13日の金曜日、政治大学との交流セッション。
ふりしきる雨の中、台北動物園近くのキャンパスにむかう。ジャーナリズム・ビルディングのテレビ・スタジオで、いよいよ共同ワークショップにむけた最初の一歩。
まず、盧老師とぼくが簡単に挨拶したのち、早速、畠中景子のプレゼンテーション。いろいろな人に噛んでもらったグミを「彫刻」として提示する作品に、みんな興味津々。ついで高梨こずえの、ある若い女性同性愛者を追った写真にも、多くの人が強い反応をしめした。
それから発表は台湾側に移り、女性ホルモンを飲み続ける性同一性障害者の男性へのインタビューを中心とするドキュメンタリー・フィルム。主題として高梨の写真とみごとにつながった。台湾側は、今年スタートしたばかりのディジタルコンテンツ修士課程1年生が主体で、プログラムの大きさがほぼおなじなのも好都合(ただし設備・資金力などはむこうが比べ物にならないほど上)。
来春までに、まずは共同のウェブサイトを運営しつつ、双方からたとえば2名ずつのチームを作り、ディジタルストーリーテリング、ドキュメンタリー制作などにとりくみたい。
午後はみんなでマイクロバスに乗って故宮博物館に。おそるべきゆたかさ。ぼくは特に書の世界に見とれる。それから台北市庁舎にゆき、360度スクリーンに上映される台北市紹介ビデオを2本(15分程度のもの)。これはいずれも盧老師が制作に関わっていて、みごとなできばえ。
最後に市庁舎内の中華料理店での晩餐に招待していただいた。あまりに完璧なホスピタリティに感動。しかし重ねられる杯(38度のコーリャン酒!)に、こっちはとてもついてゆけず、なんとも情けない。ナボコフを専攻している英文学者の女性が、顔色ひとつ変えず次々に乾杯を(文字通りに)実行するのを見て、畏敬の念に打たれた。
とにかく先生方も学生のみんなも、温かく、こまやか。今後も、親しく友人としてつきあってゆきたい人ばかりだ。来年は、どんな展開を見せるか? ぜひ政治大学側の学生にも(特に助手のヴィクターたちには)東京に遊びにきてほしい。
ぼくの個人的プロジェクトとしては、淡水河と多摩川の河口部汽水域の比較研究がある。Estuaries... いつかは、かたちにしたい。
共同ワークショップとは別に、台北に新たにオープンするメディアアートセンターでの展示も可能性がある。われらが宮下さんの作品なども、ぜひそこで。