おのれ自身の----ひいてはどのような----未来についても
私はひとつの文字から、その黒いインクから察知した。
(ヨシフ・ブロツキイ、たなかあきみつ訳)
1947年の夏、私はディエップ近郊の村に滞在し、たいした確信もないままにマラルメの翻訳に没頭していました。ある日、私の内部に革命が起こりました。それは母語との絶縁を告げる衝撃でした。私は即刻その場で母語と縁を切りました。「以後、フランス語のみで書くこと」、これが私の至上命令になりました。
(シオラン、金井裕訳)
「砂漠ってきれいだな」と王子はつけ加えた。
ほんとうだった。ぼくはいつだって砂漠が大好きだった。砂の丘の上にすわってみる。何も見えない。何も聞こえない。それなのに何かが、無音の中で光を放っている……。
(アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ、拙訳)