その大会が終わって、つづく9月2日と3日は、会員有志14名による南相馬への旅となりました。いまこの土地でフロッタージュ制作プロジェクトを進行中の岡部昌生さんの作品を拝見し、ついで津波によって「浦」に戻った地帯を見学しながらフロッタージュ作品の制作体験。陸地に打ち上げられたテトラポッドにつく小さなふじつぼたちの生命に、ふるえるような感動を覚えました。
ついで翌日は、やはり津波のあとの生態系の変化を、自然部門の学芸員の方のご案内によって見てまわりました。それから海岸にあった海水浴場が受けた破壊の大きさ、重さに、ずしんと強い衝撃を受けました。ついで最後に世界に誇れる南相馬市立中央図書館見学。多くのことを次々と考えさせられる、充実の小さな旅でした。
この企画は、南相馬市立博物館および福島県立博物館、そして南相馬市立中央図書館の全面的なご協力によって可能になったものです。当日もずっとおつきあいいただいた博物館スタッフのみなさま、ほんとうにありがとうございました。
そして岡部さんのアーティストとしての偉大さを、改めて痛感する機会にもなりました。指先の感触を認識の道具とし、世界をそのままに擦り取る。大きな破壊をこうむった土地で、具体的な希望への感触を強烈にしめしてくれる、すばらしい作品群でした。これからも、その制作はつづきます。岡部さんが着実に、まさに全身全霊をこめて残してゆく痕跡を、じっと見てゆきたいと思います。