Sunday, 14 September 2008

サローヤンの贈り物

アジア系アメリカ文学研究会にお招きいただいて、「サローヤンの贈り物」と題する講演を行なった。神田の学士会館にて。

アルメニア系のサローヤン、そして彼から一貫して励まされてきた日系のトシオ・モリという、ふたりのカリフォルニア作家の短篇を3つずつ選び、そこに共通する気分・思想・希望について話してみた。

それから最後に、サローヤン一家のアメリカ移住の背後にあるトルコ領内でのアルメニア人大虐殺と、それを直接に扱ったアルメニア系カナダ人の映画監督アトム・エゴヤンの『アララト』にふれる。

準備が遅れてしまい、明け方までかかったのでかなり不安だったが、きわめて反応のいい聴衆のみなさんに助けられて、なんとか話を終えることができた。ディスカッションも時間を30分延長して、大変に活発で、内容があるものとなった。

去年から、サローヤンの生誕100年にあたって何かできないかと思っていたが、これでその希望は達せられた。目的はただひとつ、彼に対する感謝のため。絶対に届くことのない感謝だが、感謝であることに変わりはない。

サローヤンとモリのいくつかの短篇をじっくりと読み直し、また大きな何かを贈られた気持ち。機会を与えていただいたアジア系アメリカ文学研究会のみなさん、ありがとうございました!