Monday, 14 July 2008

郡上節、中世イベリア半島の響き

不思議なもので、ある人やグループの音楽は、あるときそればかり聴き、それから何年も遠ざかったりする。で、ときどき帰ってくる。むこうから。うれしいことだ。

こないだ授業でデレク・アンド・ザ・ドミノス、アマドゥとマリアムに続いて使ったのがラディオ・タリファ。スペインの中世音楽のバンド、古い楽器を使ってたとえば15世紀のセファルディ(追放ユダヤ人)の音楽などをやっている。でも感覚はきわめてポップで斬新。

1999年12月に札幌大学で講演をしたのが、じつはぼくが日本の大学で話をした初めての機会だった。思えば、日本語でまとまった聴衆を前に話をしたことは、小学校のとき以来それまでなかった。そのとき使った音楽の組み合わせが、これ。なんとなく気まぐれでひさしぶりにひっぱりだし、歌と話を組み立てたわけ。

大変に新鮮だったが、いまはYouTubeがある。ラディオ・タリファを見てみると、すごい歌を発見!

http://jp.youtube.com/watch?v=uw8Zibak_Lc

そう、民謡の「郡上節」。ここまで中世スペイン風、つまりはアラブ風な節回しだったとは。まったく違和感がない。スペイン語の歌詞も決まってる。

三味線とか琵琶とか、何にせよシルクロード系の楽器だったのかな、もともとは。だとしたら、イベリアから東アジアまで、歌の道は千数百年前からずっと続いていたのかも。

おもしろいなあ。それで真夜中、ちょっとはずれるけれど、しまいこんでいたギターラ・ポルトゥゲーザ(ファドの伴奏に使うポルトガルの12弦ギター)をひっぱりだして遊んでいた。音楽はいい。楽器はいい。へたくそでも振動が癒してくれることは、ゴーシュのセロが教えるとおり。