20日、ディジタルコンテンツ学研究会。映画研究の御園生涼子さんに「サスペンスと越境 国境を横断する文化・メディアの<近代性>」と題して、小津安二郎の『非常線の女』(1933年)と『その夜の妻』(1930年)という2本のサイレント作品の分析をうかがった。
おもしろかった。特に『非常線の女』でのレコード店での会話シーン、聞こえていないはずの会話が成立している場面のおもしろさを指摘されて、強い興味を覚える。「視覚のエスペラント」と呼ばれたサイレント映画が、トーキーに代わろうとするまさにその時期にのみありえたゆらぎ。
このころの小津はまだ20代! これからまとめて観ることにしたい。御園生さんにはこの春から理工学部の非常勤講師として英語を担当していただく。またいろいろ教わる機会ができるだろう。
『非常線の女』ではちんぴらのお姉さん役でギャングのジョージ(主人公)に惚れられる水久保澄子という女優がとてもいいが、彼女はこのあとあれこれトラブルがあって映画界を去ったらしい。むかしむかしの話は、まるでパラレルワールドの話みたい。