Wednesday 29 February 2012

『銀河鉄道の夜』の翌朝、その正午、ふたたび夜へ

「現代詩手帖」3月号が発売されました。ぜひごらんください。

http://www.shichosha.co.jp/gendaishitecho/item_645.html

古川日出男、小島ケイタニーラブ、ぼくの共同プロジェクト、朗読劇『銀河鉄道の夜』のスクリプトが掲載されています。

それのみならず、『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)をめぐる熱い熱いエッセーを新井高子さんが、「ことばのポトラック」から「銀河鉄道」にいたる、3月11日以後の歩みをSaravah東京のオーナー、あつ子バルーさんが、書いています。

意味と無意味のあいだで惑いつつ悩みつつ続けた、そしてこれからも新たな展開を探る、いくつかの小さな試みの証言です。

今年は『銀河鉄道の夜』をやっていきます。見にきてください。聞きにきてください。一緒に「フォークダンス」を歌いましょう。

Saturday 25 February 2012

『ポルトラーノ』イベント

19日、日曜日。千駄ヶ谷のビブリオテックでの『混成世界のポルトラーノ』(左右社)刊行記念イベント。

林ひふみ+清岡智比古の第1部は、さすがに抱腹絶倒。カリスマ教師ふたりの魅力をたっぷり味わえました。話し上手のこのふたりに対して、第2部は沈黙のふたり、倉石信乃とぼく。互いにひとこと話しては「……」が30秒つづく、といったゴドー待ち的舞台になるかとひやひやしましたが、さすが劇作家・俳優でもある倉石さんのおかげで、いちおう格好はついた模様。

それから全員が短い作文を朗読、そのようすがYou Tubeで見られます。清岡さんのブログから飛んでください。

http://tomo-524.blogspot.com/2012/02/blog-post_24.html

ここで種明かし。「ポルトラーノ」という単語をぼくが最初に使ったのは、1987年に港千尋、旦敬介と一緒に作った旅行英会話本シリーズ「ことばのポルトラーノ」(朝日出版社)において。なかなかよくできた本だったのですが、もうどこにもないでしょう。

女の子がひとりで旅行するときに必要な英会話センテンスを、例文=旦くん、ストーリー=ぼく、旅行情報=港くんでまとめ、ニューヨーク、ロスアンジェルス、ホノルルの3都市分、3冊を作りました。写真は主に港、ただしホノルル編だけはみんなで撮っています。

こうして、ぼくにとって、「ポルトラーノ」は協同のしるし。今回の科研費グループでの研究は、また将来、続編をやるつもりです!

Friday 24 February 2012

L'Archipel des séismes (Picquier poche)

3月11日以後に日本の文学者たちが書いた文章や作品を集めた本がコリーヌ・カンタン、セシル・サカイ共編によりフランスで出版されました。

L'Archipel des séismes: Ecrits du Japon après le 11 mars 2011, Editions Philippe Picquier.

畠山直哉による彼の故郷・陸前高田の写真をまんなかに挟んで、大江健三郎をはじめ30名ほどの文章が掲載されています。

このうち「詩」の部門は、夏石番矢、石井辰彦、管啓次郎、谷川俊太郎。ぼくのは昨年「ユリイカ」に発表した連作「非在の波」8編(コリーヌ・カンタン訳)。谷川さんのは『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)所収の「ろうそくが ともされた」です。

ぜひごらんください。

Wednesday 22 February 2012

歳をとらない誕生日

死んだともだちは歳をとらないので誕生日を迎えてもいつまでも若くてうらやましくなる。それで、今日が誕生日だった不在のともだちをテーブルのむこうにすわらせ、1本だけ缶ギネスを開けて、対話。対話? ジャン=ピエール・リシャールのスタンダール/フロベール論がいかにすばらしいかを勝手に話して聞かせた。

そんな同い年のともだちが、すでに数人。かれらの誰よりも歳をとってゆくぼくは、だんだんかれらの保護者になってゆく気分。20歳のときに死んだともだちが高校のころ話していたジョークを思い出せば、いまも33年前とおなじく笑えるのに。

時間、のびちぢみするもの?

Monday 20 February 2012

修士論文審査

今日はディジタルコンテンツ系の修士論文審査。みんな緊張した面持ちで、それでもちゃんと発表と質疑応答をこなしました。

ぼくの研究室からは以下の3名。みんな、よくがんばった。年々レベルが上がっているのが実感されます。

しかし、これが勉強のはじまり。大学を離れても、いつも自分の問いを忘れずに。映画を、本を、作文を、考えてください。世界のあらゆる問題を考えてください。

赤塚絵理「ペドロ・アルモドバル監督作品における表現の問題」
宋済勲「北野武監督作品における象徴的イメージ研究 海を中心に」
大洞敦史「1950年代の四日市の或る紡績工場における作文運動」

来年はこーちゃんとダニエルだ!

Friday 17 February 2012

「毎日新聞」2月15日

水曜日の「毎日新聞」Book Watchingで、古川日出男がよむ宮澤賢治詩の朗読CD本『春の先の春へ』(左右社)が紹介されました。

ほんとうにいい朗読です。ぜひ聴いてみてください。今年は古川日出男+小島ケイタニーラブ+管啓次郎による朗読劇『銀河鉄道の夜』を各地で上演します。その開催準備も、少しずつ進めています。

ご期待ください。

Tuesday 14 February 2012

「沖縄タイムス」2月9日

琉球大学のレクチャーシリーズ「人の移動と文学」でのぼくの講演、「沖縄タイムズ」でも記事に取り上げていただきました。

文学=翻訳=旅の等号を考えたひととき。

友利記者、ありがとうございました!

「ペレ、ハワイの神話」舞台映像

昨年10月のAyuo & Seashellとの舞台「ペレ、ハワイの神話」の記録映像がYouTubeにアップされています。

http://www.youtube.com/watch?v=is-TX7SDS9E&feature=related

こんな感じでした。

「琉球新報」2月9日

『ろうそくの炎がささやく言葉』をめぐるインタビューが「琉球新報」に掲載されました。記者の与那嶺松一郎さん、ありがとうございました。

それに加えて、琉球大学でのぼくの講演「旅を書くことを考える」の記事も同時掲載。こちらも、ありがとうございました。

また遠からず訪ねてゆき、島の各地をじっくりと歩いてみたいと思っています。

Sunday 12 February 2012

釧路へ

札幌大学の三上勝生さんのブログをひさびさに見たら、釧路のThis isでの映像が。ここ、われわれも三月に行きます。朗読会を開催します。場所の雰囲気がわかって、やる気が湧いてきました。釧路、あの強烈に美しい湿原の街。川下り、ふたたび。そして夜は声を、歌を。詳細はまたお知らせします!

http://d.hatena.ne.jp/elmikamino/

Friday 10 February 2012

合言葉は「作ること」!

ぼくの研究室所属の大学院生たち、がんばってます。

学内行事ではありますが、12月、「明大生が捉えた日本」映像・写真コンテストで、映像部門の最優秀賞をM2の宋済勲「新大久保の絆」が、写真部門の最優秀賞をM1松本晃次郎の「眼差しの寄合」が、それぞれ受賞しました!

これに映像部門奨励賞のエミーニャこと中村絵美の「Can Do Catch」を加えると、ほぼ独占。中村さんは現在、倉石研究室所属のM1ですが、春から倉石さんが在外研究のため、ぼくの研究室に移籍して修士制作を行ないます。

そして! 明治出身の大作家の名を冠した倉橋由美子文芸賞大賞を、当研究室M2の赤塚絵理が「魔法使いの庭」で獲得しました。賞金、なんと30万円。ぜひ有効に遣ってほしいものです。彼女はいまペドロ・アルモドバルをめぐる修士論文を仕上げているところです。

映像作品を作るために、写真を撮るために、小説を書くために、ただ考えるために、とことん歩くために、ぜひぼくの研究室に参加してください。

毎年のギャラリー展示、「Walking 歩行という経験」「樹木」「川から海へ」に続いて、2012年度は「動物のいのち」を主題とします。ご期待ください!

Tuesday 7 February 2012

『混成世界のポルトラーノ』刊行記念イベント!

2月19日(日)午後4時から、千駄ヶ谷のビブリオテークで。

『混成世界のポルトラーノ』(左右社)の刊行記念イベントを開催します! 

http://sayusha.com/sayusha/events.html

林ひふみと清岡智比古。倉石信乃とぼく。そして全体をまとめるのは波戸岡景太。明治大学理工学部総合文化教室外国語スタッフの総力を結集したこの企画。

ぜひ遊びに来てください。清岡さんによる紹介をまずはどうぞ!

http://tomo-524.blogspot.com/2012/02/blog-post_6536.html

Sunday 5 February 2012

「みすず」601号

毎年恒例の読書アンケート。ぼくは以下の5冊をあげました。もちろん、いつものことながら、この5冊がまったく他の5冊と入れ替わる可能性もありました。すべての本に、ご挨拶。それぞれが別の線へ。

山内明美『こども東北学』(イースト・プレス)
花輪莞爾『海が呑む』(晶文社)
宮地尚子『震災トラウマと復興ストレス』(岩波書店)
Claude Lanzmann, Le lièvre de Patagonie (Folio)
Maurice Pinguet, Le texte Japon (Seuil)

読売書評 #3

辺見庸『瓦礫の中から言葉を わたしの<死者>へ』(NHK出版新書)。2月5日掲載。

Saturday 4 February 2012

「水牛のように」2012年2月号

毎月1日は「水牛」の日。2月号、もちろんちゃんと更新されています。

http://www.suigyu.com/sg1202.html#09

発行人の八巻美恵さんには、別の大プロジェクト、いや小さなプロジェクト、それでもぼくの人生のこれからを左右しかねないプロジェクトでも、お世話になっています。といってもそれがかたちをとるのはいつのことやら。

いずれにせよ「水牛」は続きます! 石垣島にもいます!

那覇への旅

2月2日(木)、那覇へ。ジュンク堂書店那覇店で『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)朗読会を行いました。今回は地元のフリーアナウンサー、よなみねゆうかさんが参加。二十一歳とは思えない堂々としたパフォーマンスで、万雷の拍手を浴びていました。

終了後、ただちに、琉球放送へ。ジュンク堂店長の森本さんが毎週本の紹介をするコーナーがあるのですが、その話のうまさにびっくり。ぼくは特別ゲストとして出演し、谷川俊太郎さん、山崎佳代子さんの詩を朗読しました。

2月3日(金)、琉球大学へ。「旅を書くことを考える」と題した講演をおこないました。読書と旅と翻訳と外国語体験の類似性について? 主に『コロンブスの犬』『狼が連れだって走る月』『斜線の旅』からの抜粋を交えながら、最後はニューメキシコスライドショー。お招きいただいた山里先生、すっかりお世話になった前村さん、ありがとうございました。

終了後、琉球新報の与那嶺記者(昨日のよなみねさんとは無関係)にインタビューを受けました。それにしても完全にアメリカ型の琉球大学のキャンパスのでかさにびっくり! 山里さんとぼくの共通の母校であるハワイ大学を思い出しました。

講演には高校時代の友人の息子、二木良平くん(琉大医学部1年)や琉球弧の詩人・高良勉さんが来てくれて(もちろんわが友人・喜納育江さんも)、楽しいひとときでした。またいつでも何度でも来たい、行きたい、沖縄でした。