Wednesday, 31 December 2008

石川直樹『VERNACULAR』

みすず書房のPR誌「みすず」では毎年、読書アンケートをとっている。その年に読んで心に残った本を5点ばかりあげるというもの。たぶん今世紀になってからはずっと参加していたのだが、今年は回答を送りそびれてしまった。ちょっと12月、慌ただしかったので。本も思うようには読めなかったし。残念。

とはいえ日本語の本の世界、今年も充実していたと思う。細川周平、今福龍太、小沼純一、港千尋といった古い友人たちは、それぞれ重要な仕事をいくつもまとめたし、他にも年齢の近い知人たちでは、鵜飼哲さんや田中純さんがいい本を出した。ほとんど何もできなかったぼくは、じっと手を見る。うなだれました。エイミーの翻訳だけが、小さな救い。でも来年こそは。

で、このまま年が暮れるのかなと思っていたら、石川直樹さんの強烈な一冊がやってきた。題して『VERNACULAR』。人類の居住の形態を現時点で追う、すさまじい射程をもつ写真集だ。

ノンフィクション『最後の冒険家』、意表をついた写真集『Mt. Fuji』につづいて矢継ぎ早に出された石川さんの本だが、どれも孤高の(文字通り!)境地をうかがわせる傑作。そして、一年のしめくくりのいま、この大冊。

明日、大晦日に書店にゆく人は、必ず手にとってみよう。ヒトはこうやってこの惑星の異なる風土に住みこんできたのかということを、いやでも思い知らされる。

ということで、みんな、よいお年を。

新年のゼミは気合いを入れて、1月5日からはじめます。生田で。参加希望の人は、ぼくの研究室に12時45分までに来てくれれば。