近くの多摩川べりで灯籠流しがあったので、夕暮れどきに犬の散歩がてら行ってみた。
地元のいくつかのお寺が宗派を超えてやっているらしい。暗くなったところで読経がはじまる。
一心敬礼十方法界常住仏
一心敬礼十方法界常住法
一心敬礼十方法界常住僧
ぼくは仏教系の学校に行っていたので、耳に親しい言葉。もっとも、われわれは音楽家だった校長の作曲にしたがって、この文句を文字通り、歌っていた。
やがて川面の舟から、火をともした灯籠がそっと送り出される。火の群れが水の上を滑って、すばらしい美しさ。ちょうど夏の終わり、何かを「送る」には、この上なくふさわしい儀礼だった。