一冊の本とは死者たちの森だ。魂の痕跡が並び、さまざまな不在の声が響く。あらゆる文章には死者たちとの対話という側面があるが、それは実在する相手が生きていてもおなじであらゆる文章において人はすでに少し死に、そのぶん、より大きな生を手にしている。たとえその文章の書き手が自分だったとしても、過去の自分はそれほど自分ではない。
(『エレメンタル』「あとがき」より)
6月16日、3冊の本を同時に刊行します。そのひとつが『エレメンタル』(左右社)。ぼくの過去の本のうち、もう古本以外では入手できなくなっている『トロピカル・ゴシップ』(青土社 1998)『コヨーテ読書』(青土社2003)『オムニフォン』(岩波書店2005)からの選集です。末尾に単行本未収録の文章が3本。
書影が出たらまたちゃんと紹介しますが、お楽しみに!