Friday 14 May 2021

「図書新聞」2021年5月22日号(3496号)

 堀内正規さんの渾身の批評書『「白鯨」探究 メルヴィルの<運命>』(小鳥遊書房)の書評を書きました。ぜひ読んでいただきたいのですが、一部を紹介します。

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その姿勢をひとことで「パトスの批評」と呼んでもいいかもしれない。パッション(情念)の語源にある単語だが、たとえばモビィ・ディックという捉えがたい実体(ウーシア)の数々の属性(パトス)が場面ごとに周囲の者にひきおこす感情に共振しながら、その記述を試みるような批評。それは「病理学」という現行の意味からはややズレたパソロジー(パトス研究)の試みであり、おなじく「動物行動学」という現行の意味からはややズレた鯨と鯨捕りたちのエソロジー(エートス研究)の試みとも分かちがたくむすびついて、「運命」の一語で呼ばれるロゴス(神がいようがいまいが作品の混沌をそれでも貫く摂理)への接近を図ることになる。

Tuesday 11 May 2021

Queenzenglish.mp3

友人の哲学者 Kyoo Lee が編集した本Queenzenglish.mp3 (Roof Books, 2020) に24行の詩 "A Pidgin Rebellion" を寄稿しました。英語批判の1冊。ぼくの詩はハワイの視点から。

Sunday 9 May 2021

「群像」2021年6月号

 「群像」6月号に松浦寿輝さんの紀行文集『わたしが行ったさびしい町』(新潮社)の書評を寄稿しました。じつは旺盛な旅人であるこのフランス文学者・作家の秘密に迫っている、かも。ぜひ読んでみてください。