石田瑞穂さんが主宰する詩のサイト Crossing Lines に作品を掲載していただきました。「台東/屏東ラプソディ」、日英バイリンガルです。3月の台湾南部の旅が生んだ詩。読んでみてください。
Mon pays natal
On life as a whole and the four elements
Wednesday, 26 August 2026
朝日新聞「うたをつないで」まとめ
朝日新聞の夕刊に毎月1回、大岡信賞の選者5名によるリレー・エッセーが掲載されています。題して「うたをつないで」。詩と歌の連続体に誰よりもひろく感応しつづけた大岡信さんの想像力に敬意を表しつつ。
これまでにぼくが書いた回をまとめておきます。タイトルは編集部によるもの。
2023.09.06. 「避けられない、時空への旅」
2024.02.07. 「片隅の命思う、一茶の視線」
2024.08.07. 「蔵王の山、茂吉のけだもの」
2025.01.08. 「生活と続く詩=歌、ぼくらにも」
2025.07.02.「私を超えた生命の救済」
2025.12.03 「音を、声を、踊りを、土地に返す」
2026.06.03. 「ブナ林で地衣類に学ぶ」
各回とも、やはり選考委員のひとりであるやなぎみわさんが、すばらしい挿絵をつけてくださいます。検索で読める文も多いので、ぜひごらんください。
Tuesday, 25 August 2026
隣町珈琲での環境人文学イベント(2026.7.10)
中延の名店・隣町珈琲で、結城正美さん(青山学院大学=環境文学)、奥野克巳さん(立教大学=人類学)とぼく(明治大学=比較詩学)の鼎談イベントを開催しました。題して「環境人文学をヒントに考える<人間>とは何か?」。結城さんが編集された画期的な論集『モア・ザン・ヒューマンの物語 環境人文学10のシークエンス』(ミネルヴァ書房、2025年)の関連イベントです。
同書の冒頭にあるのが2023年12月22日に青山学院で行った、この三人の鼎談記録「環境人文学の冒険」で、今回はいわばその続編。2024年度に開設した青学〜立教〜明治の3大学院による「環境人文学共同プログラム」(3つの大学院で授業をとり、修士課程修了時にはプログラム修了の証書がもらえる)の初の修了生が2026年3月に修士号を取得したこともあり、この分野をさらに育ててゆくにはどうすればいいかの意見交換会でもありました。
多くのお客さまに来ていただき、またオンラインでもいくつもの質問をいただき、よい議論ができたと思います。特に、オンラインできわめて的確に問題点を整理してくださった本橋哲也さん(イギリス演劇)、ありがとうございました!
人文系諸分野を統合しつつ、地球における生命のあり方、ヒト社会の生き方を考えるこの分野。その重要性はこれからいっそう明らかになっていくでしょうし、それは大学の制度そのものに見直しを迫るものになるかもしれません。ぜひ注目をおねがいします。
「みんなの夏」(2026年7月12日)
ワークショップ参加者のみなさんが書いた3行詩の中から、ぼくが「これは使える」と思ったイメージを勝手に選び、それを変形させ、並べ替えた20行の作品です。読んでみてください。
********
みんなの夏 2026年7月12日の思い出
頭の中でラジオ体操をしながら階段のスロープを降りていった
そうめんのおつゆが足りないので赤玉ポートワインで食べる
停電中のキューバのホテルで朝顔がぐんぐん育った
おばあちゃんの家で川祭りをしていると必ず獺が集まってくる
プロペラ機のエンジン音が雨上がりのアスファルトに映った
庭の土を掘ってゆくうち子供時代の自分に出会うのがうれしい
ひとりひとりの頭の上で青空が平等に切り取られた
山を走る、心拍数が上がる、呼吸が上がる、胸がいっぱいになる
泳げないぼくのプールにカブトムシがしずかに着水した
誰もいない夜の温泉では桃が魂のように浮かんでいる
庭仕事でかいた汗が蟻にとっての試練の濁流となった
カセットテープを長崎で落とし広島でそれを拾う
雲の観察日記はいつも一日で消えてふりだしに戻った
なまあたたかさの経験が夏の本質ならそれはそれで過ごしやすい
塾という苦しみを逃れるためときどき水たまりでわざと転んだ
ヘッドライトというが道を照らすのかな頭の中を照らすのかな
「ゆかたのきみはすすきのかんざし」とは夢と悪夢の中間だった
カラフルな貝によろこんだが身がすべてプラスティックでできている
冷たい湖の水で泳ぐと体がどんどん青く染まった
入道雲がわくわくと育ち夕立がにぎやかに心を洗ってくれる
[ワークショップ参加者のみなさんの3行詩から出発して管啓次郎が書きました]
Storytellers' Summer Camp
7月12日(日)、明治大学アカデミーコモンにて Storytellers' Summer Campと題する創作ワークショップを開催しました。総合芸術系の教員3名、受講者は一般募集した10名のみなさん(中学生から60代まで)です。最初にイントロとして同僚の山本洋平さん(アメリカ文学)がみなさんにstoryとhistoryのちがいを考えてもらうという、頭の体操。ついでやはり同僚でコミックアーティストの原瑠美さんの指導のもと、全員が4コマで自己紹介のためのコミック作成。それからぼくが引き継ぎ、3人ずつのグループに分かれての話し合いと詩の創作。休憩のあと、いよいよ各自の作品制作へ。ひとりの人は漫画(原さん考案の「コミ句」という3コマ漫画)、他のみなさんはフィクションなのかノンフィクションなのかわからない散文作品を書き、最後は全員の発表会でした。
大変に楽しく実りの多い午後になりました。この公開ワークショップ、10月に開催される大学院生の国際ワークショップ ImaginAsia 2026 のためのファンドレイザー(資金集め)イベントでもあります。今回、みなさまからいただいた参加費は、すべてそのまま秋のための資金にくりこまれます。
また企画します。そのときはぜひ参加してください!
「文藝別冊 宮沢賢治」
賢治さんの生誕130年を記念した「文藝」の別冊が発売されました。もともと2013年に出たものに、エッセイストの笠間直穂子さんらの新原稿5本を加えた「増補版」です。2013年の元の版に際して古川日出男さんとぼくが行った対談も、そのまま残っています。12年ぶりに読み直して、ああ、あのころはこういうことを考えていたのか、と忘れていたことをいろいろ思い出しました。われわれの対談はいうまでもなく朗読劇「銀河鉄道の夜」をめぐるものですが、同時に、当時の空気もたしかに記録されているというか。興味があったらぜひ読んでみてください。
「顕微望遠 土地と記憶II」
うちの研究室の修了生・中野行準くんが編集するZINE「顕微望遠」の2号が出ました。特集(?)タイトルは「土地の記憶 II」。ぼくは「弥勒の夏」という詩を寄稿しました。中野くんは台湾・新竹在住。寄稿者は作家の林真、写真家の顧夢、キュレーターの金秋雨、パフォーマーの田辺裕子といったみなさんで、大変に読み応えがあります。読みたい人は研究室に寄ってくれれば進呈します!