土曜日、名古屋へ。名古屋市美術館で開幕した「写真家東松照明全仕事」のため。11時から中区役所ホールで、関連の鼎談の聴衆となる。東松さんご本人、中平卓馬さん、倉石信乃さん。これが最高だった。東松さんは体調が悪く、沖縄からの電話参加。でもいろいろお話がうかがえ、おもしろい趣向だった。わが同僚・倉石さんは第一線の批評家として全体の流れを作ってくれる。
そして中平さん。偉大さを発散している。発言はなく、ときおりうなずくのみ。その身振りと現存により、「写真は語り得ない」こと、そして「写真のすべてを肯定する」ということを、全面的・全時間的にしめしてくれた。感動以外の反応がありえるものか。
終了後、美術館にむかう。ものすごい点数。しかも同一人物とは思えないほどの幅がある。写真家がそのつどの現実を追ううちに、その現実が歴史に送りこまれ、彼の写真そのものが歴史への手がかりに転化する。そんなメカニズムをまのあたりにするようだ。
会期中、名古屋地方にゆく人は必見。関西にゆく人は、むりしてでも途中下車を勧めます。
中区役所ホールはすっかりきれいになっていたが、1974年、高校2年のぼくはここのステージで「エリザベス・リードの追憶」ほかを演奏しました。なつかしいなあ。そのころは、こんな未来(つまり現在)を予測することもできなかった。