Sunday 31 January 2021

De l'incertitude 3

 "Voulant être le dernier philosophe, le dernier penseur de la totalité, il aura été en fin de compte l'avant-garde des nouvelles structures de pensée : l'incertitude, la mouvance, le dérapage." (Alain Robbe-Grillet)

De l'incertitude 2

 "Toute ma vie, j'ai eu le sentiment pathétique d'errer dans le désert ou sur la haute mer." (Michel Serres)

De l'incertitude 1

 "Il serait évidemment beaucoup plus confortable de s'en tenir à un domaine déterminé, et c'est ce que l'on fait le plus souvent. Mais j'ai toujours été incapable de me résoudre à cela." (Jacques Bouveresse)

Friday 29 January 2021

プルーストのほうへ

 『失われた時を求めて』、<私>がジルベルトに初めて会う一節が、あまりにみごとなので訳してみました。ブロンドの髪の印象が強すぎて、本当は黒い彼女の目を青い目と誤認してしまうところ。読んでみてください。

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 生垣のすきまから見える庭園の小道は、ジャスミン、三色すみれとクマツヅラに縁取られ、そのあいまにニオイアラセイトウが新鮮な薔薇色の巾着型の花をひらき、コルドバの古い革の匂いがかすかにし、一方、小道の砂利の上には緑色に塗られた長い散水管がはりめぐらされ、ところどころの孔から水が花々の上に立ち上がってその香りをしめらせ、ごく微細な水滴たちはさまざまな色を見せるプリズム的な、垂直の扇となっていた。突然、ぼくは立ち止まり、そのまま動けなくなってしまったのだが、それはひとつの幻影がただわれわれのまなざしに訴えるのみならず、もっと深い知覚を要求し、われわれの存在全体を飜弄するときに起こることだった。赤みがかった金髪の少女が、どうやら散歩から戻るところらしく、移植ごてを手にしたまま薔薇色のそばかすのある顔を上げて、こっちを見つめているのだ。彼女の黒い目が輝き、ある強い印象を客観的要素へと分解してゆくということがそのときのぼくにはできなかったせいで、もっともそれ以後も学んでいないけれど、またぼくが、人がいうように、そもそも色を観念として特定するだけの「観察力」をもっていなかったせいで、長いあいだ、彼女のことを考えるたびに、ただちにその両目のきらめきの思い出が、もっぱら彼女が金髪だったがゆえに、鮮やかな青のそれとして甦ってくるのだった。それはまさに、彼女の目があれほど黒かったのでなければ----そのことには初めて彼女を見れば誰でも驚かされるはずだ----ぼくは彼女においてそれらの青い目によりいっそう特定的に恋してしまうということにはならなかっただろう。

Wednesday 27 January 2021

LS #2

 Artaud dit que l'Etre, qui est non-sens, a des dents. (111)

Sunday 24 January 2021

そのつづき(ちょっと蛇足)

 「現在は情報環境として、日本から一歩も出なくても完全に英語環境を整えることができる。半世紀前から考えると信じられない状況だ。

中学生のころ、ぼくは英語の勉強をしたくても「ソノシート」と呼ばれるペラペラのビニール盤に録音された音声教材をレコードプレーヤーでくりかえし聞くしかなかった。大学に入ったころも当時FEN (Far East Network) と呼ばれていた米軍放送(American Forces Network)に耳を傾けて本物の英語を学ぶしかなかった。
それから思うと、現在は、求めればそこにある。すべてがある。ぼくはYouTubeこそ21世紀の最大の発明だと思うが、いまは自分ひとりでネイティヴ並みの言語能力を、タダで身につけることが可能な時代だ。
その目標を阻むのは自分自身だけ。そして、これまでに吹き込まれてきたさまざまなまちがった思い込みだけ。今年はとにかく「本物の英語を身につける」ことを自分に誓って、そのための戦略を立て、習慣化してほしい。」

英語のクラスへのメッセージ

 今年度の授業が終了。「英語リーディング」のクラス、最後のメッセージは以下のようなものでした。何度もくりかえしいってきたことですが、今年もまた。自戒をこめて。

「外国語に対する態度は2つしかない。それを身につけようという気があるか、ないかだ。これは選択の問題。そして外国語が完全に身につくということはないので、前者を選んだときは学習が一生つづくことになる。覚悟するしかない。
言葉の知識に関して、ごまかしはきかない。知っているかいないか、それだけ。自分で判断できることだ。そして「知っている」というとき、「正確に知ってるか、あやふやなかたちで漠然と知っているか」のちがいが生じるだろう。いうまでもなく、正確でなければ意味は半減する。
春学期の最初にいったと思う。
語学力の本質は再現力
めざすべきは反応時間の最短化
これ以外には秘訣も秘密もない。
外国語が「できる」というのは簡単なことが100パーセント身についているということであり、あやふやな部分だけがどんどん肥大しても、その言語が使えるようにはならない。英語に対する苦手意識がある人は、とにかく中学レベルのことを100パーセント「即時に理解し反応できる」レベルにしてほしい。
英語の学習といっても、以上の原則以外に「教える」ことはない。あとは自分が「学ぶ」だけ。この原則をきちんと押さえておけば、必ず読み書き話せるようになっていく。ゆめ疑うことなかれ。」

Sunday 17 January 2021

週刊「読書人」2020年9月18日号

 去年、この書評を書いたことを報告し忘れていました。ディディエ・エリボン『ランスへの帰郷』。まずは書評をごらんください。

https://dokushojin.com/review.html?id=7661



Monday 4 January 2021

LS #1

 L'événement, c'est l'identité de la forme et du vide. (161)

今年の引用文集

 サルトルで予告していた今年の日々の引用ですが、都合によりGilles Deleuze のLogique du sens (1969) からに変えます。興味がある人はずっと追ってくれれば得るものがあるかもしれない。

「山頭火全集」月報

 暮れに春陽堂書店から『新編 山頭火全集』の刊行が始まりました。第1回配本の月報に、短い批評文「山頭火、雑草の詩学」を寄稿しました。この機会に山頭火の全貌にふれたいものです。ご一緒にいかが?

Friday 1 January 2021

「水牛のように」2021年1月号

 ウェブマガジン「水牛のように」1月号に詩を寄稿しました。タイトルは「 Sun Dog」です。ぜひ読んでみてください。

http://suigyu.com/2021/01#post-7249

 

「福島民報」2021年1月1日

あけましておめでとうございます。すこやかな一年になりますように。

さて、福島のみなさまは、ぜひ元旦の福島民報をごらんください。福島県文学賞選考委員として新年の詩を書くのも3年目になりました。楽しんでいただければさいわいです。