竹富島に3年ぶりに行きました。いまは亡き友人が好きだった「蝶の道」がある島。集落からアイヤル浜へいたる細い道がそれで、恐いほどの数の蝶が飛び交う、この世とも思われぬ道でした。
それが、どうも様子が変。たしかに蝶がたくさんいるのですが、印象だけでいうとかつての10分の1くらいの密度でしか見られない気がします。明らかにひどく少ない、おやっと思うほど。
いろいろな花の時期がずれこんでいるのかと訝ったのですが、宿のおじさんと話して疑問氷解。開業したばかりの高級リゾートの建設で、この島はかつてなかった規模で手つかずのエリアを失ったようなのです。
蝶の世界は非情。生息環境が破壊されれば、たちまち1000がゼロになり、環境が回復されないかぎり、かれらは帰ってきません。
素敵で贅沢で快適そのものだと想像にかたくない高級リゾートですが、あの蝶の道と引き換えにしてまで、この島に必要なものだったんだろうか。むしろ島を蝶サンクチュアリとして、開発を禁じてほしかった。
思い出の中の蝶の道をたどる以外になさそうです。ともだちの霊魂と対話しながら、のんびり、のんびり。蝶そのものが死者の魂だという伝説は各地にあるようですが、蝶が少なくなったとき、ぼくらの死後は魂を欠いた死後になるかも。さびしいことです。