20日(土曜日)、第6回DC研を生田キャンパス中央校舎6階のスタジオ教室で行った。以前、授業にも使ったことがあるが、本格的な防音設備のある、すばらしい部屋だ。ここで美術家=写真家の吉原悠博さんのいくつかの映像作品を見せていただいた。
吉原さんは新潟県新発田市の吉原写真館の6代目。東京芸大油絵科卒のアーティストで、ニューヨークでオペラ作品の美術を担当するなど、国際的に活躍してきた人だ。その彼が、ふとしたきっかけで故郷の写真館を継ぐ決意をし、同時に新発田市でのさまざまな地域活性化の活動に手を染めることになった。
今年、雑誌「風の旅人」が「吉原家の130年」という特集を組んだ。新発田の大火を辛くも逃れた吉原写真館の乾板から、画像がよみがえり、歴史が回帰する。「ナルミ」という女性(吉原さんのおおおばさまにあたる)の生涯をまとめたものをはじめ、1世紀以上におよぶ写真を構成した作品を、いくつか見せていただいた。言葉にならない衝撃。音楽は坂本龍一さん。
さらに吉原さんの最近作の一つとして見せていただいた、新川を題材にした作品にも大きな興味を覚えた。
http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~ni-art07/
まさに「潟」でありしばしば洪水に悩まされてきた新潟にとって、治水は最大の課題。そのために作られた人工の川を上流から海まで旅するこの短い作品に、土地の特性ととことんつきあって生きてゆかなくてはならない人間の暮らしへの、新たなまなざしを学んだと思う。
吉原さんが長い放浪ののちに新たに根付こうとしている新発田との協同を、これからわれわれも探っていきたい。日本は地方都市がおもしろい。だが、孤立した試みでは、おもしろくない。本当におもしろくなるのは、遠い土地の無根拠な連結に成功したときなのだ。
ついで21日(日曜日)、学生部主催のM-Naviプログラムの「農業体験」で、生田キャンパスの隠れた姿を知った。キャンパス南端に位置する農学部の農場からは、新宿副都心の高層ビルがよく見える。ここにこれだけの本格的な実験農場があるとは、誰が思っただろうか。ぼくも明治勤務8年目にして、初めて訪れた場所だ。
最初はらっきょう畑での雑草取り。らっきょうの前に作付けしていたジャガイモが、5ミリくらいの白い粒をつけている。ジャガイモが茎の一部だと、知っていましたか? これに対し、サツマイモは根の一部だそうだ。農学部の先生たちからいろいろ教わりつつ、作業にいそしむ。雲一つない快晴。
それから里芋を堀り、サツマイモを掘り、レタスを収穫。ちょっとだけ遅めの昼食はたっぷりのラム肉と新鮮な野菜のジンギスカン鍋。明治の全学部からの30数名の参加者で、すばらしい日曜日を過ごすことができた。他学部の学生諸君とのふれあいは、ぼくにとっても貴重な機会だった。
残念なことに、理工学部の参加者は1名のみ。これはもったいない。来年は、この農業実習で、ぜひ汗を流してほしいと思う。おみやげもすごいよ。5キロにも及ぶ、おいもと野菜だ。