コロンビア大学に裏千家が寄付した基金により毎年開催されるのが「セン・レクチャー」。これまでに武満徹、司馬遼太郎、瀬戸内寂聴、桐野夏生といった人たちが招かれてきたこの一般向けの講演を、今年はぼくが担当しました。
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"Invisible Waves: Japanese Artists After March 11, 2011"と題する英語講演。大体自作朗読が40パーセント、アーティストたちの活動紹介が60パーセントで、とりあげたのは畠山直哉(写真)、高山明(演劇)、片桐功敦(華道)、岡部昌生(美術)のみなさん。この5年間のかれらの心をなぞるようにして、言葉を組み立てていきました。4月28日(木)、バーナード・カレッジのレーマン講堂にて。
ぼくは話を長い詩「かかしの神」の朗読でしめくくり、そのまま今年の3月に完成したばかりの短編ドキュメンタリー『水の記憶、土の記憶』(監督・古木洋平、制作・赤阪友昭、脚本・管啓次郎)を上映。さいわい、非常にいい反応を得ることができました。
ついで5月2日(月)には、日本におけるアート、パフォーマンス、社会詩学を主題とするシンポジウムが開催され、そこでは高山明さんのアーティスト・トークにつづいて、彼とぼくの公開対話を行いました。当然ながら、焦点となるのは「東京へテロトピア」。演劇、パフォーマンス研究者が集まり、小規模だけれど熱気のある、充実した会でした。
さらにニューヨーク市を離れて、鉄道で5時間半、ニューヨーク州中部のユティカの町へ。 5月5日にはハミルトン・カレッジでゲスト授業と講演を行い、この美しい小さなキャンパスで、楽しいひとときを過ごすことができました。
コロンビア大学にお招きくださったマリリン・アイヴィー教授(文化人類学)、ハミルトン・カレッジにお呼びいただいた大森恭子教授(比較文学)、そしてお世話になったみなさんに、心からお礼を申し上げます。