Tuesday, 3 July 2007

第3回DC研 avec 徳井直生!

6月30日、土曜日、第3回のディジタルコンテンツ学研究会を開催した。スピーカーは工学博士にしてDJの徳井直生さん。わが同僚、宮下芳明さんの高校時代の同級生。お話は多岐にわたったが、じつに爽快だった。ぼく自身(1958年生まれ)とは半世代以上ちがう(宮下さんと徳井さんは1976年生まれ)世代の中に、確実にこれまでなかったタイプの知性が生まれているのを実感し、こっちもやる気がわいてきた。

徳井さんのお仕事については

http://www.sonasphere.com/blog/

を参照のこと。

徳井さんは国際メディア研究財団の研究員だが、昨年までは2年間、パリで活動していた。今回は彼のお仕事から、Phonethica および i Mashup そして Sonasphere という3つのプロジェクトを例にとり、ディジタルメディアにおける創造の(そこには集団性が大きく関わってくる)可能性について、説得力のあるかたちで解説していただくことができた。

ぼくが特におもしろかったのは、完全なインターネット世代であるかれらの中から、埋もれたもの、忘れられたものに対するまなざし、そして製作者を英雄視せずできるかぎりのものを共有してゆこうとする倫理が芽生えている点だ。

もちろん、トランスリングァル(間言語的)なパン(音の類似)や、複数のストーリーラインの並行、あるいは個を離れた集団制作といった問題は、20世紀文学がとことん考え抜いてきたことだ。そうした発想自体には驚きはない。けれども最大の驚きは、そうした発想を実践に移すにあたっての徹底した平等主義、というか特権の放棄が、ディジタルメディアによって可能になっている点だ。

徳井さんは「危機言語の復権」や「ロングテールの尻尾のほうの浮上」といった問題を重視する。ぼくにもそれはぜひ支持したい動きで、実際、翻訳者としての自分自身のこれまでの活動のある側面(ひとことでいって「小さな場所で小さな言語で書かれる小さな文学の可視化への戦いの支援」)を、これからも進めていこうという決意を新たにすることができた。

彼の活動に、これからも注目していこう。