Wednesday 27 February 2008

「ユリイカ」2008年3月号

雑誌「ユリイカ」3月号、本日発売。英文学者の若島正さん、直木賞をとったばかりの作家の桜庭一樹さんとぼくの鼎談「<世界文学>から<文学世界>へ」が掲載されている(pp.34-52)。

若島さんは元数学者、チェス・マスターにして、ぼくがもっとも尊敬する英米文学の翻訳者、特にナボコフ『ロリータ』の名訳で知られる。飄々とした話しっぷりでいて、頭の中は宇宙のように広い。桜庭さんは小柄でおしゃれでこの上なくチャーミングな感じだが、翻訳文学の驚くべき読書家であり、その野蛮な想像力はちょっと類を見ない。

場所は神保町の青土社の屋上部分にある「船室」みたいな会議室。70年代以来のなつかしい「ユリイカ」がずらりと並ぶのも壮観!(ぼくの学生時代の翻訳が掲載されている号もいくつか。)寒い晩で、コートやジャケットを着たまま、みんな手をポケットにつっこんでぼそぼそと話をしていた。

桜庭さんを追っているテレビ番組「情熱大陸」のスタッフが鼎談を収録したのだが、番組の本番(このあいだの日曜に放送)では残念ながらこの部分は放映されず。でも、文学の現場感がただようおもしろい場所で、冬の日に、いろいろ充実した話を楽しむことができた。

ジャンルを超え壊して進んでゆく彼女の作家としての変貌に、これからも注目したい。