはずです。秋にはメキシコ公演を実現したいと思っています。

Saturday 26 May 2012

タブッキ追悼朗読会報告

金曜日の夜、荻窪の六次元で。田口ランディさんが報告を書いてくださいました。イタリア語とポルトガル語の響きも混じり、ふんわりと楽しいひとときでした!

http://runday.exblog.jp/

Friday 25 May 2012

アントニオ・タブッキ追悼朗読会

明日、25日(金)。以下のイベントに参加します。田口ランディさんも!

http://tabucchi2012.hatenablog.com/

お近くの方は、ぜひどうぞ。

なお、『銀河鉄道の夜』東北ツアーの報告は、近いうちに。

Monday 21 May 2012

大船渡の夜に

18日(金)夜の大船渡の永沢仮設住宅での出張朗読会のようすです。

http://www.iwate-np.co.jp/hisaichi/y2012/m05/h1205201.html

いつかまた再訪したいと思います!

せんだい終了

昨日(土曜日)の大船渡リアスホールにつづいて、今日(日曜日)は青葉祭りの仙台、せんだいメディアテークで公演を行いました。

今回のツアーの第4の男である柴田元幸さんに加えて、きょう一日の参加者として音楽批評の小沼純一さん登場。一日ごとにスタイルを変えてゆくこのフォーク・オペラ(?)に、いちだんとひねりを加えてくれました。

明日は福島。明日も別のかたちでやります!

読売書評 #9

5月20日掲載。リービ英雄『大陸へ』(岩波書店)。

中国および祖国アメリカというふたつの大陸国家への旅をくりかえし、その旅を日本語で書く著者の新しい紀行文集。絶対に他の誰も試みたことすらないかたちで、深く新鮮な省察を書きつけてゆく。偉大な本です。

Saturday 19 May 2012

本日初日です!

 明治大学新領域創造専攻・管啓次郎研究室では、小説家・古川日出男および音楽家・小島ケイタニーラブとの共同プロジェクトとして、宮澤賢治原作による朗読劇『銀河鉄道の夜』を以下の日程で上演します。

  5月19日(土)14:00開演 大船渡リアスホール・マルチスペース 
  5月20日(日)18:00開演 せんだいメディアテーク 
  5月21日(月)18:00開演 福島市音楽堂小ホール

 いずれも上演時間は第1部(宮澤賢治作品を中心とする朗読)、第2部(『銀河鉄道の夜』)を合わせて約2時間。

 大船渡は入場無料、仙台は入場料1000円、福島は入場料1000円(18歳以下500円)です。ツアーの全体が、東北被災地に対するチャリティー企画として構想されています。

出演 古川日出男(脚本も)、小島ケイタニーラブ(音楽も)、管啓次郎(劇中詩も)
特別ゲスト 柴田元幸(翻訳家、東京大学教授)=大船渡、仙台、福島
        小沼純一(批評家、早稲田大学教授)=仙台
主催 明治大学理工学研究科新領域創造専攻・管啓次郎研究室
協賛 明治大学震災復興支援センター
後援 大船渡市、岩手県教育委員会、仙台市、IBC岩手放送
協力 株式会社朝日出版社、株式会社勁草書房、左右社、認定NPO法人国境なき子どもたち

 公演情報・チケット予約などの詳細は、以下の専用サイトの「運営・問い合わせ」からどうぞ。

  http://milkyway-railway.tumblr.com/

Friday 18 May 2012

大船渡から

いよいよ朗読劇『銀河鉄道の夜』東北ツアーに出ました。今日は陸前高田の、取り壊しが決まっている体育館を見て、しばし呆然。沈黙。黙祷。それから大船渡へ。

夜は大船渡の仮設住宅集会所での出張朗読会、それから宿に戻って明日の台本の読み合わせをしました。

今回のツアーでは、古川・小島・管に加えて、第4の男として、柴田元幸さんが「翻訳家」「鳥を捕る人」の二役で登場します! もちろん台本も演出も大幅に変更。こうして芝居自体が成長を続けます。

東京をはじめ遠方から観にきてくださる方もかなりいます。この土・日・月、ぜひいらしてください。

Monday 14 May 2012

読売書評 #8

5月13日掲載。須賀丈・岡本透・丑丸敦史『草地と日本人』(築地書館)の小評。

この100年の日本に起きた最大の喪失、それは草地の喪失。ほとんどすべての人が忘れていることです。衝撃を受けました。

中之島にて

国立国際美術館でのシンポジウム「写真の誘惑 視線の行方」終了しました。土、日の2日間、4つのセッション。いずれも大変に充実した内容で、楽しめました。

ぼくは最後の総合討議に参加。加治屋健司さん、佐藤守弘さんと。司会進行は竹内万里子さん。写真をめぐる議論は写真そのものの多様性に見合ってあらゆる方向にひろがっていきますが、ある種の熱を最後まで維持して、しめくくることができたように思います。

ぼくは新しいシリーズ「時制論」から16行詩3つを朗読。

大阪は最高。特に中之島、堂島から福島のあたり、ほんとうにいい街です。その福島には、また近いうちに戻ってくるかも。写真との関係は近づいたり離れたりですが、これからもっと真剣にとりくみたいと思っています。

Thursday 10 May 2012

明治大学大学院研究科合同進学相談会

5月12日(土)、13:00〜16:00、お茶の水の明治大学アカデミーコモン2階会議室にて。進学を考えているみなさん、ぜひどうぞ!

あいにくぼくはいませんけれど、「理工学研究科新領域創造専攻」の者が必ず誰かいます。気軽に相談してみてください。

よろしく!

Monday 7 May 2012

サンドラ・シスネロスの詩


「東京からす、ばんざい」
サンドラ・シスネロス(訳=管啓次郎)

ばんざい、ギャングからすたち
ようが、よよぎの
しんじゅく、しぶやの
あかさか、なかおかちまちの
たつみ、たかだのばばの
せんだぎ、あけぼのばしの

ばんざい、ギャングからすたち
一羽で、集団で、
ゴミ袋を花嫁のヴェールみたいにふわり
譲れない合言葉は
なんだってあり、さ


12年4月15日、東京
12年4月19日、テクサス州サン・アントニオ

©2012 by Sandra Cisneros, translation © 2012 by Keijiro Suga, all rights reserved

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先月、東京でサンドラ・シスネロスに会うことができました。現代チカーナの代表的作家、この25年ぼくが愛しつづけてきた小説家です。サンドラは東京のカラスを題材にした詩を、われわれに贈ってくれました。おなじ詩の翻訳競作を、サンドラの2冊の本の日本語訳者であるくぼたのぞみさんと試みたのが、これ。

くぼたさんの訳詩は、以下にあります。楽しい! 原文もそちらからどうぞ!


http://esperanzasroom.blogspot.jp/