Monday 29 September 2008

ロティが見たモアイたちが『砂漠論』を見ている、のを見ている

春にラパ・ヌイ(イースター島)でぼくがいたずらで撮ってきた写真が、フランス文学者・工藤庸子さんのブログにアップされた。

http://www.campus.u-air.ac.jp/~kudo/

あの人気作家ピエール・ロティが若いころこの島を訪れているのは、驚異。何しろ19世紀後半の話、果てしない時間がかかったにちがいない。でも、たぶんそのころすでに、タヒチとのあいだの航路は確立されていたのだろう。現在の航空路は、それをなぞっているにすぎないのかも。

植民地主義を支える精神の態度に誰よりも意識的な文学者である工藤さん、ロティについてのモノグラフを準備していらっしゃるようだ。これは楽しみ! ぼくはぼくでやりたい仕事はたくさんあるが、ゴーギャンのお墓参りもそのひとつ。

けれどもすでに過ぎ去った大観光時代の延長のような行動をいつまでもくりかえしたくもない。けれども、それでも、いくつか見届け空気を味わい音を聞いてみたい場所がある。

そんな場所が99あるとして、そのうちの9つを選んで3年にいちど、旅をする(いろいろあきらめて)。そうすれば今後の27年で、地球の一角を垣間見ることができるのかも。2035年。それとも、そんな気楽な観光旅行の日々は、それよりもずっと早く終わりを告げるだろうか。

2035年には、地球の人口は予測ではいまよりも20億人増えているらしい。もうけっして増えないのはモアイの数。かれらはひたすら摩滅してゆく。ごくろうさま、といいたい。