Tuesday, 25 August 2026

「みんなの夏」(2026年7月12日)

 ワークショップ参加者のみなさんが書いた3行詩の中から、ぼくが「これは使える」と思ったイメージを勝手に選び、それを変形させ、並べ替えた20行の作品です。読んでみてください。

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みんなの夏 2026712日の思い出

 

頭の中でラジオ体操をしながら階段のスロープを降りていった

そうめんのおつゆが足りないので赤玉ポートワインで食べる

停電中のキューバのホテルで朝顔がぐんぐん育った

おばあちゃんの家で川祭りをしていると必ず獺が集まってくる

プロペラ機のエンジン音が雨上がりのアスファルトに映った

庭の土を掘ってゆくうち子供時代の自分に出会うのがうれしい

ひとりひとりの頭の上で青空が平等に切り取られた

山を走る、心拍数が上がる、呼吸が上がる、胸がいっぱいになる

泳げないぼくのプールにカブトムシがしずかに着水した

誰もいない夜の温泉では桃が魂のように浮かんでいる

 

庭仕事でかいた汗が蟻にとっての試練の濁流となった

カセットテープを長崎で落とし広島でそれを拾う

雲の観察日記はいつも一日で消えてふりだしに戻った

なまあたたかさの経験が夏の本質ならそれはそれで過ごしやすい

塾という苦しみを逃れるためときどき水たまりでわざと転んだ

ヘッドライトというが道を照らすのかな頭の中を照らすのかな

「ゆかたのきみはすすきのかんざし」とは夢と悪夢の中間だった

カラフルな貝によろこんだが身がすべてプラスティックでできている

冷たい湖の水で泳ぐと体がどんどん青く染まった

入道雲がわくわくと育ち夕立がにぎやかに心を洗ってくれる

 

[ワークショップ参加者のみなさんの3行詩から出発して管啓次郎が書きました]