巧さんは文章の道のマスターのひとり。香港のような都会を描いても、ボルネオの森を語っても、まったくムダのない端正な文章でぐんぐんひきつけてくれます。ふたりでそれぞれの旅のはじまりの地点を語り(巧さんは台北の萬華、ぼくはホノルルのワイキキ)、旅行ライティングの一節をそれぞれに朗読し、ぼくのラパ・ヌイ(イースター島)のスライドショーも見ていただいて、お客さんにもなかなか楽しめる夕べだったのではないかと思います。
マスターといえば、わが師匠のひとりである大竹昭子さんにもいらしていただき、感動しました。物書きはいつも何をどう書けばいいかわからないままに孤独に悩みながらやっているものですが、たまにこうして、そんな悩みを共有し、さらにその先をゆく先達に会うと、ほんとに励まされます。
これでぼくの春の対談シリーズはおしまい。今後は当分、書店イベントはなし。またしばらくはいろいろな文を書くことも最大限切りつめて、とにかく翻訳を進めるつもりです(といって、大竹さんと「絶版本書評」のシリーズをやろうと誓ったばかり。これはなんとかやりたい)。
今回もお世話になった、寺島さんをはじめとするABCのみなさん、ありがとうございました。ほんとうにいい本屋さんです。これからも通います、本を見るため、買うため!