どこまでも放浪好きなわが友人、中村和恵さんの待望の新著が出た。題して『地上の飯 皿めぐり航海記』(平凡社)。序にいわく
「全体わたしは湯気好きだ。生まれ変わったら雲なり風呂なり火山池なり、おひつのご飯、せいろの小龍包、なにしろなにか湯気の立つものになりたいとおもう。漱石先生は余も木瓜(ぼけ)になりたいと書いておられるが、わたくしもできれば湯気になりたい」
抱腹絶倒。お勧めします、何度でも! その上、ポストコロニアル文学と称されるものの精髄の部分が、そうとはわからぬかたちであちこちにまぎれこんでいる。文学を研究する人もしない人も、本書に学ぶべし、何事かの奥義を。
あ、ちなみに、世界各地の食べ物についてのエッセー集です。