Saturday 27 October 2012

読売書評 #21

栩木伸明『アイルランド紀行』(中公新書)。10月28日掲載です。思いきりアイルランドに行きたくなった。

Friday 26 October 2012

電子メールでは

電子メールでの通信について、思ったこと3点。

1)最近、ある雑誌の「編集委員会」と何度かやりとりをしたのだが、いつも「編集委員会」とあるだけで個人名がない。それが失礼だという感覚がないのかな。ぼくの感覚では「はなはだ失礼」の部類に入るが、いかが?

2)同様に、会社や組織の用事でメールをくれるとき、姓しか記さない人がいる。名前を書いて、たとえば性別がわかるのがいやなのかもしれない。しかしこれも、仕事をするならそれくらい引き受けて当然ではないのか。自分の仕事でしょ。

3)これは友人・知人にもときどきいるけど、あえていわせてください。メールの件名に「〜です」と自分の名前を書いてくるのはまったく無意味だと思うけれど、いかが? ちゃんとほんとの用件を書いてほしい。

というわけで学生たちには「必ずフルネームを記せ」「必ず件名を記せ」といってます。うるさい? だがそうしたほうがいいよ。ほんとだよ。

24日の詩

「詩の発生と現在」、24日に学生たちが持ち寄っていたのは以下の3編です。

 北園克衛 「朝」(あわせて「舗道」「レセプシオン」も)
 黒田三郎「もはやそれ以上」
 ランボー(中原中也訳)「わが放浪」

いずれもいい議論になりました! 来週は三角みづ紀さんがゲストです。

11月10日(土)レイニーデイで

秋の夜長を、ろうそくの炎のもとでの朗読会で。ぜひいらしてください。3人の女性詩人のソウルがしずかに炸裂します!

http://www.switch-pub.co.jp/rainyday/299121300.php


Monday 22 October 2012

日本比較文学会シンポジウム

昨日、日曜日、快晴。桜上水の日本大学文理学部にて、日本比較文学会関東支部の50周年記念大会が開催されました。午後は池澤夏樹さんの講演につづいてシンポジウム。野谷文昭さんを司会として、ラテン・アメリカ文学と翻訳文学全般を広く論じる機会になりました。

英米文学から鴻巣友季子さん、フランス文学から工藤庸子さん、そしてイスパノ・アメリカ文学から花方寿行さんが発表。ぼくはディスカッサントとして参加しました。

鴻巣さんが提起した「重訳」の問題の本質的重要性、工藤さんによるナショナルな文学という問題圏、花方さんによるスペイン語圏の出版事情とロベルト・ボラーニョへの導入。いずれも多彩で軽みのある、非常にいい発表でした(さすが!)。

ぼくはそれを受けていくつか思いつくままに語ったのですが、最終的な問いは「翻訳文学を読むことは何の役に立つのか」ということ。それぞれから的を射たお答えをいただき、聴衆のみなさんにも大いに刺激になったはず。

そしてあらゆる対話はその場で終わるのではありません。これからも断続的に、みなさんとの意見交換を続けていこうと思います。

お越しいただいたみなさん、ありがとうございました!



Saturday 20 October 2012

読売書評 #20

川上未映子『水瓶』(青土社)、10月21日掲載。すばらしい傑作短編集! ジャメイカ・キンケイド『川底に』やエイミー・ベンダー『燃えるスカートの少女』の世界と隣り合っています。

Friday 19 October 2012

先週の詩、今日の詩

東大文学部での授業「詩の発生と現在」がおもしろい。毎回、3篇の詩を読んで議論することから始めるのだが、かなりいい手応えがある。議論もどんどん活発になって。いいぞ、みんな!

10日に読んだ詩は
 安西冬衛「軍艦茉莉」
 Mark Strand "Keeping Things Whole"
  谷川俊太郎「幼稚園の天使」

17日に読んだ詩は
 ヴィスワヴァ・シンボルスカ「感謝」
 短歌3首(村嶋和樹、穂村弘、栗木京子)
 伊藤比呂美「雪」

これからも何が飛び出すかわからなくて楽しみです。

Thursday 18 October 2012

田中功起プロジェクト

来年のヴェネツィア・ビエンナーレの日本代表作家は、田中功起さん。彼がロスアンジェルスに移る前(2008年だったかな?)われわれディジタルコンテンツ系でレクチャーをお願いしたこともありました。

その田中さんのヴェネツィア用プロジェクトのひとつに、ぼくも参加。5人の詩人の共同制作プロセスの全体がヴィデオに収録され、これから映像作品へと制作されていきます。

月曜日の共同制作に参加したのは、三角みづ紀さん、柏木麻里さん、斉藤倫さん、橘上さん、そしてぼく。作業の一部として、5人で1行ずつ書き進んだ作品を以下に。

なんとも不思議な、楽しい経験でした! 来年はヴェネツィアへ行くぞ。

*****

水を飲んだ、別に水だから飲んだわけじゃないけど
なんてちょっといいすぎたかもしれないな
わたしたちは円になっているだけで
惑星同士のような引力にとらわれてしまう
砂と水を見分けろ。
砂がわたしにそう言ったわけじゃないけど
あきらかな感覚です。
たとえば、窓のむこうだよ
けんけんぱであんなとこまで行けるんだ
四谷四丁目東と月面が近接する
1987年12月19日にやったけんけんぱと月面が近接する
月に氷はないのになぜあんなに輝くの
垂直な月光が私を立たせる
そのあしのうらにかくれていた半分のもの
残欠と残欠が教えてくれる瞬間
月光という出来事
引かれあうのではない引力をさがして円になる動物
獣としての私は水を飲み砂に眠る
この夜。
獣にだって影はあるよ。夜にだって影は出る
夜の水と影の光に裏切られては
四谷四丁目東と月面が近接する
この夜。
砂漠を流れる水と中庭の噴水から噴き出す砂
水に許される日まで水を飲み続けよう。



キルメン・ウリベと

バスクの小説家キルメン・ウリベさんの来日に合わせて、セルバンテス文化センターで対談をします。11月7日(水)19時から。

予約が必要です。以下のサイトから申し込んでください!

http://tokio.cervantes.es/FichasCultura/Ficha84813_67_25.htm

Sunday 14 October 2012

『やし酒飲み』!

エイモス・チュツオーラの傑作『やし酒飲み』が岩波文庫に収録されました。ぼくはチュツオーラのエッセー「私の人生と活動」の翻訳で参加しています。

多和田葉子さんの解説「異質な言語の面白さ」も楽しい。お勧めしていいでしょうか?

「北と南」3号

河内卓編集の「北と南」3号が出ました! ぼくは「川について」と題して詩を6片寄稿。河内くんとジャン・ルノワールの傑作『河』を見て祝いました。

ジョージア州在住の原瑠美のマンガも異様な傑作です!(特に「チビ」)

読売書評 #19

スーザン・ソンタグ『サラエボで、ゴドーを待ちながら』(富山太佳夫訳、みすず書房』。10月14日掲載です。

いい本、いい翻訳なのですが、Tucsonを「タクソン」とは? こういうことは編集者が少しだけ気をつければ。

Saturday 6 October 2012

読売書評 #18

平田剛士『名前で読み解く 日本いきもの小百科』(平凡社新書)。

10月7日掲載です!

Thursday 4 October 2012

「毎日新聞」夕刊10月4日

きょうの「毎日新聞」夕刊の記事「ことばの周辺・10月」で、ぼくの詩集『海に降る雨』が城戸朱理さんの『漂流物』と並べて論じられています。大井浩一記者。まっすぐに核心をつかみとってくれる読者の存在は、ほんとうにうれしいものです。これをもって、次の1片に進みます!

「考える人」2012年秋号

雑誌「考える人」の新しい号は特集「歩く 自足4kmの思考」。ぼくはエッセー「歩くことを作り出すために」を寄稿しています。津田直さんの写真つき! 津田さん、ありがとう。

かっこいい表紙写真はハミッシュ・フルトンのプロジェクトWalk 2です。

Wednesday 3 October 2012

今日の授業で読んだ詩

谷川俊太郎「ろうそくがともされた」
新井高子「片方の靴」
萩原朔太郎「野鼠」
西脇順三郎「冬の日」

「詩の発生と現在」

東大文学部での授業「比較文学概論」はじまりました。以下が概要。詩の本質に迫る授業になることは確実です! 


東京大学文学部言語文化学科現代文芸論専修
「詩の発生と現在」(冬学期・水曜4限)
管 啓次郎 明治大学理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系
214-8571 川崎市多摩区東三田1−1−1 明治大学理工学部 044-934-7275

目標=詩を探してくること。探しあてたとき、それはすでに詩として体験されている。そのときには、詩とは何かについての自分なりの了解が生じている。それを、さまざまな詩との出会いをくりかえしつつ、さらに考えてゆく。

教科書=シラバス段階では指定していなかったがオクタビオ・パス『弓と竪琴』(牛島信明訳、岩波文庫)を教科書に指定する。それ以外の参考書は随時紹介したり、されたり。

朗読=現代の詩は文字の体験と音声の体験が乖離している。それには理由があり、一概に悪いとは思わない。ただし音声レベルでの体験の強さと共有可能性を、ここでは重視することになると思う。

授業構成=授業は参加型。毎回必ず発言してほしい。かぎりなくリラックスした場なので、思ったことは自由に。
1 朗読の時間。毎回3篇ほどの詩を朗読し、作品の実践批評をみんなで試みる。毎回、持ち回りの作品選定と朗読。
2 『弓と竪琴』を読む。毎回の指定範囲に現われる問いを自由に議論する。毎回、ディスカッサント3名を指定。
3  詩の周辺で。ぼくが最近考えていることを生の状態で話す。話題はどう展開するかわからない。
4 思考の種子。各自の関心にしたがって、そのとき考えていることを即興で話す。準備をしてはいけない。
5 出席カード代わりに毎回最後の10分を使って質問カードを記入し提出。

最終評価=「論文」「作品」の2つのトラックから選んでいい。
論文は、詩論。400字詰め原稿用紙換算15枚以内(厳守)。学期半ばの段階でプロポーザルを提出すること。
作品は、詩作。300行以内。(散文形式の場合、上記に準ずる。)
いずれも学期末に(人数にもよるが)ひとりあたり20分程度をかけた発表会を行う。
提出物はいずれも紙で、郵送あるいは手渡しを基本とする。
学期中、現代日本の詩人・アーティストらが突然ゲストとして現われる可能性が大きい。予告する場合もある。

関連イベント=ぜひいらっしゃい!
10月12日(金) 三角みづ紀さんとの対談 下北沢B&B
10月14日(日) 「星の王子さま」朗読 金子飛鳥さん、青葉市子さんと Rainy Day Books & Cafe
10月22日(日) 日本比較文学会シンポジウム 野谷文昭・工藤庸子・鴻巣友季子・花方寿行さんと
11月19日(月) 鼎談「翻訳という怪物」柴田元幸さん、ジェフリー・アングルスさんと d-labo

Tuesday 2 October 2012

11月19日(月)、翻訳をめぐって?

11月19日、D-Laboにて柴田元幸さん、ジェフリー・アングルスさんとの鼎談です。入場無料、要予約、そして席数は80席のみ。お早めにどうぞ!

http://www.d-laboweb.jp/event/121119.html