新宿の朝日カルチャーセンターには学生のころ(1980年ごろ)西江雅之先生の講座のために通っていました。宇波彰先生のフランス思想関係の講座にも多くを教えていただきました。
30年ぶりに、昨晩、行ってみました。西山雄二さんと鵜飼哲さんによる「デリダと脱構築」のため。ふたりのデリダ研究者のお話をたっぷり楽しめましたが、ことにおもしろかったのが、3月11日以後の状況を視野に入れた、「来るべき民主主義」をめぐる終盤の議論。
無責任の体系を生んだ1945年以前の日本における主権のあり方、現在の原発をめぐる国民投票の可能性と危険性、1973、4年頃からのフランスの原子力政策を規定してきたデカルト主義・ドゴール主義・ジャコバン主義の三位一体に現われる「主権の狂気」。鵜飼さんのつねに明晰でたんたんと語られる言葉の説得力に、改めて感銘を受けました。
そして西山さんがaccountability (説明可能性)とresponsibility(応答可能性)のちがいを説明しながら批判する、電力会社の態度。これにも大きく頷くとともに、「民主主義」を肯定することに自分の哲学を賭けていたデリダに対して西山さんが見せる信頼に深い感動を覚えました。
その西山さんは、もともと鵜飼さんのゼミ生。「脱構築は教えることができるのか」という問いに対する最高の回答が、西山さんの存在だといえるのかもしれません!
ひごろ、思想系の人たちとのつきあいがまったくなくなっているため、おふたりのお話に強い刺激を受け、また新たにやる気が出てきました。鵜飼さん、西山さん、ありがとうございました! ぼくも来年はデリダを読みます。