Wednesday 1 April 2009

日本でいちばんやる気のある大学

若き友人、大洞くんのブログで、彼が迎えた放送大学の卒業式の模様が報告されている。

http://hobo.no-blog.jp/train/

これにはクラッときた。特に、グランドスラム! といってもタイガー・ウッズのことじゃないよ。以下、引用。

「そのなかで今年は5名のかたがたが6度目の卒業式を迎え、グランドスラムを達成した。グランドスラムとは放送大学教養学部に用意されている6つの専攻、「生活と福祉」「発達と教育」「社会と経済」「産業と技術」「人間の探究」「自然の理解」(来年度からは再編成される)をすべて修了することで、最短でも14年の歳月を要する。今回この離れ業をなしとげた方のうち、最高齢はなんと81歳! まさに「満身これ学究」であられる。」

いわば、学士入学をくりかえし、文理のほぼ全分野を掌中にした人たち。恐るべし、このやる気。

放送大学は、まちがいなく日本でもっともやる気のある大学だ。そこには「やる気のない学生」がいない。いやいや勉強させられ、いやいや大学に進学し、いやいや授業に出て、いやいや就職し、いやいや会社に通いながら日々をむだにする、といったコースとは、まったく無縁。学びたい、学びたい! 何の役に立とうが立つまいが、知りたい、考えたい! そうでない大学生がゾロゾロいるようでは、社会が狂ってくるのもあたりまえ。(もちろん、大学生の多くは、自分の興味にしたがってやる気を発揮し、知りたいと思うことには真剣で、けっして打算づくではない。まともな判断力をもっている。でも、そうではない学生も、実際とても看過できない数がいる。)

毎年3月、週刊誌がこぞって「東大合格者ランキング」とかの特集号を出す。ぼくらが受験生だった30数年前にも、それはあった。正気の沙汰とは思えないが、いまだにそれが続いている。21世紀は、あのころ未来だった。未来はどこに行った、といいたい。良識ある編集者に、くだらないことはやめろ、と促したい。

なかには普通のランキングではつまらないとでも思ったのか、わざわざ「女子」限定の合格者ランキングを売り物にする大手新聞社系週刊誌も。作り手の志の低さが、しみじみと思われる。どうでもいいだろう、そんなこと。

そんな狂ったマスコミの表面に出てこないところで、真剣に学ぼうとする人たちは、もちろん今日も「冷静な熱狂」をもって自分の道をゆく。まともな人は、もちろん多いんだ。それをわざわざ見えなくするやつらは、いったい誰だ?