たまには古い歌を聴く必要があるように、たまには昔読んだ古い本をひっぱりだして読み直してみなくてはならない。すると、がつん! と衝撃をうけることがある。
それできょうは。
「ボイスは実際にウサギを人間のひとつの器官として、つまり外部器官として理解している。ウサギのもつとほうもない豊饒、その鉤を打ち込む能力、何度も往来する性質、ステップ地帯を起源とすること、刻み込むような狂気、その暗い性格、これらすべては彼にとってウサギが生まれながらに縁のある動物であることを思い知らせ、ボイスを感動させたのだった。ウサギとウサギをともなったすべての動物たちが、人間の進化にとって触媒であったとの確信をボイスは強めたのである。ボイスは語っている。『動物たちは身を捧げた。まさにそのことによって人間は現在の人間になりえたのである。』」
(ハイナー・シュタッヘルハウス『評伝ヨーゼフ・ボイス』(山本和弘訳、美術出版社、1994年)
なんという認識!