台風が接近する中、細川周平さんの日系ブラジル研究第3弾『遠きにありてつくるもの』(みすず書房)の出版記念イベント。新宿のジュンク堂で。
ぼくはもっぱら進行役を務める。聴衆のみなさんからの質問も多くて、充実した会になったと思う。「日系」の心を語るというむずかしく繊細な仕事に、細心の注意をもってとりくんだ細川さんの「やる気」に、大いに触発された。
ぼく自身は、ブラジルについても、日系についても、何も語る資格がない。けれどもそんな主題をまるで想像できないわけでもなく、またこうした「想像可能性」をはじめから捨ててしまえば、世界はいかにも味気ない場所になってしまう。
ともあれ、悪天候をついてお出かけいただいたみなさん、ありがとうございました。日本とブラジルという対蹠点の国が独特の仕方で出会って、百年。その歴史をいろいろなかたちで共有することは、日ごろブラジルにまるで無縁な人にだって意味のあることにちがいない。
そういえば、むかし、20数年前にたわむれに作った前衛(?)俳句を思い出した。
細心周到 細胞周期 細川周平