Friday, 6 June 2008

『やし酒飲み』の帰還

ナイジェリア、ヨルバランド(ヨルバ人の土地)出身の大作家エイモス・チュツオーラ。彼の代表作『やし酒飲み』(1952年)が、このたび河出書房の「世界文学全集」におさめられ、イサク・ディネセンの『アフリカの日々』とともに一巻をなすかたちで刊行された。

土屋哲さんによる名訳。土屋先生が亡くなったため、今回はぼくが解説を書かせていただいた。いま読んでもほんとうにおもしろい、わくわくする、爆笑できる、奇怪な傑作だ。

帯のカマンテ・ガトゥラの絵が、またいい。

ちなみに土屋さんは日本におけるアフリカ文学研究の先駆者で、長らく明治で教えていた。セネガルの初代大統領で大詩人のサンゴールに明治大学が名誉博士号を授与したのも、それを機縁として明治大学図書館にアフリカ文庫ができたのも、氏の尽力による。

アフリカ文庫はじつにすぐれたコレクションなので、駿河台の図書館に行ったときには、ぜひ書庫に入ってみるといいと思います。いろんな発見がきっとあるから。