Saturday 18 April 2009

マリンバと着物

金曜日、藤部明子展のためのプレスリリースを発送。それから宇野澤くんと10年前のモンゴル映画『ステイト・オヴ・ドッグス』を見る。公開時にパンフレットに文章を書かせてもらった、思い出の作品(そのときの短いエッセーは『コヨーテ読書』に収録)。

それ以来、はじめて見たが、驚くべき傑作だ。しかし現実のウランバートルも、その後ずいぶん変わっているのかも。

夜。田口ランディさんの朗読会に。マリンバの通崎睦美さんとのジョイント。ランディさんの朗読は非常に上手。朗々とした声で、ご自分のドラマティックなテクストを、いっそうドラマティックに盛り上げる。

そしてマリンバが、非常にそれに合う。マリンバという楽器は前から好きだったが、至近距離でその響きに体ごとさらされると、ここまですごいものかと思った。ぼくの脳の固有振動数(そんなものがあるとして)がその音に共鳴するような、異様な感覚。特に低音部はすごい。いちど使われた、コントラバスの弓で鍵盤をこするという奏法にも驚く。ジミー・ページがエレクトリック・ギターをチェロの弓でこすっていたのより、ずっと衝撃的。

超絶技巧に驚いていると、その後のトークで通崎さんがアンティーク着物のコレクターでもあると知り、びっくり。ランディさんもしばしば着物姿だが、おふたりはやや小柄。一昔まえの日本人はいまよりちょっと背が低かった。そのサイズを直しなしで着られるそうだ。おもしろいのは通崎さんが、「ランディさんは大正、私は昭和初期」とそのサイズを表現したこと。

通崎さんが港大尋くんの曲を演奏したCDは以前からもっていたので、今回は『1935』というCDと、彼女の著書『ソデカガミ』を買って帰り、この「銘仙着物コレクション」の本を電車でずっと見ていた。おもしろい! なんという柄。アロハシャツの世界だ。もともとアロハシャツは着物が生んだものだったのだから、当然だけど。

マリンバと着物。驚きの組み合わせ。京女はあなどれない。