以前、きわめて多産なノンフィクション作家であるマーク・クーランスキーが、新聞記者の質問に答えて"write up the day"という表現を使っていて衝撃を受けたことがある。
つまり、何があろうと、その日にあったことをその日のうちにノートにきちんと書き記してまとめておくということ。それができるならすごいが、彼はそこにいたるまえに日々の取材があり、調べ物があり、執筆があり、あいまには風景のスケッチをしている。テレビは見ない(たしか)。そこまでやっての、あの膨大な執筆量なのだろう。
とてもまねできないが、せめて数行でも記しておくといいなあとは、いつも思う。
12日は肌寒い月曜日。図書館ギャラリー・ゼロは予想以上に立派なできばえで、ちょっとした現代美術系のギャラリーにはぜんぜん負けない。セレモニーも、簡素で、よかった。あとは内容だが、記念すべき最初の展示作品はすばらしい!
迎山和司さんと宮下芳明さんの共作になるFlowersだ。観客の動きにつれて花開く、映像の花。それにつけられた音は、花の開花促進遺伝子の配列と翻訳プロセスをそのまま音の表現に置き換えたもので、宮下さんならではの驚くべき発想。楽しい作品だ。
メディアホールでの迎山さんの講演のあと、みんなで大学院演習室に集まり、ポテトチップスとコーラで思いっきりジャンクなパーティーをした(まだあとで授業がある人がいたのでアルコールなし)。
ところで、昨日、きょうの、このお天気はすばらしい。曇り、肌寒く、大好きな光。5月の適正気温だと思う。
12日、さらに感動したのは、サイバー大学の阿部和広さんが見せてくださった、100ドル・ラップトップの現物。2年ばかりまえに話題になったOne Laptop per Child の、全世界に届けられているそのものだ。ずっしりしたプラスティックのボディは、ちょっとお弁当箱みたい。しかしこれで、1000ドル級のマシンにできることは、たいがいできる。閉じれば防水。膝に載せたとき熱くないよう、熱はディスプレイ裏に集中させる。ディスプレイは90度回転させることができ、消費電力は極端に少なく、無線LANは1キロ以上離れたところからも使える。
コンピュータ文化は、経済格差に目をつぶって発展してきた。そこに、貧しい国の田舎の小学生たちにも、とにかくコンピュータを支給し、ふれさせてみようという運動がはじめられた。このかわいいマシンについての阿部さんの丁寧な説明のうち、ぼくがちゃんと理解したのはごくわずかだが、これを頭に載せてバランスをとりながら小学校に通う子の姿を想像できるようにはなった。
いろんな国の子供たちにこれを送ろうという、一口100ドル(たぶん)の募金もあるそうだ。