Tuesday, 4 December 2007

シンポジウムは成功!

2日の日曜日はまずまずおだやかな一日で、朝からお茶の水へ。「新領域創造専攻」のシンポジウムが午前と午後の2部構成で行われた。

午前の「安全学系」は、現代社会生活におけるいろいろな安全への配慮をめぐって、多岐にわたる興味深い議論がていねいになされた。ついで午後がわれわれの「ディジタルコンテンツ系」で、この分野の未来、「次の一手」を占う、という大きな目標を掲げた。ぼくは午前、午後とも、あいまにアナウンス役で舞台の裾に立ったのみ。DC系の構想は、みずからアーティストでもある宮下芳明さんのヴィジョンに、すべておまかせ。

まず、メディアアーティスト岩井俊雄さんの新楽器TENORI-ON。パンチカードのようなものを入れる手回しオルゴールを逆回転させることから思いついたという、開発にいたる長い歴史がテンポよく語られ、ぐんぐん引きつけられる。たとえばシンセサイザーができたとき、インターフェースとして採用されたのはむかしながらの「鍵盤」だった。20世紀のさまざまな新たな楽器で、インターフェースの問題を根本的に問い直したのはテルミンしかない。そしてこのテノリオン。そう解説されると、なるほど! と大きくうなずく。先行発売されたロンドンではすでにいろんなミュージシャンが使いはじめ、ビョークは5台も購入したらしい。まちがいなく来年はテノリオンの年だ。

岩井さんと、共同で開発にあたったヤマハの西堀さんによる、テノリオン2台の演奏に息を飲んだ。これ、欲しい。日本での発売が待ち遠しくてならない。(http://www.yamaha.co.jp/design/tenori-on/)

休憩後、シンポジウム。「初音ミク」の企画者、今回のゲストでいちばん若い佐々木渉さんの話に、「初音ミク」がお目当てで来た学生たちは大満足。ついで書道家の武田双雲さんは、でっかくて元気で、そこにいるだけでポジティヴなエネルギーを発散している。デジタルステージの平野友康さんは、ディジタル技術の時代ならではの新たな企業文化や人間関係をこの上なく真剣に模索しているし、ゲーム・プロデューサーの水口哲也さんの宇宙論的な発想と魅力的な話しぶりには、みんな大きな感銘を受けていた。

終了後、しばらく談笑。会場の時間切れで話し足りなかった分を、またいつかパート2としてやろうとのこと。ぜひ企画してみたい。みんな若い、熱い、真剣だ、そして心の気前がいい。発想をどんどん話し、互いにそれを受け取り、またそれぞれの場所に帰ってゆく。新しいかたちの意識の共有、そして共同作業の可能性に、ディジタル技術は大きな地平を開いてくれる。少なくともそのことだけは、強く確信させてくれる一日だった。

アカデミーホールに集まってくれたみなさん、ありがとうございました!