Saturday 23 February 2008

長生きする作家たち

2月18日にフランスの小説家で映画も作っていたアラン・ロブ=グリエが亡くなった。1922年生まれ、享年85歳。ヌーヴォー・ロマンの代表的作家で、若いころは熱帯農業の専門家としてカリブ海のマルチニックに滞在。特にバナナ栽培の専門家だったというのがおもしろい。ぼくは彼の小説のいい読者ではないが、彼がシナリオを書いた映画『去年マリエンバードで』(アラン・レネ監督)などは非常におもしろいと思った。

ヌーヴォー・ロマンの作家たちの中では1924年生まれのミシェル・ビュトールがいまも元気。今年、来日が噂されている。

高齢な作家たちのことを考えるとき、お正月になるたびに思い出す人がいる。アメリカのJ・D・サリンジャーだ。1919年生まれの彼は、今年の元旦で満89歳を迎えたわけだ。ご存知『ライ麦畑でつかまえて』の作者だが、1965年にHapworth 16, 1924を発表したあと、完全に沈黙し、隠遁している。膨大な草稿を書き溜めているのではないかという推測もあるが、それはわからない。ただ生きていることは確実。はたして彼の未発表作品を読める日はくるのだろうか。

ぼくはサリンジャーの大ファンではないし、そのクレイジーな世界に深く迷いこんでゆくつもりもないが、彼の文体にはくりかえしふれて、英語の勉強の上ではいちばん大きな存在だったかもしれないと思う。ちなみにぼくがいちばん好きなのはRaise High the Roof Beam, Carpentersという作品。かれらのように長生きするなら、ぼくにもまだまだこれからいくらでもやれそうなことはある。

せめて2050年ごろには、何かまとまった仕事をなしとげていたいものだ。ぼくはその年、92歳。いったいどんな世界を迎えていることだろう!