Friday, 27 May 2016

『ヴァルター・ベンヤミンの墓標』

報告を忘れていましたが、コロンビア大学の人類学者マイケル・タウシグの著書『ヴァルター・ベンヤミンの墓標』(水声社)刊行を記念して、5月17日(火)に池袋ジュンク堂本店にて、訳者のひとり金子遊さんとの対談を行いました。

ミック・タウシグは、ぼくがいちばん親近感を覚えてきた人類学者。きわめて鋭いエッセイストで、精神的には両大戦間フランスのコレージュ・ド・ソシオロジー系の思想家たち(バタイユ、レリス、そしてベンヤミンもそこに関わっていた)に近い位置から、広範な文化批評を書いています。中欧系ユダヤ家庭を背景にもつオーストラリア人。

この晩は、満員。実際にタウシグの授業に出ていた前嵩西一馬さん(文化人類学)、柳原孝敦さん(ラテンアメリカ文学)、中村隆之さん(フランス語圏カリブ海文学)なども発言してくれて、思い出に残る集いとなりました。

同時に、いつかはタウシグ論を書かなくては、という気持ちにもなりました。ちょっとまとまった長さで。今年の後半で、それができれば、と思います。そして遠からずまたニューヨークに行き、彼にインタビューしたいと思ってます。

Tuesday, 24 May 2016

5月28日は下北沢に!

その刊行記念イベントを、28日(土)に下北沢のB&Bで開催します。ぼくと宮地尚子さん(精神科医、文化精神医学)の対談です。

http://bookandbeer.com/event/20160528_lemoncake/

2006年にエイミーが来日したとき、宮地さんにも会っていただき、また「すばる」での小特集にはエッセーを書いていただきました。

父親と姉が精神科医という、ある意味、典型的なユダヤ系インテリ家庭に育ったエイミーの世界に、ぼくとは別の角度から光を当ててくれることでしょう。ぜひ、いらしてください! そしてこの日、新刊書をお買い求めください。

エイミー・ベンダーの長篇

カリフォルニアの人気作家エイミー・ベンダーの長篇第2作『レモンケーキの独特なさびしさ』の翻訳が、28日に出版されます(KADOKAWA)。本当なら6年前の2010年、原著とほぼ同時に出すつもりだったのですが、2011年3月11日以後の日々、いろいろな予定がすっかり狂ってしまい、なかなか完成させられずにいました。

ロス・アンジェルスを舞台とする、少女ローズとその兄の成長の物語。というといかにもありきたりに聞こえますが、エイミーならではの知的なユーモアとさびしさ、冷徹な分析と抑制のきいた激情が、独特な世界へ誘ってくれます。

ぜひ、読んでみてください。

Tuesday, 10 May 2016

ニューヨークで

コロンビア大学に裏千家が寄付した基金により毎年開催されるのが「セン・レクチャー」。これまでに武満徹、司馬遼太郎、瀬戸内寂聴、桐野夏生といった人たちが招かれてきたこの一般向けの講演を、今年はぼくが担当しました。

http://www.keenecenter.org/download_files/2016_sen_lecture_waves.jpg

"Invisible Waves: Japanese Artists After March 11, 2011"と題する英語講演。大体自作朗読が40パーセント、アーティストたちの活動紹介が60パーセントで、とりあげたのは畠山直哉(写真)、高山明(演劇)、片桐功敦(華道)、岡部昌生(美術)のみなさん。この5年間のかれらの心をなぞるようにして、言葉を組み立てていきました。4月28日(木)、バーナード・カレッジのレーマン講堂にて。

ぼくは話を長い詩「かかしの神」の朗読でしめくくり、そのまま今年の3月に完成したばかりの短編ドキュメンタリー『水の記憶、土の記憶』(監督・古木洋平、制作・赤阪友昭、脚本・管啓次郎)を上映。さいわい、非常にいい反応を得ることができました。

ついで5月2日(月)には、日本におけるアート、パフォーマンス、社会詩学を主題とするシンポジウムが開催され、そこでは高山明さんのアーティスト・トークにつづいて、彼とぼくの公開対話を行いました。当然ながら、焦点となるのは「東京へテロトピア」。演劇、パフォーマンス研究者が集まり、小規模だけれど熱気のある、充実した会でした。

さらにニューヨーク市を離れて、鉄道で5時間半、ニューヨーク州中部のユティカの町へ。 5月5日にはハミルトン・カレッジでゲスト授業と講演を行い、この美しい小さなキャンパスで、楽しいひとときを過ごすことができました。

コロンビア大学にお招きくださったマリリン・アイヴィー教授(文化人類学)、ハミルトン・カレッジにお呼びいただいた大森恭子教授(比較文学)、そしてお世話になったみなさんに、心からお礼を申し上げます。

Wednesday, 13 April 2016

4月23日は下北沢に

チェルノブイリの原発事故から30年。福島の事故後の日々、その教訓は生かされたのでしょうか。現在の視点からチェルノブイリと福島をむすんで考える夕べを企画しました。歴史社会学者の山内明美さん、ロシア・ポーランド文学者の沼野充義さんとの鼎談です。下北沢の本屋B&Bにて。ぜひいらしてください!

http://bookandbeer.com/event/20160423_chernobyl/


 

Thursday, 7 April 2016

ル・クレジオ『ラガ』

フランスのノーベル賞作家J.M.G.ル・クレジオによるヴァヌアツ旅行記『ラガ 見えない大陸への接近』の、ぼくによる翻訳が刊行されました。岩波書店より。彼の著作の中では、アメリカ先住民論である『歌の祭り』の延長上に位置する作品です。ぜひごらんください!

Wednesday, 6 April 2016

シアトルで

日本では年度の変わり目ですが、アメリカは学会シーズン。シアトルで開催されたAmerican Society for Environmental History の年次大会に参加しました。

ぼくは友人のアレックスが組織したセッション Post-Fukushima: Embedded Bodies in National Landscapes で発表。このセッション、以下の顔ぶれでした。

Chair and commentator: Julia Adeney Thomas (U of Notre Dame)

Alexander R. Bay (Chapman U) "Radiation Exposure and the Construction of gnorance in Fukushima"

Keijiro Suga (Meiji U) "On the Milky Way Railroad and Other Works after March 11, 2011"

William Johnston (Wesleyan U) "A Body in Fukushima"

ぼくは結局、3月に完成したばかりの古木洋平監督、赤阪友昭プロデュースの南相馬を舞台とする短編ドキュメンタリー『水の記憶、土の記憶』を上映し、言葉の部分を(まだ字幕がないので)同時通訳的にその場でナレーション。そしてわれわれの現在進行中のリワイルディング・プロジェクトとの関係を簡単に話しました。

聴衆は20人ほどでしたが、いずれも環境研究者、歴史学者ばかりで、反応は上々。古木さんのシネマトグラフィーの美しさにも感嘆の声がありました。この作品、まもなく英語版を準備する予定です。