Thursday, 28 November 2019

暁方ミセイさんの書評

「もしあなたが、もう自分や、自国や、人類だけのことばかり考えるのが心底嫌になっているなら、いますぐ出会うべき詩集であるはずだ。」

「図書新聞」2019年12月07日号に、暁方ミセイさんが『犬探し/犬のパピルス』の、大変に心のこもった書評を寄稿してくださいました。犬好きならではの反応、感応? 読んでいて、つい、にっこり。

「著者を励ましてくれる書評」コンテストがあれば文句なしに最優秀賞を争うことでしょう。ぜひ読んでみてくださいね。まずは書評を、ついで詩集を(あるいはその反対!)

ミセイさん、ありがとう! 明治ですから!

Monday, 11 November 2019

貴陽にて

早起きして貴陽市街地を歩き回っていると24時間営業の麺屋があったので入る。「やんろーふぇん」(羊肉粉)12元を頼んで10元+5元を紙幣で渡したら、受け取ってくれず、5元札を返してくる。微信での支払いが当たり前になっている中国、釣り銭がないということだと(中国語はわからないが)悟る。で、「お釣りはいいから15元とっておいて」と説明するのだが、お店の女の子が困った顔をする。

するとすわっていたお客の中年男がポケットから1元札2枚を取り出して、彼女にあげようとした。ぼくはさすがに断わって男にお礼をいい、改めて自分の5元を彼女にわたす。すると彼女はこんどはにっこり笑って、そのまま5元を返してくれた。結局、2元分はお店のおごりということに。ごちそうさま。

いいよね、こういうのは。現代日本では、ほぼありえない対応。

おととい、空港で、日本人の中高年の団体にむかって添乗員さんが「中国の人は笑いませんが気にしないで」といってた。店員にお愛想笑いがないという意味かと思うが、ぼくの経験では、中国の人のほうが概して日本人よりずっと愛想がいいし、親切。なんであんな偏見を最初から吹き込むんだろう。

きょうはプイ族の村を訪ねます。

Thursday, 7 November 2019

制作ジャム(3)

最後に、各スタンザから1行ずつをぼくが選んで並べた8行に。これを取り入れながら2倍の長さの16行に拡張するのが宿題。さあ、どうなるかな。



このトレーニングがめざすのは「自分の言葉で書かない」ということ。言葉はすべて借り物。いわば野原で摘んだ花や拾った石ころや流木や鳥の羽を組み合わせて、活け花のようなアレンジメントを試みることに、非常に近いでしょう。

このワークショップ、依頼してくれれば、大学・書店・公民館などでやります。気軽に企画してみてください!

*****


白昼夢で見た通りの通り
中国系アメリカ人のメイドが気を利かせた
存在の問題が端緒となり
文体は脆いまま
ベトナム戦争の音をしめだすために窓を割った
ポケットのなかにビスケットがふたつ
ここに夢して、そこに起きる
誇張された声が響きます

制作ジャム(2)

ついで、全員ひとつずつ順番をずらし、前の人が書いたものを自由に書き換える試み。

*****


島は癩病院だったと昨日おでん屋で聞いた
白昼夢で見た通りの通りで
息をひそめて少しだけ眠った

革命家の寝室に入ると枕がなかった
中国系アメリカ人のメイドが気を利かせたのだ
スマホのアプリゲームに夢中なせいだ

存在の問題が端緒となり
遠くの素粒子が
手の皺に見える

未完成なままにしておけ
文体は脆いまま
詩が人種に抗する戦術である

フォークソングが嫌いな僕の姉
ベトナム戦争の音をしめだすために窓を割った
プア・ホワイトの話をしてる

競技場で思い出して
ヴェトナムの写真をみた
ポケットのなかにビスケットがふたつ

私は量子力学になる
同時に生活が生きる
ここに夢して、そこに起きる

ピントとパイントがグラスを割った
音の機材として上手に働かせると
誇張された声が響きます

ゼミで制作ジャム (1)

きょうは大学院ゼミにアルゼンチンの大学院生フリアが遊びに来たので、「千羽ハチドリ」のフォーマットを応用したワークショップをやりました。任意の本の 見開きに、予め適当な3語がマークされている。それを使って3行詩を書くというもの。8人でそれぞれに書いたものが、こう並びました(最初のものだと「癩 病院」「白昼」「様子」が課題語)。

*****


島は癩病院だった
白昼の通りで
息をひそめて様子をうかがう

革命家の肖像を寝室に飾った
中国系アメリカ人の彼女は
スマホからすべてのアプリを排除した

問題の答えは遠くにはない
すでに端緒は手のなかにあって
皺にめり込んだ素粒子に存在している

未完成な文体で
脆い戦術しかとれないけど
詩に人種隔離はない

フォークソングばかり聴きすぎた
ベトナム戦争の音も
プア・ホワイトの声もきこえない

競技場で暑さがなにも通訳してくれない
ヴェトナムの写真をみたのを思い出してる
ポケットのなかにビスケットのクズがあるだけ

量子力学を考えると
徹底的に時間線を乱して
過去の自分と未来の自分が会えるかも

ピントグラスのうしろに
音の機材が聞こえる
誇張して働きます


Wednesday, 6 November 2019

Stand, vol. 17 (3) Ecopoetics

STAND is a poetry journal based at the University of Leeds, UK. Its latest issue is dedicated to "Ecopoetics" and my poem "Historia Coyotesca" is in there. Thank you, Vahni Capildeo, for inviting me to contribute!

イギリスのリーズ大学で発行されている詩の雑誌 Standの「エコポエティクス」特集号が出ました。ぼくは "Hostoria Coyotesca" という作品を寄稿。ぼくの初期の本『狼が連れだって走る月』 (1994年)の巻頭の詩「コヨーテの歴史」の英語版です。

Sunday, 3 November 2019

『大切な貨物』

高松。オランダのアーティスト、クリスティアン・バスティアンスの作品『大切な貨物』。手前と奥、2つのスクリーンにそれぞれ映像が映写され、そのあいだの空間で俳優たちが動く。 異様な喚起力のある夢幻劇。主題はハンセン病患者のみなさんの生涯、そしてそれを訪ねる人々の時空を超えた旅か。映像作品+演劇という形式で体験できてよかった! ぼくは字幕翻訳を担当しました。