西山雄二監督『哲学への権利』上映会+「哲学とは何か、大学とは何か?」シンポジウム、本日終了。この種の催しで120人入るのは、すごい。大成功だったといっていい。
『哲学への権利』は、コレージュ・アンテルナシオナル・ド・フィロゾフィーがいかなる制度・組織であるかを7人の関係者に対するインタヴューで浮かび上がらせる意欲的なドキュメンタリー。これを通じて、<哲学>と<大学>がいまどのようにあるかを、考えないわけにはいかなくなる。
上映後のシンポジウムでは監督の発言にひきつづき、4名のパネリストが映画に触発されたいろんな考えを述べました。ぼくは主としてアメリカ19世紀の思想家ソローについて。
何より感動したのは、西山さんの行動力。これで39回めの上映会、そのつど議論をし、アンケートを集め、改良すべき点を模索してきた。ともかく、映画が旅をするのについてゆく。フランスにもアメリカにも韓国にも。作品のまわりでつむがれる言葉に身をさらし、反応し、また次の場所へ。なんという過酷な旅。彼の旅自体が哲学的活動。この気持ちに感染して、こっちもやる気が湧いてくる。
この映画のホームページには、早速、今回の報告がアップされています。]
http://rightphilo.blog112.fc2.com/
桜井、岩野、合田という明治の同僚たちの発言は、さすがの重厚さ、鋭さ。哲学の教室から離れて久しいぼくも、ふたたび哲学的な問いに直面する気になります。とりわけ桜井さんがイリイチの試みにふれ(今年のぼくの前期ゼミはイリイチを読んでいた)、合田さんがアランの重要性を強調し、またアメリカのプラグマティズムに対する評価を述べてくれたのは、まさに我が意を得たり、でした。
岩野くんの発表を聞くのは、学生時代の教室以来、28年ぶりくらい!おだやかな口調でじつはラディカルなことを、わかりやすく語ってゆく姿に、横で聴いていて感動を覚えた。
『哲学への権利』は来月の首都大学東京での上映会でひと区切りとか。行ったことのないキャンパスに、いちど行ってみてもいいという気がしています。
ところで金曜日の四谷につづいて土曜日のお茶の水でも、小詩集「熱帯詩+リスボン」は完売でした。15部ずつ。みなさまお買い上げありがとうございました。まだまだ残部はたくさんありますので、まだお持ちでない方は、どこかで何かの機会にお求めください。