土曜日、ディジタルコンテンツ学研究会も第7回。ゲストに映画・美術研究の平倉圭さんをお迎えし、現代における、分身やシミュラクルの問題を語っていただいた。中心となったのはスティーヴン・スピルバーグ監督の『マイノリティ・リポート』(2003年)とトニー・スコット監督の『デジャ・ヴュ』(2006年)の分析。現実がいかに映像に蚕食されてゆくかを語る2作品の不気味な魅力を思い知らされた。
特に気に入ったのが、ミシェル・ゴンドリー監督によるカイリー・ミノーグのビデオクリップ、Come into My World。ゴンドリーのEternal Sunshine of the Spotless Mind がぼくは大好きで、毎年、英語の授業で見せている。このクリップは知らなかったが、クレイジーな傑作! 早速買ってきて、毎日観ている。
ご自身もアーティストで映像を使ったインスタレーションを作っている平倉さんの今後に期待したい。平倉さんは、ぼくの若き友人でフランスの作家=詩人=アフリカ研究者ミシェル・レリスの研究者である大原宣久くんの友達でもある。この2人は1977年生まれ。冒険家・写真家の石川直樹さんもそうだ。あるいは明治理工での英語の同僚、謎のアメリカ作家ピンチョンの研究者である波戸岡景太さんも。
そしてわれらがディジタルコンテンツ系の同僚、宮下芳明さんが1976年生まれ。みんなぼくとは20歳近く違うが、最近はこの世代の人たちから受ける刺激がもっとも内実があるような気がする。
40歳を「不惑」とはよくいったもので、40歳を超えると新たな方向を探るよりは、それまでの方向の完成や洗練に目が行くのは避けられないだろう。それに比べて、30代は試みの歳月、実験の年齢。ぜひどんどん新たな地平を広げてください。