Wednesday, 26 August 2026

Crossing Lines (2026.5.20)

 石田瑞穂さんが主宰する詩のサイト Crossing Lines に作品を掲載していただきました。「台東/屏東ラプソディ」、日英バイリンガルです。3月の台湾南部の旅が生んだ詩。読んでみてください。

https://crossinglines.xyz/area/tokyo/81hjk/

朝日新聞「うたをつないで」まとめ

 朝日新聞の夕刊に毎月1回、大岡信賞の選者5名によるリレー・エッセーが掲載されています。題して「うたをつないで」。詩と歌の連続体に誰よりもひろく感応しつづけた大岡信さんの想像力に敬意を表しつつ。

これまでにぼくが書いた回をまとめておきます。タイトルは編集部によるもの。

2023.09.06. 「避けられない、時空への旅」

2024.02.07. 「片隅の命思う、一茶の視線」

2024.08.07. 「蔵王の山、茂吉のけだもの」

2025.01.08. 「生活と続く詩=歌、ぼくらにも」

2025.07.02.「私を超えた生命の救済」

2025.12.03 「音を、声を、踊りを、土地に返す」

2026.06.03. 「ブナ林で地衣類に学ぶ」

各回とも、やはり選考委員のひとりであるやなぎみわさんが、すばらしい挿絵をつけてくださいます。検索で読める文も多いので、ぜひごらんください。



Tuesday, 25 August 2026

隣町珈琲での環境人文学イベント(2026.7.10)

 中延の名店・隣町珈琲で、結城正美さん(青山学院大学=環境文学)、奥野克巳さん(立教大学=人類学)とぼく(明治大学=比較詩学)の鼎談イベントを開催しました。題して「環境人文学をヒントに考える<人間>とは何か?」。結城さんが編集された画期的な論集『モア・ザン・ヒューマンの物語 環境人文学10のシークエンス』(ミネルヴァ書房、2025年)の関連イベントです。

同書の冒頭にあるのが2023年12月22日に青山学院で行った、この三人の鼎談記録「環境人文学の冒険」で、今回はいわばその続編。2024年度に開設した青学〜立教〜明治の3大学院による「環境人文学共同プログラム」(3つの大学院で授業をとり、修士課程修了時にはプログラム修了の証書がもらえる)の初の修了生が2026年3月に修士号を取得したこともあり、この分野をさらに育ててゆくにはどうすればいいかの意見交換会でもありました。

多くのお客さまに来ていただき、またオンラインでもいくつもの質問をいただき、よい議論ができたと思います。特に、オンラインできわめて的確に問題点を整理してくださった本橋哲也さん(イギリス演劇)、ありがとうございました!

人文系諸分野を統合しつつ、地球における生命のあり方、ヒト社会の生き方を考えるこの分野。その重要性はこれからいっそう明らかになっていくでしょうし、それは大学の制度そのものに見直しを迫るものになるかもしれません。ぜひ注目をおねがいします。

「みんなの夏」(2026年7月12日)

 ワークショップ参加者のみなさんが書いた3行詩の中から、ぼくが「これは使える」と思ったイメージを勝手に選び、それを変形させ、並べ替えた20行の作品です。読んでみてください。

********

みんなの夏 2026712日の思い出

 

頭の中でラジオ体操をしながら階段のスロープを降りていった

そうめんのおつゆが足りないので赤玉ポートワインで食べる

停電中のキューバのホテルで朝顔がぐんぐん育った

おばあちゃんの家で川祭りをしていると必ず獺が集まってくる

プロペラ機のエンジン音が雨上がりのアスファルトに映った

庭の土を掘ってゆくうち子供時代の自分に出会うのがうれしい

ひとりひとりの頭の上で青空が平等に切り取られた

山を走る、心拍数が上がる、呼吸が上がる、胸がいっぱいになる

泳げないぼくのプールにカブトムシがしずかに着水した

誰もいない夜の温泉では桃が魂のように浮かんでいる

 

庭仕事でかいた汗が蟻にとっての試練の濁流となった

カセットテープを長崎で落とし広島でそれを拾う

雲の観察日記はいつも一日で消えてふりだしに戻った

なまあたたかさの経験が夏の本質ならそれはそれで過ごしやすい

塾という苦しみを逃れるためときどき水たまりでわざと転んだ

ヘッドライトというが道を照らすのかな頭の中を照らすのかな

「ゆかたのきみはすすきのかんざし」とは夢と悪夢の中間だった

カラフルな貝によろこんだが身がすべてプラスティックでできている

冷たい湖の水で泳ぐと体がどんどん青く染まった

入道雲がわくわくと育ち夕立がにぎやかに心を洗ってくれる

 

[ワークショップ参加者のみなさんの3行詩から出発して管啓次郎が書きました]

 

Storytellers' Summer Camp

 7月12日(日)、明治大学アカデミーコモンにて Storytellers' Summer Campと題する創作ワークショップを開催しました。総合芸術系の教員3名、受講者は一般募集した10名のみなさん(中学生から60代まで)です。最初にイントロとして同僚の山本洋平さん(アメリカ文学)がみなさんにstoryとhistoryのちがいを考えてもらうという、頭の体操。ついでやはり同僚でコミックアーティストの原瑠美さんの指導のもと、全員が4コマで自己紹介のためのコミック作成。それからぼくが引き継ぎ、3人ずつのグループに分かれての話し合いと詩の創作。休憩のあと、いよいよ各自の作品制作へ。ひとりの人は漫画(原さん考案の「コミ句」という3コマ漫画)、他のみなさんはフィクションなのかノンフィクションなのかわからない散文作品を書き、最後は全員の発表会でした。

大変に楽しく実りの多い午後になりました。この公開ワークショップ、10月に開催される大学院生の国際ワークショップ ImaginAsia 2026 のためのファンドレイザー(資金集め)イベントでもあります。今回、みなさまからいただいた参加費は、すべてそのまま秋のための資金にくりこまれます。

また企画します。そのときはぜひ参加してください!

「文藝別冊 宮沢賢治」

 賢治さんの生誕130年を記念した「文藝」の別冊が発売されました。もともと2013年に出たものに、エッセイストの笠間直穂子さんらの新原稿5本を加えた「増補版」です。2013年の元の版に際して古川日出男さんとぼくが行った対談も、そのまま残っています。12年ぶりに読み直して、ああ、あのころはこういうことを考えていたのか、と忘れていたことをいろいろ思い出しました。われわれの対談はいうまでもなく朗読劇「銀河鉄道の夜」をめぐるものですが、同時に、当時の空気もたしかに記録されているというか。興味があったらぜひ読んでみてください。

「顕微望遠 土地と記憶II」

 うちの研究室の修了生・中野行準くんが編集するZINE「顕微望遠」の2号が出ました。特集(?)タイトルは「土地の記憶 II」。ぼくは「弥勒の夏」という詩を寄稿しました。中野くんは台湾・新竹在住。寄稿者は作家の林真、写真家の顧夢、キュレーターの金秋雨、パフォーマーの田辺裕子といったみなさんで、大変に読み応えがあります。読みたい人は研究室に寄ってくれれば進呈します!

Saturday, 22 August 2026

「ユリイカ」2026年6月臨時増刊号

 今年は中上健次の生誕80年。雑誌「ユリイカ」がそれを記念して、この5月に大変に充実した臨時増刊号を出しました。現在の中上研究をリードする渡邊英理さん、かつてもっとも早い時期に圧倒的な中上論を著した四方田犬彦さんをはじめ、きわめて充実した内容。ぼくは「中上健次と生命」という文章を寄稿しました。ぼくとしてはひさびさの「文学批評」です。ご興味あれば読んでみてください。

「ザ・朗読 夏の夜のオーロラ」(2026.7.24)

 7月24日、青山学院から首都高へと下っていったところにあるライヴハウス「ロフト・ヘヴン」で、表題の朗読イベントを開催しました。文化人類学者で詩人の川瀬慈、小説家・詩人・パフォーマーのドリアン助川のおふたりとぼくという、3人の野蛮人によるソロ朗読だけのイベントです。

最初に川瀬さんが、ご自分のフィールドであるエチオピアを題材にして書かれたいくつかの詩と散文、それからぼくが新刊詩集『図書館詩集』からの長めの詩を含むあれこれ。それぞれおよそ30分ずつ。休憩を挟んでこの夜のトリはドリアンさんの新著『ナイス実存』からの作品。圧倒的なパフォーマンスが、最後は太陽の歌声のようなカンツォーネで締めくくられました。

おっさん3人の朗読にお客が来るんだろうかと危ぶんでいたものの、蓋を開けてみると満席。ご来場いただき、熱心に耳を傾けてくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。

この晩のぼくのセットリストを下に記しておきます。この3月に亡くなったデザイナー・祖父江慎さんが装丁してくれた(そして昨年、フェリシモの「復刊リクエスト」によりみごとに復刊が実現した)詩集『数と夕方』からの2片を読むことができたのが、ささやかながら、ぼくからの異界の彼への感謝のメッセージ。川瀬さん、ドリアンさんとの「ザ・朗読」シリーズは、これからも日本各地でつづけてゆくつもりです!


『Agend'Ars (Complete)』(2025)から
 44 宝石の内部の光を見ることはできない
 80 「ぼくは自分の声に飽きた」
 81  私たちの目が光の受容器なら
 181 歩きながら泳ぐような動作で
『数と夕方』(2016)から
  アムステルダム
   シアトル
『PARADISE TEMPLE』((2021)から
 「地形と気象」最初の4片
  「刹那」とは遠い古代の
  白い道を歩くうちに白い街に出た
  季節と空が逆転する草原は
  「いちめんのなのはな」が海辺をみたし
『図書館詩集』(2026)から
 2 犬よ吠えろ
『Agend'Ars (Complete)』から
 222 カワセミの青が水面を低く掠めてきらめいた

「大江満雄メモ」(2025.4.10)

昨年の4月に書いた文です、書肆侃侃房刊の『大江満雄セレクション』の書評として、同社のNOTEに寄稿したもの。実践批評(実際にある作品を対象として作品そのものを論じる)試みの例ですが、それまで知らなかった詩人の言葉に虚心にむきあう、得難い機会となりました。まずはこの書評を、そして同書を、ぜひ読んでみてください。

https://note.com/kankanbou_e/n/n4672d8438998

Wednesday, 19 August 2026

『図書館詩集』刊行!

 ぼくの第十詩集にあたる『図書館詩集』が7月30日に刊行されました。版元は書肆リヴェルリ。長らく左右社の編集者だった東辻浩太郎さんが独立してはじめた新しい出版社の最初の本です。

各地の図書館で滞在制作するシリーズ、もとはウェブマガジン「水牛」に2022年11月から2023年10月にかけて連載していただいたもの。こうしてかたちになったものを通読すると、それぞれの土地で発生し、流れては消える言語の霧の運動のようなものが見えてきて、まるで他人の作品のようにおもしろい。主題は意識の旅。それ以外にはありません。

秋にはいくつか朗読イベントを開催したいと思っています。ぜひ読んでみてください。

北方民族博物館にて

 8月1日、網走の北方民族博物館で「北をめぐる語りと朗読 旅する詩人たちの北極圏」と題したイベントに出演しました。小島敬太くんとぼくが『サーミランドの宮沢賢治』(白水社)のもとになった旅をふりかえり、ついで札幌やモスクワで育った比較文学者の中村和恵さんがご自分にとっての「北」を語るという、おもしろい内容。

翌日には女満別駅近くのカフェ Sunto Saule で、その別ヴァージョンともいえる朗読とお話の会「夏の湖畔の歌語り 旅する詩人たちの朗読と演奏」を。こちらには地元の詩人しまちちさんも参加し、少人数ながらよいイベントになりました。ご来場いただいたみなさま、お世話になったみなさま、ありがとうございました! 2回のイベントのタイトルはいずれも中村和恵さん発案。道東は最高です。いつかオホーツクの沿岸で暮らしたい。

『イメージ論の冒険者たち』に寄稿

 Blogger を長いあいだサボっているうちに、自分の活動記録もわからなくなってきた。これから少しずつ埋めていきます。

前川修・佐藤守弘・増田展大編『イメージ論の冒険者たち』(東京大学出版会)にスーザン・ソンタグ論を寄稿しました。特に新しいことが書けたわけではありませんが、逆に彼女の写真論のまったく古びない部分を明るみに出すことはできたのでは。

この論集、きわめて充実した良い企画です。イメージ論関係の授業では必携となるでしょう。