11月20〜24日、コスタリカ大学で開催された国際学会ALADAA 2023 (Asociación Latinoamericana de Estudios de Asia y Africa) に参加しました。ぼくの発表はLas formas de la vide y de la muerte en poesía japonesa contemporáneaという題で、東日本大震災から10年を経た2021年に書いたいくつかの詩をスペイン語に訳し、その朗読をおりこみながら水際で生きることの意味を探るものでした。質疑応答でこみいった話になるとスペイン語ではもたず英語で話すことを許してもらいました。これは修行不足。これからさらに訓練を重ねようと思います。
Sunday, 3 December 2023
Thursday, 30 November 2023
Wednesday, 8 November 2023
On Ohkojima Maki
シアトルのワシントン大学は、わが母校。6日(月)、ここで講演を行いました。題してDeath is Life is Death is Life: Eco-critical Consciousness in the Art of Ohkojima Maki. 大小島真木さんの神話的世界を、エコロジー的視点から考える試みです。
ミネソタから来るとシアトルは暖かく、キャンパスの美しさは30年前から変わらず。いくつか新しい建物がふえて、特に人類学博物館Burke Museumが文化・自然史・考古学の3つのフロアからなるまったく新しく魅力的な場所に生まれ変わっていました。
1972年の夏休み、初めてアメリカに来て初めて泊まったのが、ここワシントン大学の学生寮でした。半世紀以上前のこと。結局、ぼくがもっとも忠実でありつづけた場所だといってもいいかもしれません。
Thursday, 26 October 2023
Translation Made Me
10月23日(月)、ニューヨーク州の名門校 Bard College で 講演を行いました。題して Translation Made Me: What I Learned from Translating Maturana & Varela, Anzaldúa, Glissant, and Many Others.
スペイン語寄りの内容にしたのは、呼んでくれたのがスペイン語詩の研究者 John Burnsさんだったから。実際にはスペイン語文学、日本語文学、翻訳研究などの人々が集まってくれて、充実した集いになりました。60分ほど話してからぼくの自作の詩を英・西・日の3言語で朗読、ついでQ&A。Translation and Translatability という連続講座の一環で、来週は小林エリカさんが来るそうです。
広大な森の中に校舎が点在する、とことんうらやましい環境。キャンパス内にはハンナ・アーレントやフィリップ・ロスのお墓があるのが不思議ですが、死者たちの霊を感じながら学ぶのもいいものです。
再来週はシアトル、わが母校ワシントン大学をひさびさに訪問します!
Sunday, 8 October 2023
Eastern Poetic Impulses
少し前のことになりますが9月22日、滞在中のミネソタ大学で、表記のイベントが開催されました。前半は四元康祐さんとぼくの自作朗読と対話。後半は李琴峰さんの笑いにあふれる自作朗読とケンダル・ハイツマンさんによるその英訳朗読。会場はミネソタ大学の小劇場Best Buy Theaterで、音響・照明・客席配置ともまことに申し分なし。多くのお客さんを集めて、充実した2時間ほどをすごすことができました。
四元さんと李さんは現在、有名なアイオワ大学のインターナショナル・ライターズ・ワークショップに滞在中。来週はぼくがアイオワに遊びに行きます。
今回の企画を立ててくれたChristine Marran(ミネソタ大学)とKendall Heitzman (アイオワ大学)のお二人に、心から感謝します!
Friday, 29 September 2023
書評いくつか
6月16日に出した3冊。刊行から3ヶ月経った秋に、いくつかの場でとりあげていただきました。
Wednesday, 6 September 2023
Monday, 4 September 2023
Sunday, 3 September 2023
静岡へ
8月24日(木)、詩人のさとう三千魚さんの呼びかけで、静岡市のHibari Booksで詩集『一週間、その他の小さな旅』の朗読会を開いていただきました。大変におしゃれな、よい品揃えの本屋さんで、コーヒーもおいしい。店の奥のちょうどいい大きさの空間がイベント会場になります。23名の聴衆のみなさんの参加で、2時間たっぷりぼくの詩を聴いていただくことができました。解説をはさみつつ、詩集全体の6割くらいは読めたと思います。
これでこの夏のイベントはおしまい。いろいろお骨折りいただいたさとうさん、Hibari Booksの大田原さん、近くの水曜文庫の市原さん、そしてご参加のみなさま、ほんとうにありがとうございました!
幕張にて
8月18日(金)、幕張の書店 Lighthouseで『本と貝殻』イベントを開催していただきました。版元であるコトニ社(ひとり出版社)の後藤さんとぼくの対談形式で、この本の背後を語りつくすという試み。現地参加のお客さんは5名でしたが、その物理的距離の近さもあってか、みなさんすごく真剣に話に耳をかたむけ、またそれぞれに関心をもつことについて話してくださいました。冗談ではなく、ぼく自身あまり経験がないくらい充実したイベントになりました。
品揃えのいい、気持ちのいい本屋さんです。レジ脇にさりげなくストラトキャスターがたてかけてあって、ミニアンプもあるライブ仕様(かどうかしらないけど)。また何度でもおじゃましたいところです。店主の関口さん、ありがとうございました!
(ところで幕張駅からLighthouseにむかう途中に、明らかに家族経営のコーヒー豆卸し問屋さんがありました。ここも充実。店頭で非常に安くおいしいコーヒーが飲めるので、おすすめです。)
Sunday, 6 August 2023
国立で
きょうは国立市公民館で「旅と本と詩と」という演題で話しました。お客さんとしてどういう方がいらっしゃるかまったくわからなかったので、話の組み立てに迷いましたが、さいわい料理文化研究家で詩人かつコーヒー・ロースターの小山伸二さんが来てくれたので、急遽、対談相手をおねがいし、彼とのやりとりとぼくの朗読をはさみながら、なめらかに進めることができました。お客さんにとって満足のいく話だったかどうかは、なんとも。
それでもこのようなイベントを開催できるようになっただけでも、COVID-19 状況下とはまるでちがいます。本の世界を励ますには、絶対に必要な機会であり場です。お世話になった公民館の針山さん、井口さん、突然の登壇を快諾してくれた小山さん、ありがとうございました!
Saturday, 5 August 2023
常磐線舞台芸術祭
第1回常磐線舞台芸術祭に参加してきました。われわれの演し物は『ザ・レディオ・ミルキーウェイ』。今年3月にふくしまFMとエムエム岩手の共同特別番組として放送された『ザ・レディオ・ミルキーウェイ』朗読劇「銀河鉄道の夜」を舞台で再現する試みです。レギュラーの4名に加えてアジカンの後藤正文と俳優の北村恵が参加。6人で演じる友情と死と和解の物語でした。
会場は新地町駅前の真新しい観海ホール。8月1日のソワレ、2日のマチネ。大阪や東京、盛岡や鶴岡からもお客さんがいらしてくださり、何人もの方が2回の公演を連続で見てくださいました。ありがとうございました。
主題歌としておなじみの「フォークソング」を、今回は作者の小島ケイタニーラブとゴッチがハーモニーで歌い、いっそうの感動を誘いました。いつかまた上演したい舞台。そう、またいつかどこかでお会いしましょう!
Saturday, 29 July 2023
Geobiography!
われわれは土地において生きるしかない。つまり土地の地学的・地理学的なすべてに、つねに全面的に影響されている。土地の発見の思い出は、人生にちりばめられた輝く瞬間。そんな気持ちで新しいリレー連載を、左右社のサイトではじめました。
https://note.com/sayusha/n/n8f9c09f6b9e5
これから奥野克巳さん(文化人類学)、結城正美さん(環境文学)ら、さまざまな立場からの発見の物語がかたられていくことでしょう。毎月2回程度、更新。青山学院・立教・明治の3大学院で来春から共同運営する、環境人文学プログラムの関連企画です。
Sunday, 23 July 2023
明日は下北沢に!
24日(月)、本屋B&Bにて次のイベントを開催します。
https://bookandbeer.com/event/bb230724a_elemental/
先月発売されたぼくの本『エレメンタル』(左右社)は、すでに入手できなくなっているぼくの古い著書3冊からの選集。『トロピカル・ゴシップ』(青土社、1998)『コヨーテ読書』(青土社、2003)『オムニフォン』(岩波書店、2005)の3冊ですが、収録されているのはぼく自身の30代後半から40代半ばにかけての文章で、文学や人類学にまつわるさまざまな問いを正面から論じたものばかりです。たぶん、日本語世界では類例のない本になっていると思います。
明日は人類学者の奥野克巳さん、環境文学研究の結城正美さんというお二人をお招きして、地球生命の持続という大きな課題に直面するわれわれの現在を語り合う夕べとなることでしょう。
ぜひ、いらしてください!
Friday, 21 July 2023
Thursday, 20 July 2023
「読売新聞」夕刊2023年7月15日
読売新聞夕刊にエッセー「本と詩と貝殻と」を寄稿しました。コトニ社から出版した2冊の姉妹本についての注釈のような内容です。
「ぼくが読売新聞の書評委員を務めたのは10年前のことだが、2年の任期のあいだに書いた48本の書評を含む本をこのたび『本と貝殻』という題名で上梓した。同時に、姉妹本だとただちにわかる装幀で詩集『一週間、その他の小さな旅』も作ってみた。2冊を見れば誰にでも詩と書評がはっきりと地続きの営みだとわかってもらえるだろう。書評とはその本を主題とする詩なのだといってもいい。なぜそんなことを? 理由はただひとつ、本の世界を励ましたいからだ。そして人間の言葉の経験とは、そのおもしろさ、強さ、美しさをつきつめてゆけば必ず詩にゆきつくものだからだ。」
Saturday, 24 June 2023
「毎日新聞」に書評が
本日(2023年6月24日)の「毎日新聞」に『本と貝殻』『一週間、その他の小さな旅』の書評が掲載されました。2冊をまとめて、こまやかな筆致で本質をついた評を書いてくださったのは堀江敏幸さん。ありがとうございました。書評とはお礼をいったりいわれたりするようなものではありませんが、自分の仕事の意味を真剣にうけとめてくれる人がいるのは、このうえなくありがたいことです。
https://mainichi.jp/articles/20230624/ddm/015/070/025000c
まずはこの評を読んでみてください。そしてこの週末は書店にどうぞ!
Monday, 19 June 2023
イベント2つ!
6月16日にコトニ社から、ぼくの本2冊が同時に刊行されました。エッセー集『本と貝殻 書評/読書論』と詩集『一週間、その他の小さな旅』です。刊行記念イベントを2つやりますから、ぜひいらしてください。
まず24日(土)に三軒茶屋の書店Twililightで朗読会。
ついで27日(火)に青山ブックセンター本店で堀江敏幸さんとの対談。
https://aoyamabc.jp/collections/event/products/suga-0627
どちらも絶対におもしろい、よくわかる、ためになる、深い内容のある、2度とない、イベントになるはず。おともだちとお誘い合わせの上、どうぞ。お買い上げの本にはサインなど、よろこんで。
Sunday, 18 June 2023
「日本経済新聞」2023年6月18日
けさの日本経済新聞にエッセーを寄稿しました。題して「チリ、最初の再訪」。39年ぶりのチリ本土への旅です(本土というのはラパヌイには行ったから)。チリ南部森での体験について。ぜひ読んでみてください。
このところ14日に京都芸術大学文明哲学研究所での講演(川瀬慈さんおよび同研究所の大辻都さん、吉岡洋さんと)、15日にCava Booksのイベントで出町座での『エレメンタル』刊行記念鼎談(阪本佳郎さん、川瀬慈さんと)、17日には東京日仏会館で古川日出男+パトリック・オノレ「原作者と翻訳者」という対談の主催と、行事がつづきました。
きょうは日曜日返上でいろいろ作業。16日、ブルームズデイにギネスを飲みそこねた。
Monday, 5 June 2023
TASC Monthly 2023年6月号
公益財団法人たばこ総合研究センター発行の「TASC Monthly」6月号に巻頭随想を寄稿しました。題して「詩をつかまえるために」。TASCとはTobacco Academic Studies Center だそうです。たばこを吸わない私の戯言ですが、よかったら!
Thursday, 1 June 2023
『つむぐとき』公開!
明治大学生田キャンパスの魂ともいえた、いまはなき小さな森。この場所は、はたしてどんな歴史をたどってきたのか。この映像で、ぜひごらんください。中島唱太さん撮影・監督のドローン映像が、森の姿を永遠にとどめてくれました。
https://www.youtube.com/watch?v=ScqUeD6lFGs&t=106s
Sunday, 28 May 2023
「現代詩手帖」2023年6月号
「現代詩手帖」6月号に四元康祐『ダンテ、李白に会う』(思潮社)の書評を書きました。楽しく通読できる訳詩集。こういうのを自分でもやってみたくなります。
Tuesday, 16 May 2023
『一週間、その他の小さな旅』
新聞のために詩を書くのはいい経験だった。それも元旦のための詩を。どうせ書くなら「福島民報」の読者の誰にとっても、楽しく読めて、ちょっと気分が改まる、そんな詩が書けるなら。二〇一八年から五年間にわたってぼくは「福島県文学賞」詩部門の選者を務め、それに付随する仕事のひとつがこの新年のための作品なのだった。本書の冒頭の「一週間」、中ほどにある「犬と詩は」、巻末の「こころ」は、こうして生まれた。
『本と貝殻』
書評という行為が何に似ているかといったら、それは生け花だと思う。本という素材の一部を切り取り、それを新しいアレンジメントに投げこむ。組み合わされ配置された花たち(=引用文たち)は、もともともっていた生命の連関の名残により、新たにつむがれた文の中でも新しく輝く。書評執筆者は一種の花道家として、さあ、見てください、といえるかたちと色合いを、限られた字数のうちに実現しようとする。そこには意味も過剰なくらいに入っているのだが、どれだけ伝わるかはわからない。最低限つたわるといいと思えるのは、論じられる元の本それ自体が、この世界に対して与えようとしていた振動。個々の本の意志、そのafterglow。(『本と貝殻』「あとがき」より)
『エレメンタル』
一冊の本とは死者たちの森だ。魂の痕跡が並び、さまざまな不在の声が響く。あらゆる文章には死者たちとの対話という側面があるが、それは実在する相手が生きていてもおなじであらゆる文章において人はすでに少し死に、そのぶん、より大きな生を手にしている。たとえその文章の書き手が自分だったとしても、過去の自分はそれほど自分ではない。
Monday, 1 May 2023
Sunday, 2 April 2023
Sunday, 12 March 2023
Thursday, 2 March 2023
ラジオ朗読劇『銀河鉄道の夜』
われわれの朗読劇『銀河鉄道の夜』の最新ヴァージョンはラジオドラマ! 福島FMおよびエフエム岩手で放送されます。新シナリオに基づくDJ役および音楽担当は後藤正文さん。驚くべき作品に仕上がりました。ぜひお聴きください!
Saturday, 11 February 2023
Thursday, 9 February 2023
「週刊朝日」2023年2月17日号
2月17日号の「週刊朝日」に金井真紀『おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行』(岩波書店)の書評を書きました。いろいろな国・言語のことわざをかわいいイラスト付きで紹介した絵本のような本ですが、おもしろい、楽しい。諺こそポータブルな最小単位の文学だということを改めて思い、感動します。まずは書評をどこかで読んでみてください!
Saturday, 21 January 2023
「日本経済新聞」2023年1月21日
けさの「日本経済新聞」にレベッカ・ソルニットの快著『オーウェルの薔薇』(岩波書店)の書評を書きました。ジョージ・オーウェルの著作と人生にまったく新しい光を投げかける、炯眼の書。おりしもきょうは彼のご命日です。
Thursday, 19 January 2023
「週刊朝日」休刊決定
1922年創刊の週刊誌「週刊朝日」の休刊が発表されました。かなりの数の書評を、自分の興味のおもむくままに書かせてもらった媒体なので、一抹のさびしさ。以下、ぼくが同誌に書いた書評の一覧を、新しいものからの逆順で記しておきます。ありがとう、「週刊朝日」!
モニカ・トゥルン『かくも甘き果実』(2022年6月24日号)
冨原眞弓『ミンネのかけら』(2020年12月4日号)
陳耀昌『フォルモサに咲く花』(2019年12月27日号)
生田武志『いのちへの礼儀』(2019年6月7日号)
ドリアン助川『線量計と奥の細道』(2018年9月7日号)
柴田元幸訳『ハックルベリー・フィンの冒けん』(2018年3月30日)
服部文祥『息子と狩猟に』(2017年10月6日)
仲野麻紀『旅する音楽』(2017年1月20日)
エドゥアルド・ハルフォン『ポーランドのボクサー』(2016年9月2日)
ブライアン・フェイガン『人類と家畜の世界史』(2016年4月15日)
ジェイ・ルービン『日々の光』(2015年10月27日)
眞並恭介『牛と土』(2015年6月5日)
マルグリット・デュラス『ヒロシマ・モナムール』(2014年12月5日)
マティアス・エナール『話してあげて、戦や王さま、象の話を』(2012年12月21日)
デュレンマット『失脚/巫女の死』(2012年9月7日)
ドリアン助川『夕焼けポスト』(2012年3月30日)
畠山重篤『鉄は魔法使い』(2011年9月23日)
松沢哲郎『想像する力』(2011年5月17日)
互盛央『エスの系譜』(2011年1月18日)
畠山直哉『話す写真』(2010年10月22日)
Sunday, 8 January 2023
佐野陽一さんとの対談
7日(土)、埼玉県立近代美術館で佐野陽一さんと対談しました。開催中の企画展「桃源郷通行許可証」の一環で、佐野さんの出品作品をめぐって。佐野さんが構成した展示はピンホール写真作品と同館所蔵の斎藤豊作の油絵を並べたもので、しずかな深みのある、自然の光を体験させてくれます。明治大学でワークショップをやっていただいたのも10年以上前のことですが、時とともにゆっくり成熟してゆくかのような佐野さんの作品の良さを、改めて痛感しました。
Friday, 6 January 2023
Monday, 2 January 2023
「週刊朝日」2023年1月6-13合併号
「週刊図書館」のスペシャル「2022年私のベスト3」は28人の選者がそれぞれのおすすめ本をあげています。いうまでもなく3冊で収まるわけはないのですが、ぼくも選んでみました。選んだのはイリナ・グリゴレ『優しい地獄』(亜紀書房)、奥野克巳『絡まり合う生命』(亜紀書房)、『絶滅動物物語』(小学館)です。たまたま亜紀書房の本が2冊になりましたが、別に同社とは何の関係もありません、念のため。解説は同誌をごらんください!