池田葉子『マイ・フォト・デイズ』(えい文庫、「えい」の字は木へんに「世」だが出ないのでごめん)を読んで、すっかり感心してしまった。まだ写真をはじめて5年という女性が、ロモやホルガといったおもちゃカメラで世界を撮りまくる。その絵が、すごい。
彼女は、たとえば花よりは錆びた機械や潰れた空き缶を撮る。景勝の地ではなく、ご近所の誰も気づかない一角を撮る。そこから生まれる写真の、目をみはるばかりの美しさ。
たとえば46と47ページ、ぺしゃんこのキューブに固められた空き缶をロモとホルガで撮り較べたものを見ると、この二つのカメラそれぞれの魂が一目瞭然。感動した。いろんな工夫を凝らして、技法を開発する。その心意気もすごい。
誰でもシャッターを押せばそこそこきれいな絵が撮れるデジタル技術の時代、フィルムカメラがもつ恐ろしいまでの個性と魅力を改めて教えてくれた池田さんに感謝。たとえばこういう方も、いつかぜひディジタルコンテンツ学研究会にお呼びしたいものだ。