伊豆七島青ヶ島の南方60キロに、べヨネース列岩と呼ばれる岩礁群があるそうだ。有名な明神礁の外輪山の一部で、波間からのぞく岩の標高は最高でもせいぜい9・9メートル。そこが漁師たちには「ハロース」と呼ばれてきた。
おもしろいのは、その名の由来。漢字で書けば「波浪巣」! いつもそのあたりでは波が高いからだという。神話的想像力が、そのまま表れている感じがする。古典ギリシャ語のできる人に、ギリシャにもそういうところがないかどうか、調べてほしいくらいだ。
いっぺん行ってみたいものだが、接岸を試みて難破したら恐い。海上保安庁か国土地理院か自衛隊は、そういうところにもたまには上陸するのだろうか。
むかしハワイで、地元の小学生が、背中にでっかく「波浪」と書かれたTシャツを着ていた。その心は、もちろん、Hello! こういう言語間の駄洒落も、おもしろい。