Wednesday 29 June 2011

その心の嵐、雨雲のむこうの青空

本日、吉増剛造さんのゲスト講義。44名の聴講者(外部からの参加者はぼくにわかっているだけでも5名)を相手に、昨日アメリカから帰国されたばかりの吉増さんの、しずかな心の嵐が吹き荒れました。

見せていただいたのは、できたばかりの新作、ウォールデン湖をめぐる1本とケープ・コッドをめぐる1本。朔太郎がソローの湖に出会い、ゴッホが鯨の骨格に出会う。吉増さんのヴィジョンがなければありえなかった、この偉大な魂たちの、死後の新たな経験。

他に月山とアイルランドをめぐる2本を見せていただき、ぼくはコンソールで映写を担当しながら、ふるえ、涙にくれました。

『キセキ』の段階から見ても奇跡的なまでに、洗練と強度を加えた作品群です。ひとりでやること、ひとりで行くことを強調されていたお話も、学生たちにまっすぐに届きました。まだ時差ぼけが残っているせいで(?)、そのお話は、ぼくがこれまでにうかがったすべての吉増さんのお話でも、記憶にないくらいの熱さ。

ああ、ほんとうに、はるばる生田まで来ていただけてよかった。百年やっても追いつけない彼の境地ですが、それでも遠くかなたを歩いてゆく吉増さんの姿を見失うことなく、ぼくもぽつぽつと落ちる雨のしずくのようにやっていきたいと思います。

7月末からポレポレ東中野で、吉増さんの全映像作品連続上映が行われます。何度でも徹夜をくりかえそう、今年の夏は。みんな必ず見に行ってください!