Thursday, 2 April 2009

『知恵の樹』、『独学の精神』

マトゥラーナとバレーラ『知恵の樹』(ちくま学芸文庫)の増刷が決まった。これで6刷、累計1万1000部。

朝日出版社からのもとの大判の訳本が1987年(装幀は鈴木成一さん)、文庫に入ったのが1997年。ぼくの20代の仕事が、長いあいだ、少しずつ読みつがれているのがうれしい。

今年は学部1、2年生むけの総合文化ゼミナールでも、ひさびさにとりあげる。DC系の大学院生のみんなにとっては、この本とグレゴリー・ベイトソン『精神と自然』(佐藤良明訳)は必読。というか、もう何年も前から、大学院生、学部生、それぞれにとっての推薦図書リストをそれぞれ100冊くらいで作ろうと思っているのだが、なかなか果たせなくてごめん。

もっともすべての独学者は自分が読む本、読まない本を自分で決めるだろうし、独学以外の学び方はない。きょう勧めたいのは前田英樹さんの新著『独学の精神』(ちくま新書)。「皆でせいぜい米を食べようではないか」という呼びかけにいたる道に、深い衝撃を受ける。米を食べることと独学の関係? それがわかるためには、この本を自分で読むしかない。早わかりを求めてもダメ。