このところよく聴くのが、清岡さんに教えてもらったMélissa Laveauxという女性シンガー・ソングライター。フランス語、英語、クレオル語の3言語で歌われるアルバム、最高。
彼女はモンレアル(モントリオール)生まれのハイチ系。むかし一時期、ロスアンジェルス出身のハイチ系の女性ベーシスト&シンガー、テリ・モイーズをひいきにしてフランス語の授業で使っていたけれど、それ以来の、いい感じ。
去年のコンチャ・ブブカ(これは東北旅行のときパコに聴かせてもらった)もそうだけど、いい歌手って、やっぱり次々に出てくるもんだ。
そのメリッサ・ラヴォーの来日コンサートが、いよいよ5月30日、31日。なんと山本精一ほかとの共演! これは楽しみ。
そういえば2、3日前、ただウクレレだけの伴奏に乗せてザ・ビートルズの「アクロス・ザ・ユニヴァース」を女の歌手がうたっているのが、街で聞こえてきた。すごくいい。誰なのかな、と思ったら、ウクレレはジェイク・シマブクロ、歌はシンディ・ローパー。すごい顔合わせ。これに類することを、文学の世界ではできないものかな。誰かの本歌を、二人の共作で、再演する? それほどおもしろい結果にはならないか。
ともあれ、ふたりの出会いは、ここに書かれていた。
http://www.jambase.com/Articles/12854/Jake-Shimabukuro-%7C-02.06-%7C-Oregon
シンディがハワイでのコンサートに際して、ジェイクを招いた。シンディはダルシマーで、ジェイクはもちろんウクレレで、あの名曲「タイム・アフター・タイム」をやった。これを知ったとき、ちょっとぞっとした。
というのもぼくがこれまでに行ったもっともすごいコンサートのひとつはハワイの野外ステージ、ワイキキ・シェルでのマイルズ・デイヴィス(1988年)で、このときマイルズは(一部の隙もないおしゃれをして)このシンディ・ローパーのヒット曲を、異様な情感をもって、ソロでやったから。満員のお客さんが、水を打ったようにしずまり、終わると嵐のような拍手。マイルズ自身、汗と涙を拭っていた。
そんな話も、たぶんシンディ自身、伝え聞いていたにちがいない。その記憶が背後にあって、この曲とハワイがむすびついたと考えるのは、まったくむりじゃない。
こうして不思議なむすびつきがどんどん発展してゆくのが、ポップ・ミュージックの歴史。生物の進化におけるウイルスの平行移動にも似て。おもしろいことだ。