Sunday 28 May 2023

「現代詩手帖」2023年6月号

 「現代詩手帖」6月号に四元康祐『ダンテ、李白に会う』(思潮社)の書評を書きました。楽しく通読できる訳詩集。こういうのを自分でもやってみたくなります。

この6月号、「詩と小説」をめぐる充実した特集号ですが、特集の外では冒頭に置かれた作品、新井高子「蟬音」に打たれました。平田俊子さんの連載詩も、いつもながらのおもしろさ。

Tuesday 16 May 2023

『一週間、その他の小さな旅』

 新聞のために詩を書くのはいい経験だった。それも元旦のための詩を。どうせ書くなら「福島民報」の読者の誰にとっても、楽しく読めて、ちょっと気分が改まる、そんな詩が書けるなら。二〇一八年から五年間にわたってぼくは「福島県文学賞」詩部門の選者を務め、それに付随する仕事のひとつがこの新年のための作品なのだった。本書の冒頭の「一週間」、中ほどにある「犬と詩は」、巻末の「こころ」は、こうして生まれた。

(『一週間、その他の小さな旅』「あとがき」より)
6月16日刊行の3冊めは詩集『一週間、その他の小さな旅』(コトニ社)です。犬詩、猫詩もたっぷり。楽しく読めて、確実に気分が変わる。
コトニ社からの2冊は、いずれも表紙に惣田紗希さんのイラストを配し、まるで姉妹のような外観。見れば揃えて買いたくなります。ぜひ!

『本と貝殻』

 書評という行為が何に似ているかといったら、それは生け花だと思う。本という素材の一部を切り取り、それを新しいアレンジメントに投げこむ。組み合わされ配置された花たち(=引用文たち)は、もともともっていた生命の連関の名残により、新たにつむがれた文の中でも新しく輝く。書評執筆者は一種の花道家として、さあ、見てください、といえるかたちと色合いを、限られた字数のうちに実現しようとする。そこには意味も過剰なくらいに入っているのだが、どれだけ伝わるかはわからない。最低限つたわるといいと思えるのは、論じられる元の本それ自体が、この世界に対して与えようとしていた振動。個々の本の意志、そのafterglow。(『本と貝殻』「あとがき」より)

6月16日刊行の2冊めは書評集『本と貝殻』(コトニ社)。よろしく!

『エレメンタル』

 一冊の本とは死者たちの森だ。魂の痕跡が並び、さまざまな不在の声が響く。あらゆる文章には死者たちとの対話という側面があるが、それは実在する相手が生きていてもおなじであらゆる文章において人はすでに少し死に、そのぶん、より大きな生を手にしている。たとえその文章の書き手が自分だったとしても、過去の自分はそれほど自分ではない。

(『エレメンタル』「あとがき」より)
 6月16日、3冊の本を同時に刊行します。そのひとつが『エレメンタル』(左右社)。ぼくの過去の本のうち、もう古本以外では入手できなくなっている『トロピカル・ゴシップ』(青土社 1998)『コヨーテ読書』(青土社2003)『オムニフォン』(岩波書店2005)からの選集です。末尾に単行本未収録の文章が3本。
 書影が出たらまたちゃんと紹介しますが、お楽しみに!

Monday 1 May 2023

「水牛のように」5月号

 「図書館詩集」7を寄稿しました。今回は函館市立中央図書館から。

https://suigyu.com/2023/05