Friday, 7 March 2008

越境ワークショップ

3月4日、池袋は立教大学の秘密の一角でおこなわれた「越境ワークショップ」を見物にゆく。「郊外」と文学、を主題に、3人の話を聞く。

まずフランス文学の昼間賢さんが、セネガル人の父親とフランス人の母親をもつ混血作家マリー・ンディアイについて。ついで中欧文学の阿部賢一さん。マルチン・シュマウスというチェコ作家がロマ(ジプシー)の世界を描いた作品『娘よ、火をわけ与えておくれ ナ・チクニ.ナ・バリ、チャラフ・トロ・ヴォジョリ』について。最後にアルゼンチン研究の林みどりさんが、最近翻訳の出たフリオ・コルタサルの短編集『愛しのグレンダ』から選んだ3編の分析を話してくれた。

どれもすごくおもしろかった。『グレンダ』のストーリーについては、政治的背景がわからないと読みづらいものがあるが、コルタサル晩年の政治的姿勢を含めて、示唆されることが多かった。

結論としては、世界にはいたるところに郊外あり。何らかの求心性と遠心性がせめぎあうすべての地帯は、郊外として別の郊外へとつながってゆく、ということだろうか。郊外育ちでそのパターンを反復しているぼくも、妙に納得。

その小さな会議室のある建物のすぐ裏手には、瀟洒な古い洋館があった。ああ、あれが江戸川乱歩記念館! いまでは立教大学が管理しているそうだ。こんどちゃんと見に行こう。